俺たちのラストシーズン──松本直(鎌倉学園)
爽やかな秋晴れの日々が続くこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。昨今流行りの冷笑界隈と真っ向から対立する男、哲郎君(4年・松本哲郎)からバトンを受け取りました、2026年度投手リーダーの松本直です。
投手リーダーである私はこの一年間、伝統ある明治大学野球部の“幹部”という重大な役職についているという自覚をもって過ごしてきましたが、しっかりと名前順で回ってきてしまったということは、どうやら違ったようです。
早速本題に入りますが、あわよくば感動のあまり涙していただきたいので、皆様の思い思いの卒業ソングとともに読んでいただくことを推奨しております。どうか最後までお付き合いください。
私のこの4年間は、「幸せ」そのものでした。
母校鎌倉学園の東京六大学野球至上主義教育により、高校時代の私の志望校には早稲田、慶應、明治、法政、立教、(東大)以外の大学が入る余地はありませんでした。
そして迎えた高校最後の夏は、3回戦敗退という結果で終えます。本気で甲子園を目指していた私にとっては、あまりにも不完全燃焼な幕切れでした。
その結果を受け、私は大学野球に「勝利」と「レベルの高さ」を求めるようになり、当時の春季リーグで優勝を飾り、毎年のように逸材が集う明治大学を志すようになりました。
という動機が何割で、早慶を目指して浪人するのが怖かった、という動機が何割を占めていたのかは、皆さんのご想像にお任せします。
そして迎える明治大学野球部での生活は、想像通り、いやそれ以上に刺激的な日々でした。
昼夜天候を問わず練習に打ち込める環境、体感したことのない打球や送球のスピード感、見たことのない軌道で吹き上がるストレート、そして何より神宮での圧倒的な強さ。
入部から1、2ヶ月はまともにボールを触らせてもらえませんでしたが、毎日のように胸を踊らせていたことを今でも覚えています。
そして転機は想像以上に早く訪れます。
2年春のオープン戦で結果を残してベンチ入りを果たし、初戦の東大戦で初登板を遂げると、そこから第2先発に昇格し初勝利をあげ、さらには火消し役としてチームの危機を救うなど、我ながら華々しいデビューを飾ったと自負しています。
今思うと、ほとんどが勢い任せのピッチングで、いわゆるビギナーズラックのような内容でしたが、県大会以上の経験がろくにない私にとって、全国からエリートが集まる舞台で結果を残せたことは、大きな自信になりました。
しかし、デビューシーズンに比べると、それ以降はパッとしないシーズンが続きます。
極めつけは3年の秋で、夏のオープン戦では投げるたびに大量失点を喫し、リーグ戦に入ってからも調子は戻らず1イニングの登板のみに終わりました。
おまけにチームは全勝優勝という素晴らしい記録を打ち立てました。自分が投げなくなった途端にこれかと。自分の存在を否定されているような気がしました。この時期は本当にキツかったです。
4年生になった今でも、悔しいことばかりです。
本当は優勝の輪にいたかった。本当は先発としてチームを引っ張りたかった。本当は11番を背負いたかった…。
それでも私は、幸せな4年間であったと胸を張って言い切れます。
それほどに恋焦がれてきた舞台だからです。
高校時代、初めて神宮のスタンドに足を踏み入れた時のあの高揚感は忘れもしません。受験勉強に心が折れそうになった時、六大学の応援を聞いて何度も心を奮い立たせました。大学の合格発表は、人生で一番嬉しかった瞬間でした。入部してからも、誰にも見向きもされずとも、神宮のマウンドを目指してただひたすらに努力しました。
そうしてやっとたどり着いたマウンドなのです。
4年目となった今でも、自分の名前がコールされマウンドに上がる瞬間は、胸が熱くなります。
嬉しいことであろうと、悔しいことであろうと、そこで経験する全てのことが私にとっては財産であり、幸せなことでした。
そして、この素晴らしい舞台で野球ができるのもあと僅かとなりました。
人生を変えてくれた神宮の舞台に感謝して、幸せを噛み締めながら、自分の為に、チームの為に、最後まで腕を振りたいと思います。

ここからは、この場をお借りしてお世話になった方々、仲間たちにメッセージを送らせていただきます。
まず、監督コーチをはじめとする、野球部に携わる全てのスタッフの皆様に、厚く御礼申し上げます。また、野球部の活動を盛り上げてくださった、応援指導部、明大スポーツ新聞部の皆様にも深く感謝申し上げます。優勝という形で恩返しができるように、チーム一同精一杯頑張ります。
お世話になった先輩方へ


松本家の長男である私にとって、皆さんは本物のお兄ちゃんのような存在でした。皆さんが呼んでくれた「ちょく」という愛称がとても気に入っています。これからも大切に使わせていただきます。
特に投手陣の皆さんには大変お世話になりました。2年生の頃からほぼ毎日午前練習に出ていたため、多くの時間を一緒に過ごさせていただきました。皆さんと過ごすトレルーでの何気ない時間や、沼津と高森で過ごしたキャンプが本当に楽しかったです。皆さんのことが大好きすぎて、四送会の度に自分でも引くほど泣きました。
千葉さん(R7卒・千葉汐凱)と髙須さん(R8卒・髙須大雅)

このお2人からは、焼肉の焼き方からゴミを拾う時の体勢まで、ありとあらゆることを学びました。今でもSUPER BEAVERかFRUITS ZIPPERの曲が流れる度に2人の顔が思い浮かんでしまいます。勘弁してほしいです。自分もお2人が目指す世界と同じ世界を目指しています。プライベートではもちろんですが、野球の世界でもまたお会いしましょう。
テコファミリー
久野さん(R8卒・久野悠斗)、じぇいさん(R8卒・大川慈英)がいる頃は準レギュラーぐらいでしたが、今では入り浸っています。たくさん相談に乗っていただき、アドバイスをいただきました。ありがとうございました。後継者問題が深刻化しているので、しっかり引き継げるように頑張ります。
そして、自分の大学生活を語る上で欠かせない人物がいます。それが凌輔さん(R8卒・中村凌輔)です。

凌輔さんが明治大学の魅力を伝えてくれたから、自分も明治を目指すようになりました。凌輔さんが戦略を教えてくれたから受験に成功しました。凌輔さんがいたから安心して入寮できました。
八十の後輩だから、という理由で変なレッテルを貼られて苦しむ前田(4年・前田悠槙)とは対照的に、なかむの後輩だから、という理由で恩恵を受けたことが何度もありました。今の自分があるのは凌輔さんのおかげです。少ししか過言じゃないです。これからもよろしくお願いします。
同期のみんなへ


私の性格上、みんなのことを仲間と思うことと同じぐらい、ライバルとして見てきました。そのため、みんなの活躍は嬉しいよりも悔しいの方が断然大きかったです。それでも、自分たちの代になったとき、果たしてこんなに頼りになる仲間が他にいるのかと感動しました。それとともに、この代で絶対に優勝したいと本気で思いました。選手、学生コーチ、アナリスト、マネージャーみんなの力を合わせて、秋こそは絶対に日本一になろう。普段はむすっとしてるし、付き合いもいい方ではなかったと思うけど、みんなが大好きです。4年間寝食を共にしたかけがいのない仲間です。これからもよろしく。
愛すべき凸凹ピッチャー陣へ
こくう(4年・三浦心空)

同期の右投手のスポーツ推薦。それだけで私にとっては特別な存在でした。こくうの実力を認めているだけに、君から褒められると本気で嬉しかったです。こくうと切磋琢磨しあった4年間は幸せでした。ありがとう。
くり(4年・栗原英豊)

君とも切磋琢磨してきました。いろんなところでね。なんだかんだでかなり長い時間を共にした気がしてます。くりの優しい笑顔と思いやりに何度も助けられました。ありがとう。
ゆうへい(4年・山内優平)

この野球部で一番初めに話したのがゆうへいでした。チームの為に献身的に動く姿を何度も見てきました。試合前日に必ず伝えてくれる「がんばれよ」が、私の勇気の源です。ありがとう。
とやま(4年・外山凌太郎)

この野球部で唯一彼のツボにハマっているのが私です。何を言っても何をしても面白いです。色んなところに行って、色んなものを食べました。楽しい時間でした。ありがとう。
まえだ

心の友です。私の全てを知っている男です。野球においても眼中にしかないです。その上で、君の神宮デビューだけは心の底から嬉しかったです。ありがとう。
今年こそ、"日本一の投手陣"になろう。
後輩へ
湯田(3年・湯田統真)

この1年間部屋でも外でもずっと一緒にいました。ずっと変なことしてたけど。あ、湯田がね。俺と過ごした一年が、少しでも役に立つ日が来たらこんなに嬉しいことはありません。来年は湯田の手でチームを勝利に導いてください。頑張れよ。
浦久(3年・浦久響)

生意気さがかわいくて仕方なかったです。これから先、俺と同じような苦悩が待ってるかもしれません。俺に足りなかったのは未来の自分を信じる気持ちです。自分の目指す姿をブラさずに、1年間貫き通してください。頑張れよ。
大室(3年・大室亮満)

俺からは何も言いません。親友として、君にとって悔いがない結果になればそれが何よりです。頑張れよ。
波田(3年・波田瑛介)、聡之介(渡邉聡之介)、林(林謙吾)、海斗(中村海斗)、三瓶(三瓶高広)
最高学年がしっかりしていればチームは強くなるはずです。みんなを中心に投手陣を引っ張っていってください。頼りないリーダーだったけど1年間ありがとう。みんなかわいくて大好きです。頑張れよ。
大泉(2年・大泉塁翔)、巴田(巴田琉碧)、帆高(中村帆高)、獅音(長谷川獅音)、平嶋(平嶋桂知)、三田村(三田村悠吾)、峯(峯孝宏)、武藤(武藤陽世)、山口(山口瑛太)、純真(渡邊純真)
みんなの底上げがチームに良い影響を与えると思います。あと半分だなんて思わずに、日々を大切に励んでください。頑張れよ。
相澤(1年・相澤祐希)、上原(上原和玖)、及川(及川翔伍)、駿太郎(鈴木駿太郎)、俐希(田中俐希)、長井(長井孝誠)、堀田(堀田昂佑)、行梅(行梅直哉)、颯人(渡邉颯人)
みんなは可能性の塊です。あと3年間でどこまでも目指せます。自分で天井を決めずに、ひたすら上を目指してください。頑張れよ。
両親へ
22年間立派に育ててくれてありがとうございました。ろくに連絡もしないし、自分からは学校や部活のことを一切口にしない親不孝息子だったとは思いますが、心の底から感謝しています。自分の選択を尊重してくれて、全力でサポートしてくれる2人のもとに生まれた私は本当に幸せ者です。今でも私の行動規範となっているものは、小さい頃からの父の教えです。今でも選択に困った時に頼る最後の砦は、母の言葉です。受けた恩が大きすぎて自信は全くないですが、何倍にもして返していきたいと思います。来年からは、社会人のライバルとしてよろしくお願いします。
長々と失礼しました。
ラストシーズンブログはここで終わりますが、私のラストシーズンはもう少し続きます。最後まで駆け抜けていきますので、どうかご声援のほどよろしくお願いします。
ありがとう。大学野球。
次にお送りするのは、ノンデリの星からやってきた三浦くんのブログです。デリカシーはありませんが、リテラシーの方はどうなのでしょうか。乞うご期待です。
主将 


