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号外WEB版

通常、紙面にてお届けしている号外スタイルの東京六大学野球情報紙。 2020年秋季からは特別版として、本サイト上にて掲載させていただきます。 野球部員による記事だけでなく、各大学の新聞部や応援部などの様々な寄稿がこの号外を盛り上げます。

TOKYOROCKS2023 秋季号外

第9週

この秋のMVP

2023/11/1 UP
CLOSE

法政大学

この秋、法大のMVPは浦(4年・副将=鳴門)一択だろう。彼は副将として主将の今泉(4年・主将=中京大中京)を補佐しながら常にチームを俯瞰し、普段は表には出さない熱い心でチームの目標達成へと尽力してくれた。また今秋、打撃面では好打率を残し、チームの窮地には4番に座り、打線に安心感と相手への警戒を生むことができた。守備面でも外野、一塁とオールラウンダーとしても幾度となくチームを救った。法政大学野球部には浦の様な選手は必ずチームに必要で必ず良い影響をもたらす。来季以降、下級生は浦の様な選手を目標にひたすらに努めて欲しいと心から願う。(上田龍弘)

東京大学

東大野球部のこの秋のMVPには松岡由機(4年=駒場東邦)を挙げたい。最速146km/hを誇る右腕は東大のエースとして春秋ともに最多の投球回を投げ、二季連続で防御率5.0以下を達成した。この記録は15秋16春の宮台康平さん以来となり、まさにエースとしてふさわしい活躍を見せてくれた。また、10/8に行われた法政大学戦第二回戦では142球を投げ完投勝利を挙げた。東大の完投勝利はこれも17秋の宮台康平さん以来となり、松岡にとっても通算登板37試合目にして念願の初勝利となった。また、選手としてだけでなくTEAM2023の副将、そして部員寮の寮長としてもチームを引っ張ってくれた。自分自身も彼にかなり助けられた思い出がある。本当に4年間ありがとう。(石井悠人)

早稲田大学

この秋、森田朝陽(4年=高岡商業)は復活を果たした。オーバートレーニング症候群と診断され、グラウンド内外で苦しみ続けた1年だった。今季最終戦では痛烈な右中間への安打を放つなど再起し、今シーズンは神宮球場のベンチに入り続けた。ベンチからチームを鼓舞し続け、大事な場面の代打に常に備える、最後まで早稲田が優勝できると信じさせ続けた主将の森田こそ、MVPである。ただし、森田の穴を埋めた存在を忘れることはできない。勝つために必要なことを自他に問い続け、時には身を粉にしてチームを創り上げた副将の熊田(4年=東邦)。勝利に足りないものは何か、苦しみながら何時も考え続けた新人監督の肥田(4年=早稲田摂陵)。最終的には0.02差の2位となったものの、最も不安視された投手陣を厳しく、熱く、愛を持ってまとめ上げた投手コーチの藤原(4年=早大本庄)。最終戦までの優勝争いは、彼らなしには成し得なかった。私からではあるが、最大限のリスペクトを送りたい。六大学最高の応援を最強の応援に出来なかった今季。来春は彼らの努力を肌身で感じてきた後輩たちが最強の応援へと引き上げる。(柴垣敬太朗)

立教大学

この秋のMVPは池田陽佑(4年=智辯和歌山)だ。この秋の戦績は2勝8敗で春に続く5位と悔しい結果に終わり、池田自身1勝もする事ができず、決して満足のいくシーズンとはならなかった。しかし、池田は立教大学野球部のエースとして常に投手陣の手本となり、闘志あふれる投球で仲間を引っ張ってくれた。1年春にデビューし、この秋まで立大投手陣の柱としてフル稼働でチームを支えた池田の存在は非常に大きかった。現役最多44試合30先発はその証である。怪我や不調に悩まされるときもあったが、それでも最後まで全力で戦い抜いた彼の姿はファンの心に刻まれるだろう。私はそんな彼と同じチームで戦えたことを誇りに思う。池田のこれからの野球人生に幸あれ。(玉井一騎)

慶應義塾大学

この秋のMVPは外丸東眞(2年=前橋育英)、誰も疑うことはないだろう。8先発で64イニング、そのうち6勝をあげ、全ての試合で6回以上を投げ切ると言う文句のつけようのない成績であった。まだ表情にはあどけなさが残るが、2年生にしてエースの風格、これから2年間の活躍が楽しみでならない。彼は誰にも負けない「地道に努力できる力」を持っている。毎日自分がやるべき練習を整理し、時間の使い方を工夫し、チームで一番徹底した練習をしている。その地道な積み重ねがピッチングへの自信につながり、今季の圧倒的なピッチングにつながっている。優勝の最大の立役者であり、甘えん坊の外丸。この最高の赤ん坊は僕らをどこまででも連れて行ってくれるだろう。(藤井快)

明治大学

この秋のMVPはこの男しかいない。明大野球部の顔である上田 希由翔(4年=愛三大三河)だ。1年秋から4番を任され続け彼の存在は常にチームの中心にあり、今年はキャプテンとして、チームを春季リーグ戦優勝に導いた。「先輩たちからもらったリーグ戦連覇のバトンをなんとかして後輩たちに繋がなければならない。」周りからの期待や重圧は彼以外には到底理解し難いものであり、彼以外背負いきれる者はいなかっただろう。どんなに苦しい時でも周りに弱い姿を見せることなくチームを鼓舞し続けた。そんな彼が牽引したチーム上田は、今季勝ち点4を取るも優勝にはあと僅か届かなかった。彼は後輩たちにこの悔しさを託した。1年間チームを牽引した最高のキャプテンが誰もが認める今季のMVPだ。(森裕規)

第8週

指導者紹介

2023/10/25 UP
OPEN

明治大学

多くの方からの声援や期待を背負い田中武宏監督は、春季リーグ戦では85年ぶり、戦後初となるリーグ戦3連覇にチームを導いた。部員と同じ1つ屋根の下で寮生活を送り、野球だけではなく私生活など細かい点まで目を配らせ隙のないチーム作りをしている。まさに明大野球部が掲げる「人間力野球」にふさわしい。選手とのコミュニケーションを監督自らが積極的に行い、AチームとBチームのメンバーの入れ替えも多くおこなうなどし、昨年に比べて選手層の厚さは格段に増した。今季のリーグ戦では勝ち点4を獲得したものの悔しい結果となってしまった。だが来年は必ず、田中監督と後輩たちがこの無念を晴らしてくれるだろう。(森裕規)

法政大学

法政の指導者といえばこの人、大島公一である。現役時代は大学で三季連続ベストナイン、また4年次には主将としてリーグ戦4連覇など法大の黄金期を支えた。その後は日本生命に進み日本代表経験などを経てプロの世界に入り活躍した。現在は法政の助監督として、監督の補佐をしながら、選手とのコミュニケーションを大切にし、常にチームを俯瞰しながら良い方向へ良い方向へと導いてくださっている。また彼は選手としては自他共に認める名選手であるが、指導者としても群を抜いている。特に打撃面で言うと彼の直接指導を受けた選手は必ずチームの軸になる選手に成長している。特に今季不動の上位打線、1番武川・2番中津・3番今泉は彼が成長させた選手に間違いない。そしてもう1つ彼の最大の魅力は人脈の広さだ。それは我々マネージャー陣が1番感じている事かもしれないが、野球会は特に「縁」を大切にする文化がある分、彼がアテンドしてくださったりする人の影響力、またチームを良くする為に行う交渉などには毎回のように感嘆させられる。沢山お世話になっている分、大島さんへ神宮で良い景色を観てもらい、最高の恩返しができるよう部員一同奮起する。(上田達弘)

東京大学

現在療養中の井手峻監督に代わり、今季東大野球部を率いたのは大久保裕助監督である。大久保助監督は大学時代史上初めて早稲田大学・慶應義塾大学の両校から勝ち点を取り優勝争いを演じた「赤門旋風」と呼ばれる社会現象を起こしたチームを主将・3番打者として牽引した。その時の経験を活かして野球の指導を行うだけでなく、社会人時代の経験から野球部の運営にも助言をしてくださるなど様々な面から東大野球部を支えている。(石井悠人)

早稲田大学

「早稲田の野球」を誰よりも追い求める指揮官、小宮山悟。常日頃から、早稲田大学野球部に伝わる「一球入魂」の精神を部員一同に説き、早稲田の野球を担う人間として恥ずかしくない姿であれと教えられてきた。今春のリーグ戦では4位という結果に終わると、夏季の南魚沼での強化合宿では、選手たちにベストを越えるための練習を課し、優勝争いができるチームへと育て上げた。 監督が常日頃から口にする、「最終カードの早慶戦がチームの完成形」という言葉。今秋の早慶戦は、勝ち点を取った方が優勝という、23年ぶりの1戦となった。早慶戦で集大成の姿を見せ、優勝する。早稲田大学野球部員として、監督に最大限の恩返しができる最高の舞台が整った。「一球入魂」を体現し、「強い早稲田」を取り戻す。秋の紺碧の空に勝鬨を響かせるのは、小宮山悟率いる早稲田大学野球部である。(緑川悠希)

立教大学

チームの指導者として、木村泰雄コーチを挙げる。今年度の春季リーグ戦終了後からコーチとして指導を開始、130人を超える部員に対し、一人一人に合わせた的確な指導、選手と目線を合わせたアドバイスを行う。秋季リーグ戦では、3カード目の明治大学戦から監督代行としてベンチに入り、指揮をとった。社会人チームでの指導経験を活かし、状況を冷静に分析しながらベンチから選手を鼓舞し、一時は最下位となった立大を建て直した。秋季リーグ戦、弊部は勝ち点1、5位という不本意な結果で全カードを終え、2023年度のチームは幕を閉じた。今年度の結果を踏まえ、根本的な見直しが必要となったこれからの立大野球部は、木村コーチの指導の下、革新を遂げ、新たな形で来期を迎えることだろう。(中澤智恵美)

慶應義塾大学

慶大の監督は堀井哲也(S59卒=韮山)である。慶大を卒業後、三菱自動車川崎にて選手として活躍し、その後は30年以上に渡って社会人野球の指導者として輝かしい成績を残した。そんな我らが監督、普段は可愛い笑顔で僕らと話している。一方で試合中は全く表情を変えないポーカーフェイスだ。劣勢でも、優勢でもどんな時も全く変わらない監督の表情は味方相手に関わらず冷静な印象を与えるだろう。これはただ一つ、勝利を目指す中で監督が行き着いた答えであり、その中で監督は勝利に一歩でも近づくための考えを巡らせているのだ。 今週末は早慶戦。双方が優勝に向けてがっぷり四つの状況である。監督の冷静で緻密な思考が僕らを勝利に導いてくれるに違いない。信じてついていく。その先には勝利が待っている。(藤井快)

応援席から

慶應義塾大学應援指導部

平素より慶應義塾大学に格別なご高配を賜り御礼申し上げます。今年は春季リーグ戦より、コロナ禍以前のように内野席でお客様と一緒に応援を作り上げることができるようになりました。観客の皆様と一緒にメガホンを叩いたり声援を送ったりすること、また肩を組みながら若き血を歌うことはこの上ない幸せでございます。
今季塾野球部は勝ち点を落とすことなく、四大学との戦いを見事に勝ち抜いております。残るはあと一戦、慶早戦のみとなりました。今年慶早戦は120周年を迎え、そのような記念すべき年に早稲田大学と優勝を懸けた戦いができること大変嬉しく存じます。皆様で優勝の喜びを分かち合い、一緒に丘の上を歌いましょう。
今後とも応援のほど、何卒よろしくお願いいたします。

慶應義塾大学應援指導部代表 畑山美咲

神宮六景

私が早稲田大学野球部に入部させて頂いたのが平成元年。当時の石井連藏監督からの教えが今の私の礎となっています。

“プロ野球は選ばれし一流選手の中で更に努力をした人だけが成功する世界。しかしながら、アマチュア野球は、不器用でも、ただただひたむきな努力を続ければ、アマチュア野球での一流選手になれるのだ”

兵庫県の無名な県立高校から入部した下手くそな私は、この石井連藏監督からのお言葉を日々自分に言い聞かせ、困知勉行を続けました。ベンチにも入れてもらい、試合にも出ることが出来ました。自分では出来る限りのことはやり尽くしたと思っていましたが、ただ、改めて4年間を思い返すと「もっともっと努力出来ていたはず。。。」と後悔の念に駆られるのが隠さぬ正直な気持ちです。

早稲田大学野球部の4年間で、「強いチームを作るためには、神宮球場で試合に勝つためには、その中で自分がチームに貢献できることは何か」ということを考えることが出来るようになりました。今は、ある企業の役員をしていますが、故石井連藏監督からの教え、早稲田大学野球部での経験が経営のベースになっています。会社の組織作りも野球のチーム作りと同じ。全員がベンチ入りし(ユニフォームを着て)、試合に出られる訳ではないが、ベンチに入れない社員(選手)も仲間であり、夫々に唯一無二の役割があり、そこに存在価値が生まれます。如何に高いモチベーションを保ち、各々の社員(選手)が質の高いパーフォーマンスを発揮することが出来る環境を作れるか、私の仕事(役割)はそれだけだと思っています。

日本の野球界を牽引してきた東京六大学野球を卒業した選手は、きっと、色々な形で世界の経済発展にも貢献していると思います。早稲田大学野球部で学んだことを人生の礎として、高遠之理想、誠実な心で、豊かな未来を創造することに努め、後輩達と一緒に、人類と社会の発展に寄与し続けていきたいと思います。

早稲田大学 平成5年卒 長尾 彰一

第7週

チーフマネージャー紹介

2023/10/18 UP
OPEN

慶應義塾大学

誰よりも選手全員が野球に打ち込める環境のことを考え、チームを勝利へ導いているのが主務の藤井快(4年=札幌旭丘)である。コロナによる規制が徐々に解除され新たなチーム運営の形が求められている中、チームが正しい方向へ舵を切れたのは、間違いなく彼の豊富な知識量と行動力のおかげである。寮内での感染対策など対応に迫られたときに考え出される常識にとらわれない発想力は幾度となくチームの危機を救ってきた。失敗を恐れない強気の姿勢と豊富なコミュニケーション力で200人を超える部員を束ねる彼は、正にチームの台風の目である。そんな彼の勇姿を神宮で見られる日もあと片手で数えるほど、その集大成が華の早慶戦である。早稲田からの勝利をチームメイトと分かち合う彼の姿を最後に目に焼き付けたい。(3年・宮田)

明治大学

「挑・超・頂」をスローガンに掲げた2023年、明治大学野球部130名を束ねているのは主務の森裕規(4年=滝川)だ。常にチームのことを第一に考え、部員一人ひとりに寄り添う彼は皆から愛され、圧倒的な信頼を置かれる存在である。様々な困難に立ち向かいながらも、嫌な顔一つ見せず4年間マネージャーとして責務を全うし、どんな時でも身を粉にしてチームを支えてきた。 誰よりも熱く、誰よりも強い勝利への執念を持った彼が牽引したこのチームは、リーグ戦三連覇を遂げ史上最高のチームへと成長した。野球人生の集大成として85年ぶりのリーグ戦四連覇に導くことができるか。日本一熱い男が“日本一の主務”になる日はもうそこまで来ている。(小池璃子)

法政大学

今年度、法政大学野球部のチーフマネージャーは上田龍弘(4年=城北)が務めている。昨年11月からチームの“顔”として野球部の運営、渉外活動を行ってきた。普通の人では抱えきれない膨大な量の仕事を当たり前のようにこなし、マネージャー業務において野球部内外から絶大な信頼を得ている。彼は現状維持をとことん嫌い、「探せば仕事は尽きない」とさらにプラスアルファを追求しチームに献身する姿は我々後輩マネージャーの鏡である。また、並外れた人当たりの良さを持ち併せており、人間性においても多方面から絶大な信頼を得ている。彼が日々監督へ寄り添い、関係者との橋渡し役を担うことで物事をチームにとってより良い方向へ進めることが出来る。また、自主練習等では自らバッティングピッチャーを買って出る事も多く、その中でもチームメイトとのコミュニケーションを欠かさない。先ずは選手目線で物事を考ようとするその姿からチームメイトからの信頼も厚い。24時間365日チームのリーグ優勝、日本一の為に献身するその姿はまさに“無限の体力”の体現であり彼が時々休んでいる姿をみると安心し、嬉しくなる程である。チーフマネージャーとしての1年間で後輩マネージャーへ沢山の大切なことを背中で示してくれた。彼へのおんぶにだっこはもう終わり。チーム上田の秋は我々後輩マネージャーがまだまだ終わらせない。 (黒坂夏希)

東京大学

石井悠人主務(4年=灘)は東大野球部にまさに「革命」を起こしたマネージャーであった。彼は持ち前のプログラミング能力を様々に駆使し、会計の帳簿など様々な点においてデジタル化を進め、マネージャーの業務効率が格段に上がることとなった。日ごろから多岐にわたる業務をこなさなければいけないマネージャーにとって、業務の効率は常に重視しなければいけない点であり、彼がいなければ手が回らなくなっていた業務は間違いなく存在するであろう。このように業務面でチームに欠かせない存在であることはもちろん、愛されキャラでもある彼は、同期からはもちろん後輩からも親しまれ、関西弁で見事なツッコミを見せてくれる。そしてなにより彼は東大野球部を愛している。髪型もリーグ戦に向けて坊主にするほどである。今年の東大野球部は秋季リーグ戦の法政大学戦にて、初勝利を収めたが、整列後の彼の表情から、改めて彼の東大野球部に対する強い気持ちを見て取ることができた。最終カードの立教大学戦、必ず勝ち点を取って最下位「奪出」を果たし、彼の世界一の笑顔で神宮に花に咲かせたい。 (角能紳吾)

早稲田大学

主務の柴垣敬太朗(4年=三国丘、写真右)は早稲田の優勝に誰よりも強く執着し、常に厳しく、常に優しく部の発展に努めてきた。「彼が主務を務められなかったら誰も務められない」そう思わせるほどの情熱と論理的思考力で部を牽引してきた。 副務の緑川悠希(4年=早大学院、写真左)は柔軟かつ的確にリーダーシップを発揮してきた。部員とのコミュニケーションを欠かさない彼がいたからこそ、「大丈夫」「何とかなる」と自信をもって前に進み続けることができた。 タイプの違う2人は、両手を取り合うわけでもなく、どちらかがどちらかをおんぶするわけでもない。しかし間違いなく同じゴールに向かって、同じ歩幅で、同じ歩調で共に歩んできた。タイプの違う2人だからこそ、部内外に関わらず、広い視野を持った隙のないマネジメントを行うことができた。 そんな彼らも遂に迎えたラストシーズン。勝ち点を1つ落とし残すは最後の早慶戦。広い視野は、もう後輩に預けてきた。今、鋭くも温かな四つの眼に映るのは、紺碧の空のもとに燦然と輝く天皇杯、ただそれだけである。(中原由信)

立教大学

今年度の立大野球部の主務を務めるのは、「世界一のマネージャー」玉井一騎(4年=都昭和)だ。立大野球部の主務だけでなく、東京六大学野球連盟のチーフとしても尽力してきた。大学1年の9月に選手からマネージャーへ転向した彼だが、初めは縦縞のユニフォームを着ることへの憧れを捨てきれず、マネージャーとしての活動に身が入らないこともあった。それでも、チームの勝利のためにどんな状況でも冷静な判断で運営を担い、ベンチに入れば持ち前の明るさで皆を盛り上げ、多方面から全幅の信頼を獲得した。また今年の7月には、大学日本代表のマネージャーとして、日米大学野球選手権大会にも帯同すると、チームは世界一を達成、彼の輝きは国境を超え世界に放たれた。秋季リーグ戦も残すところ最終カードの東大戦のみ。輝き続けた彼の勇姿を、最後までこの目に焼き付けたい。(草野梢汰)

応援席から

立教大学体育会応援団

平素より立教大学に格別なご厚情を賜り御礼申し上げます。
今年は春季リーグより、4年ぶりにコロナ禍以前の形態に戻り、内野席で御客様と応援する事が出来る様になりました。
私自身が入学して以降は外野席からの離れた応援形態や内野席であってもマスクを着用しつつ、御客様と一緒に声を出す事が出来なかった為、共に応援させて頂ける事を大変嬉しく感じております。

さて、春季リーグ戦では立教大学は5位という非常に悔しい結果となってしまいました。応援させて頂いている身で恐縮ではありますが、今季はヒットは沢山出ていても、後一本が出ない。そんな試合展開が多い様に感じられます。その一本を出させるのが我々応援団、そして応援席の力だと思います。秋季リーグ戦でも苦しい戦いが続いていますが、私達に出来る事はたとえ声が枯れても、最後の一瞬まで野球部、そして選手を信じて全力で応援する事です。
全ては今日の勝利を取る為に。

今後とも御声援の程、何卒宜しくお願い致します。

立教大学体育会応援団
団長 金子愛弥

神宮六景

「球都」桐生市でオールスター戦の開催

昨年から復活したオールスター戦はこの夏、群馬の「球都」桐生市で開催されました。8月26日、明大、早大、立大の赤城ウィンズと慶大、法大、東大の渡良瀬ストリームズが対戦し、七回表に夏の群馬名物の雷雨に見舞われ7回表1死で降雨コールドゲームとなり6対3で渡良瀬ストリームズが勝ちました。会場の小倉クラッチスタジアム(桐生球場)の開設以来最多の5,039人観客の皆様が来場し、各校の応援団も参加して大いに盛り上がりました。
翌27日には同球場で桐生市内の高校生を対象にした野球教室を開催しました。市内の桐生商業、桐生工業、桐生第一、樹徳の4校の野球部員70名が参加して、六大学のレギュラー選手たちと一緒にシートノックを受け、バッティングを体験して有意義な時間を過ごしました。
オールスター戦前の8月20日には神宮球場で恒例の少年少女野球教室を東京都軟式野球連盟に所属する14チーム、約200名の小学生を対象に開催しました。当日は六大学各校の主将をはじめ主力選手が講師となって、ウオーミングアップから、各ポジション別の練習など3時間に渡って行われ、野球教室終了後には記念撮影をして終了しました。天候にも恵まれ楽しい一日でした。
来年の夏も神宮球場で少年少女野球教室を開催し、オールスター戦は北広島市のエスコンフィールドで開催を予定しております。

(東京六大学野球連盟 事務局長 内藤雅之)

第6週

我が部の俊足選手

2023/10/11 UP
OPEN

立教大学

立大の俊足選手と言えばこの男、桑垣秀野(2年=中京大中京)である。俊足というと盗塁が多いとイメージする人が大半だろう。しかし、今回注目したいのは、俊足を生かし幾度ものピンチを救ってきた華麗な守備だ。今秋のリーグ戦で開幕戦からスタメンの座を掴むと、慶大戦では、初回一死満塁のピンチで抜ければ大量失点となる大飛球をフェンスにぶつかりながら捕るファインプレーでチームを救い、球場を沸かせた。その後、センター・ライトとポジションを変えても、相手の長打を防ぐ好プレーを連発した。桑垣の守備で防いだピンチや失点機会は数多く、彼が試合で果たす役割は絶大だ。プレッシャーがかかる場面でも思い切ったプレーができるのは、鍛え上げられた強靭な肉体とそのメンタルの強さからであろう。グラウンドでもベンチにいても声を張り上げ、どんな状況でもチームを鼓舞する2年生の熱男。これからも成長し続ける彼の活躍から最後まで目が離せない。(玉井一騎)

早稲田大学

松江一輝(2年=桐光学園)は、主に代走としてチームに貢献する。怪我で1年を棒に振ったが、復帰するとすぐに頭角を現した。特に、守備への意識・走塁への意識は際立って高く、学生コーチがベンチ入りメンバーに推薦するのにも時間を要さなかった。目立ったスター選手がいない今年のチームの強みは、勝利への執着心、意識の高さである。とことんこだわり、最後の最後まで諦めることなく勝ち切る。ここぞの場面の代走松江に注目してもらいたい。(柴垣敬太朗)

慶應義塾大学

慶應の俊足選手は橋本駿(4年=巣鴨)である。一般入試で入学した彼は、絶対的な武器である「脚」を持ち味に、4年生となった今季、リーグ戦でもスタメンデビューを果たした。入部当初は正直全く目立たない彼であったが、走らせると誰よりも速く、光電管測定にて50m走5秒台というは脅威のスピードを誇る。最近はメンバー入りできていないものの、日頃からAチームの練習に参加し、出場の機会をうかがっている。あと2カードと明治神宮大会、彼の出番は必ずあるはずだ。その脚で日本中を驚かせる日はすぐそこである。(藤井快)

明治大学

明治の切り込み隊長はこの男。飯森太慈(3年=佼成学園)は昨年春にリーグ戦デビューを果たし、持ち前の足の速さでブレイクした。今季からは1番を任されており、打席では常にしぶとく相手チームから嫌がられる打者である。塁に出れば常に次の塁を狙う姿勢がある。飯森が1番にいることにより後ろを打つ、宗山、上田が生きてくる。また、飯森の魅力は足だけではない。昨季はリーグ戦、全日本大学野球選手権で2度の首位打者に輝き、出塁率は驚異の数字だ。それに加え、チームがどんな状況でも前を見させてくれるプレー。全力疾走で一塁ヘッドスライディングというシーンは何度も見てきた。気迫が溢れヘッドスライディングを何度もしたことにより、今季飯森が着用するユニフォームはボロボロになった為、新調した。勝利への執念のこもった彼のプレーはチームを勢いづかせる。(森裕規)

法政大学

法大の韋駄天といえば鈴木大照(3年=明徳義塾)だ。彼は足を生かし2年夏に左打ちにも挑戦し、法大唯一の両打ち選手、また投手以外ほとんどのポジションを守れる万能ユーティリティプレーヤーである。今季の彼は主に代走や守備固めとしてリーグ戦に出場し、試合後半の緊迫した場面を支え、スタッフの信頼やベンチの安心感は大きい。また、友好的でかつ皆に愛される性格であるため、3年の彼は先輩・後輩の中間に立ち、自然とチームを明るくしてくれる存在となっている。野球というスポーツは一瞬、コンマ何秒・コンマ数センチの世界で勝敗が分かれてしまう。そんな中、鈴木大照のような後半に当たり前のように出場し、いつも通りのプレーをこなす。簡単なようで実は非常に難しいことである。法大は今100%思い描いた試合運びはできていないのが現状だ。鈴木大照を見習い、その試合・その場面・その瞬間に一球入魂。当たり前であるが、これが今の法大に1番なことなのかもしれない。一瞬一球に思いを乗せここからチームとしても逆転優勝へ望みをのせる。彼のベンチでの明るさ、また一瞬にかける思いにぜひご注目願いたい。(上田龍弘)

東京大学

東大野球部の俊足選手としては別府洸太朗(4年=東筑)を挙げたい。今季全試合でセンターのスタメンを守っている別府だが、実は中学生の2年間は陸上部に所属していた。そのおかげもあり部内でも随一の俊足を誇っている。俊足と打球判断の良さを生かした守備範囲の広さは六大学の中でも相当なものであろう。また、打撃においても俊足が生かされており、今季は内野安打を2本記録している。どんな打球でも全力疾走を欠かさない別府に注目してほしい。(石井悠人)

応援席から

法政大学応援団

平素より法政大学に熱い応援をいただきまして誠にありがとうございます。
本年度はコロナ禍以前に行われていた内野席応援の形に完全復活を果たし、より近い距離で皆様と選手を応援できております。こうして皆様と一緒に法政大学の名の下で勝利のために努力する野球部を応援できることは何事にも変え難い幸せで御座います。
我々法政大学応援団は今季も全力で精進して参ります。
法政大学の優勝のために、これからも変わらぬ応援のほどよろしくお願いいたします。

団長 岸野友亮

神宮六景

「六大学野球部員のキャリア支援」

慶大OBではあるが、ご縁あって六大学全野球部員のキャリア支援を10年近く行っている。内藤事務局長のご理解と後押しもあり、今や連盟内の公式行事として恒例化しているものだ。
きっかけは、私自身の反省と後悔。就職氷河期であった25年前、右も左も分からぬまま春季リーグ戦真っ最中に就職活動を経験した身であるが、“反省”とは、新卒で入った会社を6年で辞めて異業種への転職、そして起業をした身ゆえの“当時の自己分析や企業研究の不足”を指し、“後悔”とは、“若いうちに海外を経験し、語学力や異文化コミュニケーションを身につけておきたかった”という思いを指す。
仕事柄、多くのトップアスリートの人生をそばで見ているが、競技を終えた後の“ネクストキャリア”を満足なものにしている方はそう多くはない。そんな課題を目の当たりにする中、アスリートが現役であるうちから競技を離れた後の人生を少しでもリアルに意識してもらいたい願いと、私自身や諸先輩方の反省や後悔(失敗も)、そして社会で知り得た現実を(お節介ながら)後輩たちに伝えてあげられないかと、毎年「就活スタートガイダンス」や「業界・企業研究会」を全ての新4年生向けに、またドラフト会議指名選手には「プロ進路選択者向け研修」を連盟の公式行事として開催させて頂いている。
一方、野球人口が減少の一途を辿っているという、我々にとって望ましくない未来予想図が叫ばれて久しい。六大学OBがプロ野球選手として華やかな舞台で活躍し、子供達へ夢を与えることにも期待したいが、子供たちに『競技の選択肢』を最初に示す親や保護者たちは、その競技を通じての心身育成、人間形成、キャリア形成も実は見ている。言葉が少し厳しいが、野球だけをやっていればなんとなる時代ではもうない。野球を通じて何を学び、何を身に着けて、どう社会で活かせるか、どう社会で生き抜くかを意識し、野球に向き合っておくことがこの令和の時代ではますます重要になってくるのではないか。
母校目線の風景、六大学目線から見る景色、様々な眺めがあるが、日本の野球界を牽引し先導してきた東京六大学が発信するメッセージは先進的且つ未来志向であってほしい。そのために出来る協力を、キャリア支援を通じて微力ながらやっていければと思っている。

木下博之 慶大野球部 平成10年卒 (ナイスガイ・パートナーズ社 代表取締役、ネクストベース社 共同創業者)

第5週

守備の要

2023/10/4 UP
OPEN

東京大学

東大の守備の要は青貝尚柾(2年=攻玉社)である。春季リーグ戦の開幕戦でショートのスタメンとしてデビューし、今季もこれまで6試合中5試合でショートのスタメンを担っている。彼の魅力は何といっても強肩とその送球の安定性である。三遊間深めのゴロに対して体勢が崩れながらもファーストまでしっかりとストライク送球を決める姿は観客の皆様も今季何度も目にしたことであろう。東大が勝ち点を取るためにはロースコアの試合を続けるしかない。その時には青貝の好守がカギとなるだろう。(石井悠人)

立教大学

今季の立大の守備の要は、柴田恭佑(3年=東明館)だろう。2春に神宮デビュー後、複数のポジションで経験を積み、今季はサードとセカンドとしてグラウンドに立つ。そんな柴田は、今春開幕直前、肉離れで長期離脱を余儀なくされ、ベンチ入りを果たすことなくシーズンを終えた。悔しさを胸に、復帰後は抜群の安定感とセンスで熾烈な内野手争いを制し、再度レギュラーを獲得。持ち前の抜け目のない動きと広い守備範囲、躍動感あふれるプレーで神宮を沸かせるだけでなく、その堅実な守備で幾度となくチームのピンチを救ってきた。今季の立大は残すところあと2カード。柴田の存在がチームの勝利を手繰り寄せてくれるはずだ。(篠崎芽生)

早稲田大学

「76」。2020年春季から2023年秋季の第4週終了までの早稲田が戦った試合数である。この76試合全てで二遊間に立ち続けた男、熊田任洋(4年=東邦)が、早稲田の守備の要である。三遊間深くからでもアウトを取りきる強肩に、ヒット性の打球に追いつく反応速度。守備に求められる能力を、1球たりとも妥協しない練習で磨き上げた。ゲームキャプテンも務め、得点直後や粘りたい局面では、ベンチを引き締め引っ張る。誰からも信頼され一目置かれる、圧倒的な存在感の持ち主である。残すところ3カードとなった秋季リーグ戦。勝利のためには、苦しい局面でも耐え切ることが必要になる。4年間の集大成として躍動する熊田の活躍にぜひ注目してほしい。(緑川悠希)

慶應義塾大学

慶應の守備の要は斎藤快太(3年=前橋)だ。3年春からスタメンを勝ち取った彼は二遊間を器用にこなす。セカンドが中心となった今季も、ダブルプレーの反転、後方のフライなどどんなプレーも難なく処理している。派手さはないものの、どんなプレーも簡単にこなしてしまうその姿はまさに玄人好みの選手と言えるだろう。また、彼はグラブへのこだわりがかなり深い。繊細な感覚を求め、グラブレースを通す位置、指袋の大きさ、手口の広さなど、僕が今まで見てきたどの野球選手よりもこだわりがある。このこだわりの深さも彼の堅実なプレーにつながっているのだろう。(藤井快)

明治大学

明大の守備の要は捕手である。菅原 謙伸(4年=花咲徳栄)は3年春からベンチ入りをし、ここまでリーグ戦8試合に出場している。4年春までは捕手の控えとして、ブルペンやスタッフとのコミュニケーションを行いチームの勝利に貢献してきた。今秋は1敗で迎えた早稲田大学2回戦でスタメン出場を果たし勝利の立役者となった。翌日の3回戦では決勝タイムリーも放った。試合に出場している時はもちろん、ベンチで控えている時もいつでも試合に出場できる準備は整っている。試合に出場すれば司令塔として、控えであればスーパーサブとして、リーグトップの防御率を誇る鉄壁の投手陣をリードするこの男の存在は明大野球部にとって必要不可欠である。(森裕規)

法政大学

法大の守備の要は、正捕手の吉安遼哉(3年=大阪桐蔭)と言える。吉安の特徴は、スローイング、キャッチング、また捕手に必要な視野の広さなど、どれをとっても一級品でありチームの信頼は厚い。また、今季の法大は左の尾﨑、右の篠木と完成度の高い投手が揃っており、その特徴の異なる2投手を上手くリードし、良さを引き出す姿はまさに縁の下の力持ちであり良き女房役そのものだ。性格的には優しく、いわゆるいじられキャラであるが、今季の彼の意気込みは人大抵ではない。性格とは裏腹に神宮で魅せる彼の気持ちのこもったプレーに注目だ。(上田龍弘)

応援席から

東京大学運動会応援部

平素より東京大学に熱い応援を頂き誠にありがとうございます。
まず本年度を通して、2019年以来の内野応援席完全復活ということで皆様と喜怒哀楽を共有しながら応援できる一方で、その応援席を作り上げるために運営面での土台を磐石にするという難しさをひたすら今になっても経験するばかりでございます。改めまして神宮球場並びに東京六大学野球連盟、東京六大学応援団連盟関係者の皆様、そして応援席にお越し頂き「東大の応援席」を体現するべく尽力してくださる全ての皆様にこの場を借りまして厚く御礼申し上げます。

さて、本年度の硬式野球部のスローガンは「奪出」となっております。勝ち点奪取、そして悲願の最下位脱出という目標を胸に彼らは日々戦っています。我々応援部もその想いに応えるべく応援の質に拘り、皆様にも協力を仰いでいるわけでございます。一つ私の理想を語らせてもらうならば、主役は選手であり、我々はあくまで影です。応援が凄いからといって審判から一点を貰えるわけではありません。しかし、「光が強ければ影もまた濃い」という言葉がありますが、それとは逆に「影を濃くすれば光もまた輝きを増す」というそんな考えの下我々も選手の力になる「応援」を模索し続けています。ともすれば光を飲み込んでしまう様な自己中心的な応援、影であってはならず、必ずそこに輝きを灯し光を強くする、まさに選手に、チームに寄り添った応援というものを追求し続け、硬式野球部そして応援席にお越し下さる皆様に未来永劫必要とされる応援部でありたいと願っています。

残すは二カードとなりました。現在こうして私がこれを執筆している最中も仲間たちは対戦校にどう勝つかを真剣に考え続けています。硬式野球部の悲願達成のため、今まで以上に熱く、そして選手の力になる応援席を皆様と作り上げて行きたいと思っております。引き続き応援のほどよろしくお願い致します。
闘魂、団結、歓喜は今ぞ極まる。(応援部主将 浅香裕和)

神宮六景

私が立教大学野球部に入部したのは、小学生の頃、野球観戦が大好きな父が神宮球場へ立教大学対明治大学の試合を見に連れて行ってくれた事が大きなきっかけとなりました。立教大学の三塁手長嶋茂雄さんのプレーを見て、凄いな、格好いいなと思い憧れを持ち、いつしか私の夢となって、あの長嶋さんが守った立教大学の三塁手になりたいと強く思うようになりました。幸いにして私の兄二人が立教中学に入学しており、父のお陰で私も立教中学に入学する事ができました。中学、高校と野球部に入部しましたが当時の野球部はレベルが低く、大学野球部には立教高校出身者は一人も在籍していない状況でした。私が昭和四十三年度に立教大学野球に入部した時の東京六大学野球はもの凄くレベルが高く、各校の上級生には、早稲田は荒川さん、矢沢さん、慶應は藤原さん、成田さん、明治は高田さん、星野さん、法政は田淵さん、山本浩二さん、山中さん、東大は橘谷さん、立教も小川亨さん、谷木さんと他にもお名前を挙げるときりがない位大勢の素晴らしい選手がおられ、その殆どの方が後にプロ野球や社会人野球で活躍された方たちであり、とんでもない凄いところに入ってしまったと実感した事を思い出します。

「この道は君が選んだ道、果てしなく遠い迷いの道、全力を傾けて迷いたまえ」との言葉で我々を励まし導いてくださったのが当時の野球部長であった野口定男先生でした。その言葉を胸に努力し四年生の春季リーグの開幕戦に夢であった三塁手として先発出場する事ができました。ただ残念なのは志が低かったのか出場を果たしたことで満足してしまい、思うような活躍ができず、そのうちにレギュラーから外されるようになった事です。少し腐り迷ったこともありましたが、何とか努力を続けた結果、四年生の秋季リーグ最終戦の東大戦に運よく先発出場させて頂く事ができました。何とその試合で一年後輩の後に巨人軍ドラフト一位になった横山忠夫くんがノーヒットノーラン試合を達成したのです。その試合に参加できたことが私の貴重な経験として思い出に残っています。そして四年の送別会の時、野口先生が私の手を両手で握り、君は社会に出ても必ず成功するから頑張りなさいと声を掛けて下さいました。そんな素晴らしい恩師である野口先生に巡り会えたことを深く感謝しています。その後明治生命に入社し社会人野球を経験し、OB会、後援会活動に携わり最後は野球部長を務めさせて頂きました。野球部長として選手発掘のため神宮球場へ足を運ぶようになり、その時に立教大学の元野球部監督でOB会長であった横川賢次さんに声を掛けられ、OB会の手伝いをしているうちに先輩理事を任されるようになり、先輩理事12年目を迎えております。

私の回顧録の様になりましたが、立教大学の野球部に入部して鍛えられ成長させてもらった事、そして東京六大学野球で貴重な経験と沢山の思い出を作れたことを感謝するとともに、先輩、同僚、そして後輩と素晴らしい仲間ができたことを嬉しく思っています。今年も十月に三十六名が集まり東京六大学野球の同期会を開催します。これからも私の現在の座右の銘である「至誠惻怛」すなわち目上には誠を尽くし、目下には慈しみを持って接する心を持ち、立教大学野球部と東京六大学野球の発展に微力ながら少しでも恩返しができればと考えています。特に2025年には東京六大学野球連盟結成100周年を迎えますので関係者の皆様と共に祝い盛り上げていきたいと思っています。

立教大学野球部先輩理事 昭和46年卒 堀内幸男

第4週

打撃の要

2023/9/27 UP
OPEN

法政大学

法大打線の要となるのは間違いなく、今泉(4年・主将=中京大中京)と言えるだろう。彼は3年春からレギュラーへ定着し、コンスタントに結果を出し続けている逸材である。法大打線は長打のある選手、また足の速い選手などポテンシャルを秘めた選手で構成されている。しかし、その中でもやはり今泉の打席での安心感、信頼感はチームの「精神的支柱」そのものであり、今泉無くして今の法大打線は無い。現在、彼自身思うようなパフォーマンスは最大限発揮できていないのかもしれない。しかしその中で見せた立大戦での意地のタイムリー、また後ろの4.5番へ繋ぐ強い執念はチームを勢い付け、今秋の法大の目指すべき野球を背中で見せてくれたと感じている。繋いで、繋いで、粘り強く。今秋はそんな今泉を中心とした法大打線に是非ご注目願いたい。(上田龍弘)

東京大学

東大野球部の「打撃の要」としては酒井捷(2年=仙台二)を挙げたい。今年の春の開幕戦にて2年生ながら「一番ライト」のスタメンを勝ち取ると春季リーグ戦全体では1本塁打、打率.270の大活躍を挙げた。今季も主に1番で起用されここまで打率.357と大車輪の活躍だ。また、ここまで四死球を3つ選び、出塁率は.470となっており、東大の得点の大半は酒井のものである。まさに理想的な1番打者といえるであろう。ここまで4試合で3得点と得点力不足にあえいでいる東大打線だが、酒井が出塁して大井温登(4年=小松)や別府洸太朗(4年=東筑)をはじめとする他の打者が何とかして還すという形がしっかり作れれば勝利も近づいてくるであろう。 (石井悠人)

立教大学

打撃の要、今年の立大打線の要は菅谷真之介(3年=市立船橋)だろう。彼の持ち味である対応力や柔軟性のあるバッティングは、チーム全体の打撃を勢いづける重要な役目を持つ。今春より上位打線に定着し、どんな球にも喰らいつく彼の気迫と冷静な状況判断、自信のこもったプレーでチームを牽引する。彼の強い闘志もまた、チームを牽引する大きな力だろう。さらに彼は、小技から本塁打まで、試合の流れを変える一打を放つ、頼れるオールラウンダーである。今秋は巧打のリードオフマンとしての活躍が期待されている。周りをも鼓舞する彼の”戦う気持ち”と打席での”冷静さ”を武器に、勝利を導く一打を期待したい。(中澤智恵美)

早稲田大学

印象に残る場面でホームランを放つ、島川叶夢(4年=済々黌)が今年の早稲田打線の要である。今春、早慶戦1回戦の勝負を決めた1発を覚えている方も多いと思う。初打席で初ホームランを放ち、今季の東大2回戦でも決勝打となる1発を放った。1発を放つ実力がありながら、これまでスタメンとして名を連ねることは出来なかった。自らの実力を理解し、リーグ戦で結果を出すために、誰よりもバットを振ってきた。特にこの夏の努力は、チームの誰もが認める。公立高校の高校生たちにも夢を見せる打棒がチームを勝利に導く。(柴垣敬太朗)

慶應義塾大学

慶大の大黒柱、廣瀬隆太(慶應=4年)。彼が打撃の要であることは誰もが疑うことのないことだろう。彼のパワフルなスイングと常人離れした打球速度はこれまで多くのチームの守備を狂わせ、チームを勝利へ導いてきた。死闘となった第3週の慶法戦、彼が起点となって得点したイニング、彼のホームランで勝利したゲーム、彼の力がなければ勝利はなかっただろう。しかしまだまだ物足りない。彼の力はこんなものではないはずだ。この秋、六大学記録を更新する彼のアーチを見逃してはいけない。(藤井快)

明治大学

我が明治大学の打撃の中心はこの男。宗山塁(3年=広陵)は1年春から試合に出場し、既に3度ベストナインを受賞し、昨年の春季リーグ戦では首位打者も獲得している。ただ、ヒットを打つだけではなく、勝負所での一球一打への集中力・執念は誰にも負けることがない。今年の春季リーグ戦は苦しんだものの最終的には3割近い成績を残している。今シーズンも5試合を終えて打率.579と驚異の数字だ。チームメイト全員が宗山に回せば何とかしてくれるだろうと思っているほど信頼も厚い。 そんな勝負強い男が明大に流れを引き寄せる打撃を見せ、優勝へと導く。(森 裕規)

応援席から

明治大学応援団

夏の熱気がまだまだ残る中開幕した2023年の秋季リーグ戦。ここまで2カードを消化し、4連覇をかけて挑む明大は順調に勝ち点2を獲得。各大学が打倒明治を掲げる中でも、さらなる強さを見せ続けている。
投手陣ではエース・村田賢一投手(商4=春日部共栄)がここまで2勝を挙げる活躍。石原勇輝投手(商4=広陵)、蒔田稔投手(商4=九州学院)も先発救援の両方で力を発揮しており層の厚さは六大学ナンバーワンだろう。さらに最速154キロを誇る浅利太門投手(商3=興国)は今季ブレイクの予感。早大戦では2試合に救援として登板し計5回を無失点に抑える活躍でブルペンを支えた。
一方の打線を引っ張るのは今季から1番に座る飯森太慈外野手(政経3=佼成学園)。早大2回戦では5打席全てで出塁するなどリードオフマンとしての役目を果たしている。そして宗山塁内野手(商3=広陵)、上田希由翔主将(国際4=愛三大三河)は抜群の安定感だ。宗山はここまで2度の猛打賞を記録し打率.579はリーグダントツのトップ。上田もチームトップの5打点をあげる活躍を見せておりMU砲は今季も頼りになる。
チーム打率、防御率はここまで共にリーグ1位で圧倒的な総合力を誇る明大。心地よい秋風が吹く頃、歴代最強の猪軍団は歓喜の輪をつくれるか。(久和野寛人)

(成績は全て25日現在)

神宮六景

恩返し

野球の魔力に取りつかれた一人として自らを振り返ってみると、そのめぐり合わせに感嘆し、そして感謝をするばかりである。
大学一年の夏、練習中の左手親指骨折を機に、自ら希望してマネージャーになった。練習についていくことだけにアップアップの自分であったから、そのまま選手として続けていても、ものになることはなかったであろうと思う。
マネージャーになった途端にチーム全体のことを考え出した。もちろんそれまでも東大の勝利を心の底から懇願し、強豪の他大学に堂々とわたりあう先輩たちの勇姿に一喜一憂していたわけだが、肝腎の、チーム全体のために自分はどうしたら良いのかということが全く抜け落ちていた。マネージャーという立場はいやがおうにもチームの勝利に向けて、その運営のなかで自分は何をしたらいいのかを考えざるを得ない。実に様々な経験をさせてもらった。その後社会人になってからの自分の組織論のコアにこれらの経験が生き続けている。

そしてまた、同期、先輩、後輩、実に立派な選手がそろっていた。技量のレベルも高かったが、チームのなかでの役割を皆よく自覚していた。三シーズン務めることとなった主務の間、一度も最下位になることなく、たびたび勝利の喜びを分かち合うことができた。感謝しかない。
究極のめぐり合わせで、この春、OB会長を拝命した。恩返しの機会を得たことに感謝しつつ微力を尽くしたい。

現在のチームは、マネージャーも男女各学年にかなりの厚みがあり、学生コーチ、アナリストも充実している。フォア・ザ・チームが自律的に浸透しているといっていいのだろう。
神宮球場という聖地において存分に力を発揮してほしい。そして六大学という素晴らしい仲間、心・技・体に優れた選手同士の切磋琢磨ができるということに、存分に喜びを感じてもらいたい。
そしてもちろん、勝利を手にし、高みを目指してもらいたい。そのことが六大学への最高の恩返しとなるに違いないのだ。

(東京大学野球部OB会長 昭和53年卒 神津 里季生)

第3週

この選手に注目!

2023/9/20 UP
OPEN

明治大学

明大の安打製造機というとこの男である。堀内祐我(4年=愛工大名電)は1年春からリーグ戦にベンチ入りしており昨年春季リーグ戦でブレイクをした。新チームでは副将を務め常に主将上田とともにチームを引っ張ってきた。 春は切り込み隊長として一番を任され、先頭打者としての打率は驚異であった。また、安定した堅実な守備で幾度となくチームのピンチを救った。ムードメーカーとしてチームメイトから愛され、笑いの中心にはいつも堀内がいる。そんなチームを愛し、チームから愛されたこの漢がラストシーズン、神宮球場で躍動する。(森裕規)

法政大学

法大の今秋注目したい選手は、西村(3年=中京大中京)である。西村は下級生の頃からリーグ戦のメンバー入りを果たしている程のポテンシャルの持ち主であり、特にこの夏はOP戦やキャンプで西村の特徴である走・攻・守バランスの取れたプレーと思い切りの良さで、存在感を遺憾なく発揮し、この秋の期待とチームの信頼度が一気に高まった。また、西村の魅力は技術のみならず、一つ一つのプレーに対する「執念」でチームを盛り上げられるところにもある。法大はよく、「ポテンシャルを秘めた選手が多い」「爆発力はある」などといった評価をいただくことがあるが、それだけでは目標の優勝には届かない。西村の様な、優勝への「執念」をチーム全員が持ち、地に足をつけ、一戦必勝でリーグ戦を全員で戦い抜く。(上田龍弘)

東京大学

この秋の注目選手としては大井温登内野手(4年=小松)を挙げたい。「打棒」という彼のあだ名が示す通り彼のバッティングセンスは群を抜いている。今季も今のところ4試合を終えて現在の成績は13打数6安打、打率4割6分2厘と大活躍している。また、昨年一塁手にコンバートして不安視されていた守備も今季はかなりの改善がみられる。しかしながらチームは4試合を終えてわずか3得点と厳しい状況が続いている。そんな苦しい状況ではあるが、最終学年の意地でチームを勝利に導く一打を期待したい。 (石井悠人)

立教大学

立大選手列の先頭に立つ、一際小柄な男。しかし試合になれば、その小柄さからは想像もできないような華麗な守備。この秋は是非、西川晋太郎(4年主将=智辯和歌山)に注目していただきたい。3春に神宮デビュー後、サード、セカンドと経験を積み、今季は慣れたショートに戻ると、当たり前のように好プレーを連発。甲子園を大いに沸かせた守備力もさることながら、今秋開幕2戦目には5打数4安打1打点と、打撃でも存在感を光らせた。私生活では、これ以上ないほど手が焼けるが、グラウンドでは、ずば抜けたセンスとスター性で見るもの全てを虜にする。そんな彼の学生野球も、残り3カード。主将・西川晋としても勿論、ピンチとチャンスにめっぽう強く、何かと奇跡を起こす「立大の小さな巨人」に、今季も目が離せない。(篠崎芽生)

早稲田大学

春の雪辱を果たすべく、夏の厳しい鍛錬を経て迎えた秋。2020年秋以来の優勝を目指す、部としても重要な秋であると同時に、4年生にとっては野球人生を懸けた集大成となるシーズンである。 この重要な秋、これまでの積み重ねが身を結び、初戦の東大戦でリーグ戦初登板を果たした、澤村栄太郎(4年=早稲田佐賀)と前田浩太郎(4年=福岡工業)に注目して欲しい。 澤村は新人戦から登板を重ねるもリーグ戦での登板機会には恵まれなかった。その中でも練習にひたむきに取り組み続け、この夏のオープン戦では防御率0.00を継続。信頼を勝ち取り遂にリーグ戦の舞台にたどり着いた。圧倒的な練習量で培われた打者に向かっていく姿勢が、チームを勢いづける起爆剤となっている。 前田は新人戦では内野手として活躍するも3年次に投手に転向、着実に実力をつけてきた。オープン戦から登板を重ね、リリーフの一角として地位を確立し、見事に神宮のマウンドにたどり着いた。どんな打者にも攻めきれるマウンド度胸と奪三振能力で、試合の流れを変える投球を期待したい。 迎えたラストシーズン。試合に出場する者、ベンチ入りする者、スタンドで応援する者、スタッフとして支える者。全員にとって共通の目標である「天皇杯奪還」を果たすために、4年生の活躍は必要不可欠なものである。すべての4年生の想いも背負いマウンドで躍動するこの二人が、早稲田の秋を牽引する。(緑川悠希)

慶應義塾大学

この秋、慶應の本間颯太朗(3年=慶應)から目が離せない。慶應高ではキャプテンを務め、一つ上の代から4番を張ったスラッガーがこの秋、遂に覚醒の兆しである。開幕週では1日2ホーマー、打率5割の活躍、サードの守備も安定した捕球と強肩でアウトを重ねた。そして、何より彼の魅力は底なしの明るさと負けん気である。チームがどんな状況でも誰よりも声を張り、守備位置からも投手へ最高の声掛けを続ける。魅力たっぷりの彼がKEIOを天皇杯へ導く。(藤井快)

応援席から

早稲田大学応援部

春季リーグは不甲斐無い結果に終わった。
野球部はプレイヤーだ。目の前のプレーに集中する。それならば、応援部はそれ以外の全てで野球部を鼓舞しなければならない。試合への本気度、応援席への集客、観客の方々を纏める技術・求心力・発声、相手校を圧倒する迫力などの全てで、野球部を支え、鼓舞しなければならなかった。もし出来ていなければ、それは野球部と共に戦ったとは言えない。
現実はどうだろうか。一歩も譲れない法政大学戦、最も落としたくない明治大学戦、最後の最後、早慶戦第3回戦、早稲田は集客力で敗北した。集客の差を、応援テクニックで埋める事も出来なかった。無論、相手校へのプレッシャーはさほど与える事が出来なかっただろう。早稲田が負けた殆どの試合が、集客で負けた試合であった。実に不甲斐無く、申し訳無い。
しかし、こんな我々にも、他大学の追随を許さない強みが1つある。内から湧き出る無限の愛校心である。我々は、早稲田がどうしようもないぐらい好きだ。好きで好きで仕方なく、だからこそ、早稲田を思えば、どのような状況からでも這い上がる事が出来る。
秋季リーグ、出来る事は全てやる。野球部を真に支える戦友として、天皇杯を都の西北に持ち帰る。(応援部主将 永田新)

神宮六景

”なんとかせい”

今から37年前の1986年秋季リーグ戦の神宮球場、その日私は明治大学野球部の故島岡吉郎監督の伝令役として神宮のマウンド上に駆け上がった。そしてピッチャーや集まった内野手に「御大が”なんとかせい”と、、この窮地を脱してこいとのことです。。。」との言葉を残しベンチに戻った。

この ”なんとかせい” は故島岡吉郎監督がその試合の大事な局面などでよく選手を鼓舞するときに発する言葉であった。当時の明治大学の人間力野球を象徴する言葉でもあったように思う。
いまの時代で考えるとこの“なんとかせい”は、“”この局面をなんとかマネジメントしてこい“”という意味に解釈できる。

大学卒業後社会に出てからは、この言葉を見聞きすることはあまり無かったが、私の現在の仕事である中小企業の経営に携わるようになって物凄く有難い宝物のような言葉となっている。

今日も、自分自身に伝令だ。

"なんとかせい”

明治大学野球部時代のいまだに記憶に新しい刺激的な4年間、ひいては東京六大学野球リーグで野球を続けさせて頂けた全てに心より感謝です。

明治大学野球部OB 昭和62年卒 山内康信 (有限会社ボールパークドットコム 代表)

第2週

ラストシーズンにかける思い

2023/9/13 UP
OPEN

早稲田大学

「ラストシーズン、必ず天皇杯を獲って終わる。」全員がこの思いを強く持っている。天皇杯を獲ることが出来るのは、最も真剣に野球と向き合い、最善を尽くしてきた者のみである。悔しいシーズンとなった春以降、各々が、選手として、学生コーチとして、トレーナーとして、マネージャーとして、データ班として、練習の補助員として、常に最善を追い求めてきた。「自分たちなら天皇杯を獲れる。」自分自身にも、チームメイトにもそう問いかけ続けてきた。来る9/16の初戦を最高のイメージで迎え、一切気を緩めることなく一戦一戦を戦い抜く。最後の最後まで全速力で駆け抜けたその先で、天皇杯を掴んでいるのは、早稲田である。(柴垣敬太朗)

慶應義塾大学

この秋、「天皇杯」というただ一つの目標に対して全員が全力でぶつかっていく。六大学の誰もがその思いでいるはずだ。僕ら4年生が入学した2020年、そこに待っていた大学生活は無かった。出る先ではマスク、試合日程も通常とは違う変則日程。「通常」が何なのか、わからない日々が続いた。徐々にできることが増えていき、たどり着いたラストシーズン。春から想像していた形でのリーグ戦を迎える事が出来た。しかしそれは僕らにとっては初めての、探り探りの運営であり、選手にとっても同様であったと思う。わからないこと、突然の出来事、周囲のサポート無しでは乗り越えることができなかったと思う。こうしてこれまでリーグ戦を続けることができたこと、奇跡とも言えるだろう。「通常」などではない。僕らでこれからも「新たな」リーグ戦を作っていく。(藤井快)

明治大学

ラストシーズンにかける思いはどの大学よりも強い。昨春はリーグ戦3連覇を達成したが、全日本大学野球選手権では準優勝と優勝まであと一歩というところで敗退してしまった。そこで秋に向けて主将上田を中心に4年生でもう一度チームの目標を再確認した。そこからリーグ戦4連覇、神宮大会優勝への思いはより一層強くなった。結果を追い求める姿勢も強くなった一方で後輩たちに何かを残そうという姿勢も見られるようになった。新チームになってから掲げたスローガン、「挑・超・頂」を体現すべく、喜怒哀楽をともにしてきた日本一最高な仲間と、日本一の応援団と、日本一熱いファンの皆様と、最後に頂点の景色を見る準備はできている。チーム上田の最終章、幕開け。(森 裕規)

法政大学

今年の4年生はラストシーズンにかける思いが例年以上に強い代であること間違い無い。これは法大のみならず、入学早々に新型コロナウイルスの影響を受け、思い描いたような大学野球にできなかった代であるからだ。しかし、今年はようやくその制限が解除され通常の内野席での応援が復活、またマスクや検温などといった細かな制限も緩和され、ある意味運のいい代であるとも言えるだろう。今秋の目標は勿論、法大らしい野球でリーグ戦優勝、日本一である。しかし、あの苦しかった日常から解放された今、歴史ある東京六大学で当たり前のように野球ができている事の感謝を他五大学の野球部、また応援団の皆様、または各大学のOB会をあげてこのリーグ戦を全力で楽しみ、ラストシーズンに花を咲かせられたらと思う。(上田龍弘)

東京大学

自分たちの代もラストシーズンに差し掛かった。「奪出」をスローガンに掲げ始まったTEAM2023も気づけば残り2カ月となった。惜しい試合は何度かあるものの未だ勝ち点はおろか勝利すら達成することができていない。何としても勝利を、そしてその先の勝ち点を奪い取り来年以降も六大学で戦う後輩達に強い東大を見せられるよう、そして自分たちの代を4年間見守っていただいた井手監督に恩返しができるようにチーム一丸となって秋季リーグ戦へ挑んでいきたい。(石井悠人)

立教大学

今年の立教は、”全く新しい立教に生まれ変わろう”という想いを込め、スローガンに「革新」を掲げ活動してきた。リーグ優勝・日本一を成し遂げるために、新チーム発足時から変化を恐れず、各々が強い覚悟を持って練習に取り組んだ。しかし、そうして臨んだ今春のリーグ戦は勝ち点わずか1と、立教らしさが発揮されない不甲斐ないシーズンとなった。遂に迎えた秋季リーグ戦は、4年生にとって泣いても笑っても最後のシーズンである。春に噛み締めた悔しさと夏で得た成果を揺るぎない自信に変えて、自分たちにできる最大限のパフォーマンスを発揮し、1戦1戦を戦い抜きたい。ここまで共に歩んできた選手・スタッフ一丸となって、集大成としての優勝を掴み取りたい。(中澤智恵美)

応援席から

神宮六景

今、感じること

私は、東京六大学野球連盟の公式記録員、法政大学野球部OB(1993年/平成5年3月卒)の鈴木則久です。今年で9年目になります。また、今秋リーグ戦の開幕月である9月で53歳となりました。
法政大学野球部を卒部してから30年が経ちました。今、公式記録員として東京六大学野球に携わることが出来て、とても有り難く幸せなことであると強く感じています。大学まで野球を続けさせてくれた両親、そして入部を受け入れていただいた法政大学野球部に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。

公式記録員は、審判員の方々と各校のマネージャーたちと協力し合いながら、リーグ戦を運営しています。公式記録員席の目の前で繰り広げられる選手たちの一投一打からは、自身の選手・指導者時代には感じることの出来なかった新たな学びの連続です。
例えば、試合のスピードアップが社会人野球と大学野球において(令和元年6月9日通達より)特別規則として適用されています。その中で、「投手は(中略)、走者がいない場合には12秒以内に、走者がいる場合は20秒以内に投球しなければならない。(以下、略)」と時間が明記されていますが、攻守交代をスピーディーにすることも大事です。いかに速く攻撃の準備に入るか、いかに速く守備の準備に入るか。それは攻守において好プレーを生み出し、チームを勝利に近づける要因の一つになっていると断言出来ます。
そのいかに速く準備をすることの重要性は、自身の平時の仕事にも通じ、大いに役立っています。

秋のリーグ戦は、毎年のことではありますが、最上級生である4年生たちにとっては大学野球のラストシーズンです。春とは違った4年生たちの集大成を懸けた大学野球ならではの熱いリーグ戦となります。
また、スタンドには多くの高校球児の姿が在ります。その目的は、少しでも野球(技術)が上手くなるために、そして甲子園出場につなげるためです。東京六大学野球から少しでも多くのことを学ぼうとするその眼差しと、ノートとペンを持ったその姿はとても真剣です。
六大学の選手の皆さんには、皆さんがそれぞれに体験してきた高校球児の先輩として高校球児たちのお手本となるプレーと立ち振る舞いをお願いします。その姿を高校球児たちが観て、「東京六大学で野球がしたい」と一人でも多く感じてもらえることが東京六大学野球の発展にもつながっていくからです。

2年先の2025年(令和7年)に東京六大学野球連盟は100周年になります。これまで各六校の諸先輩方が積み重ねてこられた一試合一試合、一つ一つのプレーと記録があります。
そして、これから刻まれていく選手たちの一投一打を的確にジャッジし、その記録をスコアシートに丁寧に見やすく分かりやすく記入していきます。

最後に、東京六大学野球連盟の公式記録員の私を、いつも応援してくれている家族に感謝の気持ちを記します。ありがとう。

令和5年秋季リーグ戦の開幕日に寄せて
法政大学野球部 公式記録員 鈴木則久

第1週

この夏の収穫

2023/9/6 UP
OPEN

立教大学

この夏の収穫は、夏季キャンプを始めとして、非常に充実した練習ができたことである。1軍は8/1~8/3にかけて仙台を拠点にオープン戦を行い、8/4~8/13にかけて岩手県陸前高田市・高田松原奇跡の一本松球場にてオープン戦を交えながら練習に励んだ。残ったメンバーも新座グラウンドにて強化練習を行った。前年のようにコロナによる規制もなく、充実した環境で存分に野球に打ち込むことができた。このキャンプでは実践練習を中心に行い、個人の技術力向上だけでなくチームプレーの徹底にこだわった。春に2勝8敗勝ち点1の5位だったという事実を受け止め、現状を打破するためにチームにできることは何かと、全員が各々の役割を考えた。その成果は一体感の醸成にも大きく繋がったと考えている。キャンプ後は、オープン戦を始めとする実戦を通じて秋季リーグ戦に向けた戦い方を徹底するべく練習に打ち込んだ。終盤ではようやく手応えを感じられた。現在も、不甲斐なく終わった春の悔しさを胸に、チーム全員が秋季リーグ戦に向けて準備を進めている。この夏に得た自信を確信に変え、立教野球部が革新を起こす。(玉井一騎)

早稲田大学

早稲田大学野球部に受け継がれる、「一球入魂」の精神。どんなに苦しい状況になっても戦い続ける精神を再確認できたことが、この夏の収穫である。この夏、弊部は昨年に引き続き新潟県南魚沼市でのキャンプを行った。8月6日から19日まで4試合の実戦を含めた日程で、13泊14日間に及ぶ厳しいキャンプを通し、春シーズンで見つかった課題と向き合い克服することができた。また、12日に開催された「全早稲田戦」では、一発勝負の厳しい社会人野球の世界で活躍する先輩方からも多くのことを学び、また早稲田大学野球部の伝統を担う責任と覚悟を再認識する機会となった。いい流れで始まるも、4位という悔しい結果に終わった春のシーズン。春に掲げた「天皇杯奪還」を果たすべく、更に厳しい鍛錬を積んだ選手たちが、神宮球場で躍動する。(緑川悠希)

慶應義塾大学

8月4日から17日までの2週間、北海道幕別町・旭川市にてキャンプを行った。涼しい日が続き、日によっては上着が欠かせない日もあった中、朝から晩までみっちりと練習を積み、チーム力を数段アップできた最高のキャンプであった。このキャンプから始まった夏の収穫は新戦力、特に1年生投手の台頭だ。北海道キャンプへ5名の1年生投手が帯同、多くの登板機会を得た。春はここぞの場面で粘りきれない、枚数不足により勝ちきれない試合も多くあったが、好材料が多く見える。その中でも2人、竹内丈(1年=桐蔭学園)と渡辺和大(1年=高松商業)に期待である。竹内は春の早慶戦にも登板。派手さはないが、テンポのいいピッチングが魅力だ。渡辺はダイナミックなフォームから打者を圧倒する。彼らの活躍が秋優勝へ導いてくれることだろう。(藤井快)

明治大学

雑草魂という言葉がこの男には似合う。吉田匠吾(2年・浦和学院)は1年春からベンチ入りをしたものの、レギュラー争いは激しくここまで1軍の試合でチャンスを掴むことができていなかった。この夏もキャンプメンバーからは外れていたが、新潟で開催されたサマーリーグに参加し猛アピールをした。8月中旬から始まったオープン戦で与えられた1打席でチャンスを掴み、泥臭く結果を残し続けている。彼の一球にかける思いはプレーにも表れており、どんな時も諦めない。神宮球場では持ち味を活かしたプレーでチームを活気づけてくれるに違いない。(森裕規)

法政大学

春、法大は勝ち点4に留まり2位という結果に終わった。この夏はその残りの1つの勝ち点をいかにして取るのか、をチーム全員で突き詰め、充実した期間にすることが出来た。特に、8/1〜8/7の期間はチームの強化週間として、Aチームは北海道へ行き、好適な環境で更なるレベルアップを図り、そして残りのメンバーは小杉キャンプを実施し、チームの課題でもある底上げを目標に、目的意識を持ちながら連戦を重ねる事ができたと考える。また、今夏よりコロナ禍で制限がされていたホーム戦の入場制限もようやく解除され、毎週のように保護者の方々、そして遠方からわざわざ応援に来てくださるOB・OGの方々のお言葉を沢山いただく事ができ、改めて当たり前のようにこうして野球が出来ていることへの「感謝」を部員一同、再確認する事ができた。秋こそは、連日の練習で培った技術・体力、改めて再確認できた、支えてくださる方々への感謝の気持ちを神宮で全面に表現し、法政らしい野球で皆様に感動を届け、必ずや天皇杯を奪還する。(上田龍弘)

東京大学

この夏はAは去年に引き続き遠軽町、Bは去年の室蘭市から変更して岩手で合宿を行った。真夏にもかかわらず最高気温が20℃程度になる日もあるなど非常に冷涼な気候の中で、合宿先の関係者の皆様にも様々なご協力をいただき非常に充実した合宿を過ごすことができた。また、合宿より帰ってきたのち、かつての帝国大学の流れを汲む7大学で争われる全国七大学総合体育大会(七大戦)でも優勝するなど合宿の成果を示すことができた。その後のオープン戦でも主力投手がしっかり押さえ、主力打者が要所で安打を放つ展開が続いている。この良好な状態のまま「奪出」を目指し秋季リーグ戦に挑む。(石井悠人)