早稲田大学
早大の守備の要は、大内碧真(4年=浦和学院)だ。下級生のころからAチームに帯同し、山縣秀(R7卒=北海道日本ハムファイターズ)、渋谷泰生(R8卒=カリフォルニア州立大学サクラメント校)らの守備から技術を学び、今では内野陣を支える存在へと成長した。大内の最大の持ち味は、どんな打球にも果敢に飛び込んでいくガッツあふれるプレーだ。なかでも、今季の明大3回戦で見せた守備は圧巻だった。抜ければピンチが拡大する場面で、二遊間へのゴロに飛びつき、アウトをもぎ取った。チームの危機を救うプレーで流れを引き寄せ、守備からチームを勢いづけた。さらに、グラウンドを離れてもチームに欠かせない存在だ。普段から周囲をよく見て行動し、後輩への声かけや仲間とのコミュニケーションを大切にしている。責任感のある言動で部員から厚い信頼を集め、プレーだけでなく日頃の姿勢でもチームを支えている。4年間の集大成となるラストシーズン。幾度となくチームのピンチを救ってきた大内の堅守と熱いプレーが、早大を天皇杯奪還へと導く。(千葉海翔)

慶應義塾大学
今シーズン、慶大の「守備の要」として注目したいのは、吉開鉄朗(4年=慶應義塾)だ。彼の最大の持ち味は、リードする力である。キャッチャーは、グラウンド全体を見渡せる唯一の守備位置であり、まさに司令塔と言える。相手バッターの細かな動作を瞬時に分析し、味方ピッチャーに配球の指示を出す。扇の要にも例えられるこのポジションでは、点を取ること以上に、取られないことが求められる。さらに、チームの精神的支柱として統率力や冷静さも必要とされるため、非常に負担の大きい役割だ。リードには、観察力、洞察力、判断力、決断力、記憶力と、あらゆる「力」が欠かせない。試合中は迷っている暇などないからこそ、吉開は試合前の準備に人一倍取り組んでいる。相手打者の傾向を頭に入れ、あらゆる場面を想定しておくことが、試合での瞬時の判断を支えているのだ。そうした地道な努力を重ね、昨秋から正捕手の座を固めた。迎えたラストシーズンでは、奮闘する姿が数多く見られる。チームを日本一に導くために欠かせない吉開の活躍に、ぜひ期待していただきたい。(藤井綾乃)

明治大学
守備の要としてチームを支える光弘帆高(4年=履正社)。2年次からリーグ戦出場を果たし、経験を重ねながらチームに欠かせない存在へと成長してきた。秋季リーグ戦では本来の力を取り戻し、攻守にわたって躍動している。内野の要として幾度となくチームの窮地を救ってきた光弘。数々の試合を乗り越えてきたからこそ、見える景色がある。積み重ねてきた経験を力に変え、最終学年の秋もグラウンドでその存在感を示す。守備からチームに流れを呼び込み、悲願の頂点へと導く活躍に期待がかかる。(酒井菜々花)

法政大学
法政大学野球部の守備の要は、井上和輝(2年=駿台甲府)だ。規格外のバッティングと、元気ハツラツとしたプレーが魅力である。春季リーグ戦では指名打者としてベストナインを獲得し、強打者として注目されている。そんな井上は、この夏、捕手としてさらなる成長を遂げた。2年生ながら大学侍ジャパンに選出され、レベルの高い選手たちとプレーする中で、普段とは異なる環境にも物怖じせず、探求心をもって多くのことを吸収した。彼が捕手として特に大切にしているのがバッテリー間のコミュニケーションである。1年生投手や経験の浅い選手が多い投手陣に対し、積極的に声をかけ、意思疎通を図りながらマウンドを支えている。技術面でも二塁送球の正確性が増し、捕手としての安定感も向上。持ち前の強肩を生かし、守備からチームに流れを引き寄せる。春は打撃で存在感を示した井上。夏の経験を経て、秋は捕手としても、チームを支える存在へと大きく成長した。(佐藤瑛)

東京大学
東大の守備の要として伊藤滉一郎(4年=県立千葉)の名を挙げたい。2年生からリーグ戦の経験を積み重ね、いよいよラストシーズンを迎えた。センターとして魅せる守備力には絶大な信頼が寄せられており、広大な守備範囲と「難しい打球も伊藤なら捕ってくれる」という安心感でチームを支える。打撃面では今季1安打と苦しい試合が続いているが、昨秋には7安打と頭角を現し、3月の社会人対抗戦では本塁打を放つなどポテンシャルは十分だ。さらに、今春勝ち点を挙げた法政大学戦では2打数2安打2打点と大活躍を収めた。チームが勢いに乗るためには、攻守に渡る伊藤の躍動が必要不可欠である。(堂埜智咲紀)

立教大学
弊部の守備の要といえば村本勇海(3年=大阪桐蔭)である。1年秋に代打でデビューを果たすと、2年春からは二塁手としてスタメンに定着。これまで出場した43試合ノーエラーという安定した守備力を誇る。そんな彼は併殺時のピポットの速さと球際の強さを活かし、小林隼翔(3年=広陵)との3年生二遊間コンビで幾度となくピンチを切り抜けてきた。守備だけでなくバッティングでもキーマンとなる彼が、立大に流れを呼び込んでくれるであろう。(大西陽菜乃)

応援席から
慶應スポーツ新聞会 
春季リーグ戦では5季ぶり41度目の優勝、第75回全日本大学野球選手権大会では準優勝を果たした慶大。2024年秋から3季連続でリーグ戦5位と低迷が続いていたが、“強い慶應”を取り戻した春となった。今季はこれまで東大戦、立大戦、法大戦とすべてのカードで勝ち点を奪い、第4週時点で単独首位。春秋連覇、そしてあと一歩届かなかった日本一をつかみ取るために、負けられない戦いが続く。
この夏は投手陣の層を厚くすることを目標に取り組んできた。その成果が秋季リーグ戦に存分に表れている。先発は渡辺和大(商4=高松商業)と広池浩成(経4=慶應)の二枚看板が安定した投球で試合を作る。渡辺和は、東大戦、立大戦、法大1回戦いずれも先制点を許し立ち上がりに課題を残したが、法大3回戦では要所を締めながら無失点投球を披露。確実に調子を上げてきている。広池は、法大2回戦で6回2/3を無失点、7奪三振と好投し、安定感を増している。二枚看板の後ろを支えるのが、水野敬太(経3=札幌南)、沖村要(商4=慶應)、鈴木佳門(経2=慶應)のリリーフ陣。さらに抑えには、衝撃の神宮デビューを果たした甲子園優勝投手・小宅雅己(環1=慶應)が最終兵器として登場する。伸びのある直球と完成度の高い変化球を武器に、相手打線を最後まで封じ込める。
この投手陣の力投に応えたいのが野手陣である。現在、チームトップの打率.393を誇る小原大和(環4=花巻東)は巧みなバットコントロールでこれまで7試合中6試合で安打を放ち、立大2回戦では4打数4安打の大暴れ。スタメンの中で唯一2年生の若き主砲・一宮知樹(経2=八千代松陰)は立大1回戦で6回、値千金の2点本塁打を放つなど、勝負所でのバッティングに注目だ。他にも法大3回戦で3安打3打点と大活躍を見せた吉野太陽(法4=慶應)、春同様打撃好調の吉開鉄朗(商4=慶應)、林純司(環3=報徳学園)など、切れ目のない打線が慶大の強みである。一方、不動の4番・中塚遥翔(環3=智辯和歌山)、主将・今津慶介(総4=旭川東)は本塁打こそ飛び出しているものの、今春ほどの成績を残せていない。また、ここ最近の試合では安打数に比べて得点が伸びず、残塁も多い。チームの中心を担う2人が本来の打撃を取り戻したとき、慶大打線はさらに勢いを増すはずだ。
スローガン「ファンファーレ」のもと「リーグ戦優勝・日本一・四冠」を掲げ、ここまで突き進んできた“チーム今津”。春季リーグ戦を制し、全日本大学野球選手権大会では決勝まで勝ち進んだ。しかし、関西大学を前にあと一歩及ばず、試合後のベンチでは選手たちが悔し涙を流した。その涙を力に変えるべく、夏場に取り組んできた成果が今、秋季リーグ戦で花開こうとしている。守備からベンチに戻ってくるときには「ありがとう!」と言葉を交わし、ピンチのときにはベンチも一緒になって肩を組んで仲間を見守る。「自分はチームのために何ができるか」。春季早慶戦前のインタビューでは、多くの選手たちがそう口にした。そんなチーム思いの選手たちが集う慶大野球部が目指すのは春秋連覇、そして今度こそ日本一。“チーム今津”の集大成を、この目で見届けたい。
(河合亜采子)
神宮六景 
東京六大学野球の伝統あるユニフォームに袖を通し、神宮球場で白球を追う現役選手の皆さん。
私は神奈川の県立厚木高校から立教大学へ進学し、この素晴らしい世界に飛び込みました。初めて立教のユニフォームを着て神宮のマウンドに立った時の、あの体の底から湧き上がるような武者震いは、今でも忘れられません。背中に感じる歴史の重みや各校の応援団による地鳴りのような歓声。神宮球場とは選手を極限まで奮い立たせてくれる一方で、少しでも隙を見せると飲み込まれてしまいそうな、独特の厳しさとオーラがあります。 社会人野球やプロ野球、独立リーグ指導者を経験し、様々な球場を渡り歩いてきた今だからこそ、神宮球場と六大学野球へのリスペクトはより一層深くなっているように感じます。世代を超えて夢を託したくなるような、そんな不思議な魅力と格式が神宮球場にはあるのだと思います。
私は4年間で、ありがたいことに通算63試合に登板させていただきました。しかし決して良い思い出ばかりではありません。慢性的な腰痛に悩まされたり大学野球最後の登板となった試合では序盤で大量失点しノックアウトされたり、と本当に悔しい思いもたくさんしました。それでも栄光も挫折もすべてを歴史の一部として優しく包み込んでくれたのが神宮球場でした。 そんな特別な場所で今まさに戦っている皆さんにお伝えしたいことが二つあります。
一つ目は、「常に自分で考え工夫する力」を大切にしてほしいということです。私は高校時代、140キロに満たないストレートで上のレベルと戦うために当時の監督から「かまぼこの板を投げる練習」を薦められました。これでボールに純粋な縦回転をかける感覚を養ったのですが、実はこの練習が自分の投球スタイルを作り上げる大きなヒントになりました。自分の特徴を活かすには何が必要なのか、自分で考える力を養うことができました。この考える力があったからこそ、六大学の強打者たちともなんとか渡り合うことができたのだと思います。指導者から与えられたメニューをただこなすだけではなかなか壁を越えられないものです。「今の自分に何が必要で、どうすればもっと良くなるのか」を考え、ぜひ自分なりの正解を探し続けてみてください。
二つ目は、「入念な準備」を怠らないことです。プロ野球や独立リーグでの指導経験を通じて痛感したのは、勝負を分けるのは結局のところ「ミスの少なさ」であり、それを支えているのは「日々の準備」だということです。どんなに高い身体能力を持っていても準備が足りないとここぞという大舞台でほころびが出てしまいます。試合の日はそれまでの準備の「答え合わせ」をする日です。悔いのない大学野球生活を送るために地味で退屈に感じるかもしれない日々の準備をどうか大切にしてください。
おそらくこの二つはこれまでの野球人生で何度も言われ続けてきたことかもしれません。しかし、これらを「継続できる才能を持つこと」こそが本当に大切なんだ、といろいろな野球を経験してきた今、改めて実感しています。
皆さん一人ひとりには無限の可能性があります。どうかご自身の可能性を信じてください。先人たちが築き上げてきた六大学の伝統や、神宮球場へのリスペクトを胸に抱きながら自分で考え、しっかりと準備をして思い切り自分自身の野球を表現してほしいと願っています。聖地・神宮の杜で躍動する皆さんの姿をこれからも心から応援しています。
(立教大学野球部 平成7年卒 川村丈夫)























