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『僕の野球人生』第28回 井上慶秀副将

『僕の野球人生』第28回

井上 慶秀 副将(4年/内野手/県長野)

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野球に未練はないのか。

東大で野球をやりたいのか。

もう野球はいいやと思うなら仮面浪人はやめよう。

このまま一橋であと3年間過ごせばいいやと思うなら仮面浪人はやめよう。

 

僕が東大をもう一度受けると決めた2017年10月8日に部屋の壁に張り出した言葉です。

あの日、僕の野球人生は大きく変わりました。

 

僕が野球を始めたのは小学校1年生からです。3歳上の兄の影響で小学校の野球クラブに入りました。中学では近くのシニアに入り、高校では硬式野球部でプレーしました。小中高と素晴らしい指導者に恵まれ、厳しい練習も頑張れました。大学も含めて、これまでの野球人生を通じて、野球をやめたいと思ったことはほとんどなく、本当に恵まれた環境で野球をさせてもらいました。ありがとうございました。

 

高校時代ほとんど勉強していなかったため、高校野球を引退して勉強を頑張ってみるのですが、何のことやらわからず、志望校には合格しませんでした。転機となったのは、僕の浪人が決まった2015年3月半ばまで遡ります。高校の野球部の一つ上の代から4人も東大に合格して、川口さん(H31卒)が東大野球部に入部すると聞きました。東大野球部を意識し始めたのはこの時でした。1浪目、なかなか成績が上がらなかったのですが、この年94連敗を止めていた東大野球部はやっぱりかっこよくて、諦めきれず東大を受験しました。こうやってたまに勝つところが東大野球部のいじらしくて可愛いところだと思います。案の定不合格となりました。2浪目は成績も良かったのですが、不合格となり、「東大野球部とはもう縁がないんだな。」と思いました。後期で合格した一橋に行くことを決めました。

 

一橋での大学生活はとても充実していました。アメフト部に入るか、硬式野球部に入るか迷っていたのですが、たまたま練習を見に行った準硬式野球部になんとなく入りました。準硬式野球部では試合にも少し出ながら、楽しく野球をプレーできました。友達もでき、国立でのキャンパスライフを満喫していました。この頃、東大で野球がしたいという気持ちもありましたが、もう受験勉強もしたくなかったし、三浪もするのも嫌だなと思っていたので、その気持ちはただの未練でしかなかったです。野球以外に勉強やバイトなどのやりがいを探して大学生活をもっと楽しく充実したものにしようと思っていました。

 

しかし、この年の10月8日に東大野球部が勝ち点を取りました。15年ぶりの勝ち点を見ても、ずっと見てきた夢に蓋をし続けることはできませんでした。かっこよすぎました。

 

もう一度東大合格を目指して勉強し始めましたが、「一橋で十分じゃないか。」とか「2浪しても受からなかったのに、あと4か月で受かるはずない。」という気持ちは拭いきれませんでした。そんな不安に加えて、大学の授業や部活もそれなりに忙しく、何度も諦めようと思いました。それでも東大野球部への強い憧れが背中を押してくれました。空いた時間で苦手だった数学を中心に勉強を進めて、なんとか合格できました。六大学でも勝てる憧れの東大野球部には入れることがとても嬉しかったです。

 

期待を胸に東大野球部に入部しましたが、現実はそんなに甘くありませんでした。他大学に手も足も出ずに負ける試合ばかりで、引き分けもありましたが、勝利はずっと遠くにあるように感じていました。結局、3年の秋が終わっても、僕たちは1勝もできませんでした。恥ずかしく、悔しくてたまらなかったです。僕がずっと憧れていたのは、神宮でプレーする事とか他大学と接戦をする事ではないです。東大のユニフォームを着て、リーグ戦で勝つことでした。その夢のために一橋をやめて、3浪して東大野球部に入りました。それなのに3年間勝てず、「一橋にいたら良かったんだ。」という気持ちはどんどん強くなり、「一橋で十分じゃないか。」というあの時の気持ちは間違ってなかったと思いました。まさか3年間勝てないとは思わず、「夢なんて見るもんじゃなかったな。」と思いました。

 

4年間全敗を覚悟して春のリーグ戦を迎えましたが、最終戦の法政戦で勝つことが出来ました。たかが1勝なのですが、東大野球部を目指してから6年分の想いが少し報われた気がしました。本当に嬉しかったです。「夢見てよかったなあ。」そんな風に思えました。

秋も現時点で1勝していますが、今年の勝利は、打撃長の佑太郎(高橋/内野手/4年)や走塁長の隈部(外野手/4年)、分析長の佐々木(内野手/4年)、アナライザーの周(齋藤/学生コーチ/4年)といった各部門長の活躍無くしてあり得ませんでした。綺麗ごと抜きに、チーム全員で勝ち取った勝利だと思っています。

 

「東大野球部が勝つのを当たり前にしたい。」と思いTEAM2021でプレーしてきました。春も秋も10連敗は避けることが出来ましたが、来年以降、もし1年間1勝もできない年があるのなら、今年挙げた勝利に価値はないと思っています。来年以降も必ず勝ち続けてください。これを読んでくれている後輩たち、そして未来の東大野球部員に僕からのお願いです。みんなにとって、勝つことがより身近に、当たり前になるように、最終カード全力で戦います。

 

本当に多くの人に支えられてここまで野球を続けることが出来ました。小学校、シニア、高校、大学と素晴らしい指導者の皆様に教わり、のびのびと野球をさせていただいたおかげでここまで野球を続けられました。ありがとうございました。

 

そして両親には何不自由なく野球をさせてもらい、本当に感謝しています。一橋在学中に東大を受けることは伝えていなかったのに、東大に受かったと言ったら、頑張りなさいと背中を押してもらえたから東大で野球が出来ました。ありがとうございました。

 

どれだけ負け続けても共に戦ってくれた応援部の皆さん、本当にありがとうございました。応援部の声援がなければ、とっくに心が折れていました。皆さんが大きな声で応援してくれるから頑張れたし、勝てました。最終カードもよろしくお願いします。

 

最後に東大野球部同期のみんな。全員の勝ちたいという気持ちがあったから、何とかなったと思います。目立つ人がいなくてもみんなで一つになって、様々な事を変えていけるこの代で本当に良かったです。実を言うとスローガンは逆襲が良かったのですが、変革というスローガンが1年かけて大好きになりました。残り1カード、全力で勝ちにいこう。

 

あの日、東大野球部が勝ち点を取って夢を見せてくれたから、今、東大で野球をできています。あの勝ち点がなかったら、東大で野球をすることも、卒業後に野球を続けることもあり得ませんでした。諦めないで本当に良かった。色んな夢を見せてくれて、勝つことの難しさや喜びを教えてくれた東大野球部に最下位脱出という形で恩返しできるように、最終カード精一杯勝ちにいきます。

 

今週末の試合が終わって引退すれば、また東大野球部ファンに戻ります。神宮で、たくさんのお客さんの前でプレーできて、夢のようで、幸せでした。4年間ありがとうございました。

 

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次回は10/20(水)、水越副将を予定しております。

お楽しみに!