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号外WEB版

TOKYOROCKS2020 秋季号外

第9週

秋季リーグ戦を終えて

2020/11/11 UP
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東京大学

あれだけ努力しても勝てないのか。11月1日の東明2回戦。笠原(4年=湘南)が打ったフライを明治大学のセンターが掴んだとき、そう思いました。飄々と投げる明治大学の先発竹田投手の前に、最終戦と意気込む東大打線が打ったヒットは、石元(4年=桐朋)の放ったホームラン1本だけ。野球の残酷さを思い知らされました。東大野球部はこの秋季リーグ戦、9敗1分と勝利を掴むことができず、連敗脱出は果たせませんでした。3年前に見せていただいた勝利、そして勝ち点獲得という素晴らしい景色を、下の代へと繋ぐことができなかったのはあまりにも悔しく、申し訳ない思いでいっぱいです。それでもこれだけ届かないからこそ、この六大学という舞台で挑戦し続ける価値があるのだと思います。これまでたくさんの応援のお言葉やご声援をいただき、誠にありがとうございました。僕たち4年生は引退となりますが、今後とも東京大学野球部をよろしくお願い致します。

立教大学

立大にとって、この秋はとても苦しいシーズンだった。開幕4連敗を喫し、東大一回戦も引き分け、二回戦でなんとか勝利を掴んだが、早稲田戦も1敗1引き分け、8試合で1勝しかできないという結果に、肩を落とす選手もいた。しかし、このままでは終われない、最後の最後に、絶対に一花咲かせ、有終の美を飾ろうと、気持ちを一つに臨んだ法大戦、1戦目は今季初スタメンの林中(四年=敦賀気比)の適時打や中﨑(四年=立教新座)、中川(四年=桐光学園)の好投で勝利を掴んだ。勝てば四位が確定する二回戦は、序盤に2年生の野手陣の活躍で試合を有利に進めると、最終回、主将宮慎太朗(四年=市船橋)のダメ押しタイムリーで試合を決めた。チームの為に誰よりも努力をした宮のタイムリーは、私にとっても一生忘れられない一打になった。これで四年生は引退となるが、素晴らしい最後を迎えることが出来た。同期のみんなには感謝の気持ちでいっぱいである。(髙橋嶺一)

早稲田大学

秋のリーグ戦を終えて、まずはリーグ戦を無事終えることができたことに感謝したい。今年はコロナウイルスという未曽有の事態により、リーグ戦が行えるかどうかわからなかった。しかし、六校が結束し何としてもリーグ戦を行えるように、日頃の生活の中で少しでもリスクを減らすように協力しながら取り組むことで無事行うことができた。特に春のリーグ戦は中止にすることなく実施できた大学リーグは東京六大学のみである。六大学が大学野球界におけるコロナ禍でのリーグ戦の基盤をつくることができたことを誇りに思う。来年以降もどのような形式でリーグ戦を行うかはわからないが、六校が結束すれば、どんな困難も乗り越えることができると確信している。(豊嶋健太郎)

慶應義塾大学

春2位の雪辱を胸に挑んだ秋だったが、あと1勝、あとアウト1つ届かなかった。東大戦から順調に勝ち星を重ね、第7週を終えて単独首位。試合を経るごとに確実に成長を遂げ、誰もが優勝できると信じて疑わないチームだったが、宿敵・早稲田の壁は高く、1球の重みをまざまざと見せつけられた。ただ、チームの結果はこれ以上ないほど悔しい一方で、4年生の活躍が光ったシーズンでもあった。スタメンにこそ名前は少なかったが、ここぞの場面での一投・一振りが勝利を手繰り寄せてきた。4年生の活躍なしにはここまで戦い抜けなかったことは間違いない。決して忘れることのできない壮絶な幕切れではあったが、このチームで勝てなければ悔いはない。天皇杯奪還は来年のチームに託した。(福田拓也)

明治大学

昨春5位からの逆襲を狙った今季。開幕は思い通りにはいかなかった。早稲田大学の早川投手相手に17三振を喫して完敗。春の悪い流れをそのまま引きずってしまうのではないか。そんな空気がチームにも流れた。しかし、ここから主将の公家響(4年=横浜)を中心に今年のチームの真価を発揮する。早稲田大学2回戦、3点を追う展開。粘り強い野球をし、追いつきこの試合を引き分けに持ち込んだ。この試合がターニングポイントとなり、その後は4連勝し迎えた慶大戦。ここまで健闘してきた投手陣が1球に泣いた。満塁ホームランを被弾し敗戦。優勝争いから後退した。最終成績は2位。悲願の優勝とはならなかったが、春のシーズンからチームが成長したことは間違いない。3年生以下の活躍もあった今シーズン。来年以降の明治野球にも目が離せない。(太田 空)

法政大学

春の優勝から一転、5位。この秋は悔しいシーズンだった。しかし、この1年間を忘れることはない。この情勢の中で2シーズンとも開催出来たこと。神宮球場で野球をさせて頂いたこと。春、タイブレークで2試合勝ったこと。六大学最多46回目の優勝。秋、対早稲田大学1回戦での鈴木昭汰(4年=常総学院)と早川投手の投げ合い。神宮球場に響いた応援団の最後の校歌をグラウンドで聞いたこと。強く、強く記憶に残っている。青木監督、銚子助監督、149名の部員の「和」で駆け抜けたこの1年間は間違いなく「特別」だ。(福島駿樹)

第8週

この秋のMVP

2020/11/4 UP
OPEN

法政大学

「エース」鈴木昭汰(4年=常総学院)がMVPだろう。ここまでチーム最多の6試合に登板。投げたイニング数32回に対して失点は3(10/30現在)。大車輪の活躍である。そんな鈴木だが、これまでの3年間、目立った活躍はなかった。鳴り物入りで門をたたいた大学のスタートだったが、一時は球速も120キロ台まで落ち込み、悔しさを感じ続けた。そんな逆境を跳ねのけ、ラストイヤーの今年は1年間エースとしてマウンドを守り続けた。先のドラフト会議では千葉ロッテマリーンズから1位指名をうけ夢を掴んだ。同じく六大学からプロに進む8人の投手人と共に活躍が期待される。「法政のエース」から「日本のエース」へ。これからも鈴木の活躍から目が離せない。(福島駿樹)

東京大学

東大のこの秋のMVPといえばやはり主将の笠原健吾(4年=湘南)である。打撃こそ本調子ではないままシーズンを終えたものの、四死球を7つ奪い取ったほか、2つの盗塁を決めるなど1番打者としての役割を果たしたと言えよう。さらにセカンドの守備では、広い守備範囲を披露し、ここぞという場面での執念のファインプレーが光った。試合中も笑顔を絶やさず常に楽しそうに野球をする姿は、多くの人の心を引きつけただろう。そして何より主将として、練習では100人を超える大所帯のチームをまとめ、試合中はどんな展開でもチームを鼓舞し続けた姿は誰がなんと言おうとMVPに違いない。

立教大学

立大のこの秋のMVPといえばこの男、竹葉章人(四年=龍谷大平安)である。6週目を終え、打率は.450で首位打者に立っており、守備面においても、扇の要として立大投手陣を引っ張る。チーム一の努力家である竹葉が最後の秋が輝き、私はとても嬉しい。雨の日にグラウンドでストップ練習をやる姿、午前の練習後に寮内でバットを振る姿、夏の日にグラウンドコートを着てトレーニングを行う姿、夜中に白米をたらふく食べる姿、寮長として朝の掃除のチェックをする姿まで、彼の好プレーのたびに、その全てが走馬灯のように蘇る。その度に野球の神様は見てくれているのだと感じる。努力することの大切さをチーム全員に教えてくれた彼は、文句なしのMVPであり、私の中のスーパーヒーローである。(髙橋嶺一)

早稲田大学

秋とはいわず、この1年間でのMVPを杉浦啓斗(4年=早稲田実)学生コーチに授けたい。このチームになってから、幾多の困難が待ち受けていた。新型コロナウイルスによる合宿の中止や春のリーグ戦の延期等、挙げたらきりがない。そんな困難に対し、彼が中心となって、何度も腹を割って話し合い、それを乗り越え、当初とは見違えるほどチームは変貌した。それもすべて、杉浦がチームを第一に考え、身を粉にして動いてくれたからだ。彼がいなければ、今のチームはなかったと確信している。大学野球最後の秋のシーズン、優勝に望みをつなげた状態で早慶戦を迎えることができた。彼が引っ張ってきたこのチームで天皇杯を死ぬ気でつかみ取り、有終の美を飾る。(豊嶋健太郎)

慶應義塾大学

第7週終了時点で全8試合のうち7試合に登板、防御率0.90を記録している生井惇己(2年=慶応)の躍動が止まらない。登板した全試合で最終回を締めるなど、まさに終盤のスペシャリスト。豪快なフォームから繰り出される速球で打者を圧倒していく姿には、既に絶対的守護神としての風格も出てきた。そんな彼だが、マウンドで見せる笑顔は純粋な野球少年そのもの。心から野球を愛し常に打者との勝負を楽しんでいるからこそ、ピンチでも物怖じしない強心臓も兼ね備える。今季最終戦にして大一番となる早慶戦も、生井を後ろに据えた盤石の投手陣の準備は万全だ。投手陣を中心とした、泥臭く粘り強い全員野球で天皇杯を奪還する。(福田拓也)

明治大学

この秋の明治のMVPといえば入江大生(4年=作新学院)、この男で間違いないだろう。春は悔しい結果に終わり、巻き返しを狙った秋。現在(10月30日)チームの勝率は5割以上が確定している。これは入江の躍進があったからと言っても過言ではない。ただ入江も開幕から万全だった訳ではない。初戦の早稲田戦では5回6失点と乱調、2カード目の立教戦も勝ちは付いたものの6回3失点と本来の姿ではなかった。しかしここから入江は驚異の修正能力を魅せる。3カード目の昨春王者の法政戦では13奪三振で自身初の完封勝利を挙げた。チームの誰しもが認めるエースになった瞬間でもあった。リーグ戦で投げる姿はもう見ることが出来ないが、更に上のステージで活躍する入江が今から楽しみで仕方がない。(太田 空)

応援席から

明大スポーツ新聞

今春5位に終わったチームの再起に、この男の存在は欠かせなかった。明治の〝11〝を背負う、入江大生投手(政経4=作新学院)だ。最速153キロを誇る直球を主体に、力強い投球でチームを鼓舞した。
今秋は既に2完投。春の王者・法大との2回戦では9回13奪三振、完封と圧巻の投球を見せた。「気持ちを込めすぎないこと、心を落ち着かせること」(入江。常時、セットポジションに切り替え、脱力したフォームから放たれる速球で、三振の山を築き上げた。
エースとして明大野球部を支えた入江。卒業後は、ドラフト1位の肩書を下げ、横浜DeNAベイスターズに入団する。ハマの入江大生の今後の活躍に、目が離せない。
野口優斗

早稲田大学応援部

本年度は新型コロナウィルスの影響により応援という行為が現在の社会に反する様な行為となってしまいました。しかし、様々な方々のご協力があり秋季リーグ戦は外野での応援という形になりましたが、応援部の原点である野球応援を行う為に神宮球場のスタンドに立つことが叶いました。どんなに大差で負けている場面でも諦めずに全力で応援することと同様に、満足に練習や活動が出来ない状況であっても全力で鍛錬を重ねて参りました。その原動力には優勝を経験することなく引退した昨年の先輩方から託された優勝への想いというものがあります。たとえ声が枯れようとも少しでも選手の力となれる様な応援を最後迄、部員一同全力で行う所存です。
代表委員主将 宮川隼

神宮六景

平成4年春のリーグ戦、前年の春秋リーグ戦連覇を受けて3連覇を目指し意気込んで臨んだが、結果は4勝6敗の5位。惨敗であった。主将としての不甲斐なさ、一選手としての悔しさが湧きたつ中、夏季練習を前に「チームとして何をすべきか?」と考えに耽っていた。

そんな時、同期が「4年全員で話し会おう」と声を掛けてくれた。喧々諤々、それぞれが思いの丈をぶつけあい話し合った。出した結論が「チームの勝利のために全員が納得するプレーをすること」。試合に出るメンバーは、塾野球部の代表であり、控えメンバーの思いを背負ってプレーせねばならない。結果がどうあれ、どんなコンディションでも言い訳をせずに部員全員、そして塾生の期待に応えるべく精一杯のプレーすることを誓い合った。目指すべき目標はもちろん「リーグ優勝、そして日本一」であるが、それに対するアプローチを確認し、自分たちが為すべきことが明確となった。

迎えた夏季練習は、これまでにない充実した練習であった。ベンチに入っていない4年生が率先して練習の手伝いを務めてくれ、神宮球場で行う試合前の練習までサポートしてくれた。リーグ戦の試合中はベンチ上のスタンド最前列で、雨の中でも声援してくれていた。そんな思いに応えるべく我々メンバーは必死に戦った。手薄だった投手陣では、4年春まで殆どリーグ戦で登板の無かった同期の松本投手がエースとなり大活躍、春は繋がりを欠いた打撃陣も奮起した。個々が役割を全うし、同じ方向を目指して戦い続けた結果、勝ち点5の完全優勝、そして明治神宮大会優勝し、有終の美を飾ることが出来た。そして、スタンドの塾生、応援指導部、家族、ファンの皆様に優勝という報告が出来たのが何よりの喜びであった。

今でも思い出されるのは、リーグ戦の各試合の内容よりも、あの夏のミーティングとその後の夏季練習、そしてチーム全体の思いが実を結んだ優勝の瞬間である。チームとして戦う事の大切さを再確認し優勝までの道のりを共に歩んだ同期に感謝し、前田監督の教えである「エンジョイベースボール」を経験させてくれた神宮球場に感謝したい。(平成5年卒 印出順彦)

第7週

チーフマネージャー紹介!

2020/10/28 UP
OPEN

明治大学

部員、OB、来客、野球部に関わる全ての人から絶大な信頼を置かれる主務・太田空(4年=明大中野)。常に笑顔を絶やさず、日々マネージャー業に奔走しているが、そんな彼の涙を一度だけ見たことがあった。昨年の全日本大学野球選手権大会優勝後、神宮球場のゲート前で前監督・善波達也氏と会話しながら号泣していた太田。会話の内容は分からなかったが、大粒の涙を流しながら善波氏の言葉を噛みしめるように頷いていた。普段から他人に優しく己に厳しいタフな精神を持つ太田の涙。その泣き顔に日本一の喜び、3年生主務としてそれまで抱いてきた葛藤や苦悩など、背負ってきたもの全てが映されているように見え、普段から抱いていた尊敬の念がより一層強くなっていた。「心で考え、心で動く」太田の座右の銘であり、彼の人間性を体現している言葉だ。今秋引退する彼ら4年生の魂を継承し、新生・明大野球部マネージャー陣は再出発する。

法政大学

今回紹介するのは福島駿樹(4年=法政二)法政大学野球部主務だ。持ち前の視野の広さと優れた判断力、対応力でチームを支え続けてきた。また、主務として13名のマネージャー陣を牽引。常に気を配り、チームの事を最優先に考え、法政大学野球部の顔として活躍する彼の背中はとても大きかった。人懐っこい性格で面倒見がよく、いつも何かと私たち後輩のことを気にかけてくれていた。そんな毎日のしょうもない「ちょっかい」を受けられるのもあと数回だと思うと何だか名残惜しい。そして気がつけば残すところは立教戦のみ。誰よりもチームの為に努力し、駆け抜けた4年間の集大成。彼の生き様をその目に焼き付けろ。(小泉翔矢)

東京大学

行動力、フットワークの軽さに長け、その持ち前の長所を生かしてチームを束ねていた我が野球部の主務は玉村直也(4年=渋谷幕張)である。常にチームのことを最優先に考えて行動し、いかなる状況でも持ち前の明るさ、優しさで真摯に対応し、先陣を切ってチームを牽引する。イレギュラーな出来事が数多く存在したにも関わらず円滑に運営できたのも、玉村の献身的な支えのおかげであることに疑いの余地はない。まさにチームの大黒柱のような存在である。チームは立教戦で3年ぶりとなる勝ち点奪取を成し遂げたものの、連敗記録は依然として続いている。「勝ちを知っている自分たちの代で何としても勝つ。」その並々ならぬ執念で悲願の連敗脱出も成し遂げるであろう。(吉田洸)

立教大学

日頃からチーフマネージャーとして誰よりもチームのことを考え、総勢155名の部員を統括しているのは、髙橋嶺一である。(4年=立教池袋) 髙橋は1年の夏にプレイヤーを引退し、マネージャーに就任した。明るい性格と抜群のリーダーシップでマネージャー陣を引っ張ってきた。そして、今年は誰もが経験したことのない未曾有のコロナ禍でのマネージャー業務を持ち前の冷静な判断力と柔軟な頭脳で、物事を分析し、我が部を動かしてきた。また、常にチームの状況を把握するために、監督、コーチ、選手、学生コーチとの密なコミュニケーションも欠かさない。今年のリーグ戦も残すところ今週末の法政戦の2試合となる。是非とも神宮球場で髙橋嶺一の勇姿を目に焼き付けていただきたい。 (竹間 心)

早稲田大学

2020年、2人にとってのラストイヤーは、これまでになく困難な道のりだった。コロナ禍で活動の現場を失い、先行きが不透明な状況でも、部員140名をまとめた2人は、主務の豊嶋健太郎(4年=南山)と副務の牛島詳一朗(4年=早稲田摂陵)である。1年生の冬に仲間の思いを受け、選手からマネージャーに転身。以降、マネージャーとしての膨大の業務を互いに支え合って乗り越えてきた。何事もタフにこなす豊嶋と人望の厚い牛島の働きぶりを一番近くで見て来たが、青春を捧げた大学野球への想いは誰よりも強いものがある。ラストシーズンも残りわずか。臙脂の逆襲の陰に、常に身を粉にしてチームを支え続けてきた2人の存在があったことを忘れてはいけない。(藤内 裕夢)

慶應義塾大学

このベストコンビを欠いて慶大野球部は成立しないだろう。主務・福田拓也(4年=慶應)と副務・赤松尚範(4年=小山台)がチーム運営の先頭に立つ。2人はより良いチームを作るべく、課題に対して監督と日々討論を行うことで最適解を導き出し、実践してきた。福田は周りを明るくする温厚な性格と全体を見る目を活かし、常に的確な判断を下すことでチームをまとめ上げた。赤松は強い責任感、ときに厳しい声かけによって、同期や後輩を鼓舞し、隙のないチームを作り上げた。役割と性格は異なるが、共に日本一という目標に対して一心同体となり、駆け抜けた4年間も集大成。彼らが中心となって作り上げてきた最高のチームをご覧あれ。(湯川適)

応援席から

「立教スポーツ」編集部

暗雲が漂っている。6戦目にして初白星を挙げたものの、5位に沈む立大。理由は簡単。投打がかみ合わないからである。しかし、1年前を思い出してみよう。開幕4連敗を喫してからの3カード連続奪取に成功した昨秋を。きっかけは何か?タテジマの伝統である、状況に流されないでプレーをする“明るい野球”を取り戻したからである。今年のスローガンは‘’煌奮迅”。「どんな状況でも、自分や周りの人を奮い立たせるという意味が込められている」と主将・宮慎太朗は語った。残る対戦カードは法大のみ。ドラフト候補の好投手たちが立ちはだかる。しかし、恐れる必要はない。波に乗ったタテジマは強い。闘志を絶やさずに一戦必勝で残り2戦に挑む。
川崎翔海

東京大学応援部

平素より東京大学に熱いご声援を頂き、誠にありがとうございます。また本年度はこのような社会情勢の中、私達の応援のためにご尽力頂いた全ての方に、心より感謝申し上げます。
4年間という時間を野球に捧げ、時に私には推し量れないほどの葛藤や苦労を乗り越えて来たであろう野球部の勇姿を、大学入学前には憧れの存在、今では心から尊敬できる友人となった野球部の勇姿を、神宮球場の特等席から見届けられるのも今年もあと2試合となりました。勝ちたい。野球人生のクライマックスを最高の笑顔で終えてほしい。そして歓喜の瞬間を共に分かち合いたい。そのために応援部にできることがあるなら、力尽きるまで声援を送り続けたい。これが今の率直な思いです。
野球部の”挑戦”、最後まで全身全霊で応援いたします。(菅沼修祐)

神宮六景

「コロナ禍の東京六大学野球」

東京六大学野球連盟は日本国内でも新型コロナウイルス陽性者が増加していた3月6日に理事会を開催して4月11日開幕予定の春季リーグ戦を開催すべく準備を進めると発表した。感染が拡大していく中、4月5日に臨時理事会を開催して5月下旬に開幕を延期して1試合総当たり制で開催することを発表したが、翌々日の7日に緊急事態宣言が発出され、国内のイベントは全て開催出来ない状況となった。

5月6日までとなっていた緊急事態宣言が解除されず延長となったことを受け、5月13日に臨時理事会を開催して5月のリーグ戦開始を断念し、8月に春季リーグ戦を開催することを模索する決定をした。国内感染状況が落ち着きをみせた7月10日に理事会を開催して「新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」を策定の上で8月10日に春季リーグ戦を開幕することを決定した。

真夏の春季リーグ戦は全国25の連盟の春季リーグ戦が中止された中、観客の上限3,000人として開幕、1試合総当たりで9日間(1試合順延)連続の開催であった。連盟の役員、選手はもちろんのこと、観客の皆様に検温の協力をお願いして、プロ野球、Jリーグ、大相撲以外で観客を入れての試合開催は六大学が初めてだった。

連盟は8月17日に理事会を開催して秋季リーグ戦を9月19日から8週間、10試合制で開催することを発表し、観客の上限も5,000人として外野席に応援団(部)スペースをとってどこよりも早く感染対策を講じた上で応援団の入場を認めた。その後10月17日から観客の上限を10,000人に増やした。

秋季リーグ戦も終盤を迎えていますが、各校の努力で感染対策を十分に行い11月8日の最終日まで無事に終われることを願うばかりです。(東京六大学野球連盟 事務局長 内藤雅之)

第6週

我が部の俊足選手

2020/10/21 UP
OPEN

慶應義塾大学

3年生ながら現役通算盗塁数トップを走る渡部遼人(3年=桐光学園)が、我が部の俊足選手だ。1年生からその類稀なる野球センスと走力を見出され、神宮の舞台で躍動してきた。一度塁に出れば相手の癖を見抜き盗塁を重ね、わずかなバッテリーミスでも次の塁を陥れる。まさに走塁のスペシャリストと呼ぶに相応しく、塁上から相手バッテリーを揺さぶり続ける。もちろん走塁だけでなく、打席に立てば高いミート力に小技を絡め出塁し、守備では持ち前の打球判断と守備範囲の広さでチームを救う。春こそ途中出場が多かったが、今秋は「2番センター」に定着し攻守の軸として欠かせない存在となった。彼の快足を活かしたプレーで、優勝がかかる後半戦を制していく。(福田拓也)

明治大学

明治が誇るスピードスターは村松開人(2年=静岡)である。明治の俊足と言えば丸山和郁(3年=前橋育英)を想像する人が多いだろう。しかし村松も引けを取らない。盗塁のタイムを計測するとチームトップのタイムを記録する。1年春からベンチ入りを果たし、その年の秋のシーズンでは4試合に先発出場するなど2年生ながら経験も豊富である。足だけではない。ミート力の高いバッティングも彼の持ち味だ。明立2回戦では代打で出場し、逆転となるタイムリー2塁打を放ち、打撃力の高さも見せた。この秋はベンチスタートとなることが多いが、点が欲しい時に代走や代打で彼は必要不可欠である。彼が出場した時、明治は勢いづく。(太田 空)

法政大学

「機動破壊の申し子」宮本隆寛(4年=健大高崎)がダイヤモンドを駆け回る。50メートルを5秒8で走る俊足に加え、チーム唯一無二の走塁技術を併せ持つ。4年間、スタメンでの出場はほとんどないが、それでもチームトップの6盗塁を記録している。また、彼の走塁技術は盗塁のスタートだけではない。常に先の塁を狙う姿勢、走塁中の判断力も素晴らしいものがある。そして、彼一番の魅力が「スライディング」だろう。野手のタッチをかいくぐるような素ライディング、勢いのあるヘッドスライディングに注目してほしい。残り試合、彼の足が法政に勝利の得点を呼び込む。(福島駿樹)

東京大学

東大の俊足選手といえば宇佐美外野手(4年=桐朋)であろう。秋季リーグ戦ではここまで出場こそないものの、全試合でベンチ入りを果たして出場に備えている。俊足を活かした広い守備範囲から、春季リーグ戦の慶應義塾大学戦、1点リードの最終回に守備固めとして出場を果たしたように、代走だけでなく守備のスペシャリストとして監督からの信頼も厚い。またその性格から後輩にも慕われており、副将としてチームを支える役割も果たしている。秋季リーグ戦、残りの試合も少ないが、勝負どころでの出場機会が必ず訪れるであろう。チームを3年ぶりの勝利に導くプレーに大きな期待がかかる。

立教大学

立大の代走の切り札といえば、荒井智也(四年=佼成学園)である。彼の身体能力はチームトップレベルで、身体に積んでいるエンジンが人とは違う。一歩目でトップスピードになり、減速という言葉を知らない彼の走りは圧巻。部員に宇宙人というあだ名をつけられてしまう程である。また、新人監督という学生コーチの立場も担っており、選手からの信頼は厚い。練習後の自主練習も欠かさず、身体を大きくするために食堂でとてつもない量のご飯を食べる等、彼の努力は誰が見ても本物である。リーグ戦では、1点を争う緊迫した場面で代走起用されることが多い。プレッシャーのかかる中でも迷わずスタートできるのは、誰よりも努力してきたという自信なのかもしれない。韋駄天荒井の足が神宮に嵐を巻き起こす。

早稲田大学

早稲田の俊足選手は、真中直樹(4年=早大本庄)だ。50メートル5秒9を記録する彼は、走塁のみならず、足を活かした広い守備範囲と高いミート力を持つ魅力多き選手だ。試合序盤は1塁ランナーコーチャーとして走者へ正確な指示を出し、常に攻撃の一役を担っている。大事な場面になると、代走として出場しその俊足で盗塁を決める時もあれば、相手バッテリーにプレッシャーをかけ打者を助けることもあり、試合で果たす役割はかなり大きい。また、寮長として日々の寮生活の管理も務めており、チームの信頼が厚く、野球以外の面でも早稲田にとって欠かせない存在だ。多方面でチームに貢献し、背番号「1」を背負う男姿に注目だ。(牛島詳一朗)

応援席から

早稲田スポーツ新聞会

「自分が関与していない得点や他の人のいいプレーを、当事者以上に喜びたい」。秋季リーグ戦開幕前に金子銀佑(教4=東京・早実)が語ったこの言葉は、今年の早大の、特に4年生の雰囲気を象徴している。
今年の4年生は全員が『チームが優勝するために何をすべきか』を考えて行動していると、杉浦啓斗新人監督(文構4=東京・早実)は話す。早川隆久主将(スポ4=千葉・木更津総合)らリーダーが機能し、他の4年生もそれぞれの役割を全う。その姿勢を目の当たりにした下級生は、4年生のためにと奮起を見せる。
ここまで6試合を終えて勝ち点5と、10季ぶりの優勝へ突き進んでいる早大。結束力という大きな武器を手にした『強い集団』は、もう誰にも止められない。(早稲田スポーツ新聞会3年=池田有輝)

慶應義塾大学應援指導部

2020年8月の春季リーグ戦は、「神宮球場で応援ができること」が当たり前のことではない、幸せなことであることを改めて実感すると同時に、これまでの応援を見直し、新たな応援を検討する大変貴重な機会となりました。そしてついに今シーズン、球場での応援が叶うこととなりました。ご尽力いただいた関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
私達の応援は、「応援席の方々の想いを形にし、最高の応援にする」という方法で成り立っています。ゆえに、外野席からの応援はこれまでとは異なる応援となりますが、こうした状況だからこそ、時間や場所を問わず、より一層選手の力になれる最高の応援を追求することができました。
塾野球部が目標とする完全優勝・打倒早稲田を後押しすべく、また四年生にとっては集大成である最後のリーグ戦を最高の形で締め括ることが出来るよう、應援指導部員一同、全力を尽くして参ります。(菊池彩美)

神宮六景

このコロナ渦の中で全国唯一、東京六大学野球春季リーグ戦が開催されたことに、六大学野球連盟をはじめ、他の五大学には心より感謝致します。そして、37年ぶりに母校のユニホームに袖を通させて頂いたことを嬉しく思います。私はプロ野球で13年、社会人野球で9年、コーチとして野球に携わり続けてきました。これまでに得た経験と知識を後輩たちに継承するとともに、野球を通して社会で必要とされる人間へと成長できるよう尽力して参りました。今年の法政のチームスローガンは「和」です。このスローガンのもとチーム一丸となって戦ったことが春のリーグ優勝へと繋がったと考えています。

東京六大学野球は我々の人生の大きな礎を築いてくれるものであると思います。私自身、4年秋に経験したリーグ優勝や優勝パレードは今でも最高の思い出として鮮明に脳裏に焼き付いています。私がこの六大学野球で得た経験を今の学生たちに経験させてあげることが使命であり、東京六大学野球に新たな歴史を刻むとともに、発展させていくことができると信じています。最後に、私は東京六大学野球を心から愛し、感謝しています。

(法政大学野球部昭和59年卒・現法政大学野球部助監督 銚子利夫)

第5週

守備の要

2020/10/14 UP
OPEN

早稲田大学

わが部の守備の要は金子銀佑(4年=早稲田実)だ。今年の春季リーグ戦では、守備でチームを幾度となく救い、ベストナインを獲得した。彼の魅力は誰にも真似することができないような「ダイナミック」で「はつらつ」としたプレーである。抜けてしまうかと思われる打球に対しても追いつき、難しい体勢からでも鍛え上げられた強靭な体幹により、正確な送球でアウトにしてきた。打率も春季リーグ戦では、0.409を残し、攻守に欠かせない存在へと変貌した。また、練習では誰よりも声を出してリーダーシップを発揮し、野手を引っ張る存在だ。他の選手からの信頼も絶大である。そんな、攻守にも、精神的にも欠かせない金子が最後の秋、躍動する。(豊嶋健太郎)

慶應義塾大学

ショートに打球が飛べば一安心。誰もが信頼する慶大不動の遊撃手・瀬戸西純(4年=慶應)が守備の要だ。1年秋の神宮大会で初めてスタメン出場を果たすと、今季まで全試合スタメンに名を連ねてきた。打球に対する一歩目の速さ、守備範囲、ハンドリング、送球のどれをとっても頭ひとつ抜けている。守備に対するこだわりは誰よりも強く、シートノックでは常に周りに檄を飛ばす。ラストイヤーを迎えた今年は、主将としてプレーだけでなく精神的にもチームの中心を担うようになった。幾度もチームの窮地を救ってきた守備が今季も不可欠なことは言うまでもない。瀬戸西を中心とした、時に華麗に、時に泥臭くボールに食らいつく守備陣で、優勝へアウトを重ねていく。(福田拓也)

明治大学

明治の守備は丸山和郁(3年=前橋育英)なしで語れないだろう。2年生の春にセンターのレギュラーを奪取。50m5.8秒の俊足を活かした広い守備範囲が持ち味だ。「センターに打球が飛べば丸山が何とかしてくれる」ピッチャーは幾度となく丸山の好守に助けられているだろう。守備範囲の広さだけではない。強い肩も彼のストロングポイントの1つである。左投げでMax143キロを計測するボールの威力はチームでも群を抜いている。3年生になった今、守備の司令塔として周りにも目を向け、明治のディフェンス面を支えている。グラウンドを疾走する韋駄天に今季も目が離せないだろう。(太田 空)

法政大学

「華麗なショートストップ」佐藤勇基(4年=中京大中京)が守備を引っ張る。 佐藤の守備は芸術的だ。素早い足さばき、球際の強さ、三遊間深くからの力強い送球、どれをとっても一級品。観ている者を魅了する。 高校時代はU-18侍JAPANに選ばれ、アジアNo1ショートの座を掴んだ。しかし、大学でも順風満帆とはいかない。期待されながらも3年間出場機会は少なく悔しさをかみしめた。 今年にかける意気込みは人一倍強い。ラストイヤーは守備の要として幾度となくピンチを救ってきた。法政の守備職人がファインプレーでスタンドを沸かせる。(福島駿樹)

東京大学

東大の守備の要といえば早川内野手(4年=菊里)であろう。2年秋までリーグ戦はおろかオープン戦にもほとんど出場がなかったものの、持ち前の守備力を買われ3年春のリーグ戦では見事セカンドでのスタメン出場を果たした。4年生では2番ショートの定位置を獲得し、堅実な守備はもちろんのこと、2番打者としてバントでチームに貢献してきた。ラストシーズンとなる秋季リーグ戦では、慶應義塾大学戦の初戦でヒットを放つと2戦目は3安打1打点と打棒を覚醒させた。守備の要から走攻守三拍子揃った選手へ、二浪を経て東大に合格した苦労人のさらなる飛躍に期待がかかる。

立教大学

立大の守備の要は、主将の宮慎太朗(四年=市船橋)である。持ち味は広い守備範囲と、強い肩で、2年の春にリーグ戦初出場を果たすと、3年時にはレギュラーを奪取し、今や不動の遊撃手として立大ナインを牽引する。しかし、入部当初から次世代の立大を担う選手だと期待されていたわけではない。指定校入試で入部した彼は、初めは四軍、リーグ戦ではボールボーイをしていた。しかし、毎日の努力を欠かさず、与えられたチャンスを確実にものにし、徐々に上の軍へと上がっていった。また、常に全力プレーを怠らず、持ち前の明るさと声で、ムードメーカーとしての役割も担っていた。彼の成長は、ひたむきに、一生懸命にプレーをし続けた賜物だと私は思う。最後の秋、努力家宮慎太朗から目が離せない。

応援席から

慶應スポーツ新聞会

勝ち点5での完全優勝。ここ数年慶大野球部がずっと口にしてきた目標はあと一歩のところで達成できておらず、勝ち点4止まりのシーズンが続いている。その間に3度の優勝を経験しており、決して悪い成績ではない。それでも、秋こそは「4年生の集大成として勝ち点5での完全優勝優勝を必ず果たします」。秋季リーグ戦開幕前に主将・瀬戸西純(4年=慶應)はそう語った。2年春からスタメン出場を続け、わずかに及ばない悔しさを何度も味わってきた瀬戸西はより完全優勝への思いが強いのだろう。 開幕戦ではわずか5安打と不安が残ったものの、ルーキー・廣瀬隆太(1年=慶應)の活躍もあり打線が復調。開幕4連勝中の勢いそのままに完全優勝へ突き進んで欲しい。(小嶋華)

立教大学体育会応援団

私達応援団にとって神宮球場での応援は特別な想いのこもったものです。それがない応援団なんて考えられません。しかし実際、本年度の春季リーグ戦は応援団にはありませんでした。だからこそ今は秋季リーグ戦で応援ができていることに感謝の気持ちでいっぱいです。例年とは違いお客様と離れた外野席での応援になりますがそれでも私達がいる意味、そして果たすべき役割は何なのか団員全員で考え、全力で野球部に気持ちを届けたいと思います。たとえ距離が離れてしまっていても、ほんの少しでも力になれることがあると信じて声を枯らして参りたいと思います。(稲山和真)

神宮六景

宮崎の高鍋高校から明治大学へ進学し憧れの地である神宮球場で東京六大学野球を学ぶことができたことは私にとって大きな財産である。高校の同期で法政大学に進学した横山が1年の春から神宮球場で活躍する姿を見て刺激を受けたことを今でも覚えている。彼の姿に後押しされ私は1年の秋から出場機会に恵まれた。4年時には私も横山も主将となりこの伝統ある東京六大学で高鍋高校から同時期に二人の主将が誕生した。翌年の早稲田大学の主将も高校の先輩である黒木省一郎さんが務められた。1学年下の芝も法政大学の副主将、3学年下の黒木研二も明治大学で主将を務めた。先輩や後輩の活躍は自らを奮い立たせてくれた。

宮崎で育った私は東京六大学で自らの力を試したかった。高校の先輩から明治大学の伝統と島岡監督の指導をよく耳にしていた。人間力を重んじる明治大学のスタイルに憧れた。厳しさとやさしさを兼ね備え、全ての選手にチャンスを与える明治大学の指導方法はまさに私の目指すところであった。一度のチャンスを逃すと二度目のチャンスは巡ってこない。チャンスを活かすことができると大きな信頼を勝ち得る。私はチャンス、ピンチが大好きだった。大学を卒業して30年以上経つが明治大学で学んだことが私の支えになっており、未だに大学時代を超えるような出来事に遭遇していない。島岡監督の下、先輩、同期、後輩と過ごした4年間は私にとって財産である。

神宮球場には不思議な魅力がある。球場に足を踏み入れるとからだが軽くなり、いつも以上にスピードが出る。肩が強くなる。強い打球を打つことができる。集中力が増す。こんな環境で野球ができたことに感謝している。現役の選手達もこの神宮球場で多くのことを学んでもらいたい。

来年は延期となった東京2020大会が開催される。野球・ソフトボール競技の会場責任者である私は、東京2020大会が世界の人々に共感を与え、多くの方々が熱狂することを楽しみにしている。スポーツの素晴らしさを伝えていきたい。(坂口裕之 昭和63年明大卒)

第4週

打撃の要

2020/10/7 UP
OPEN

立教大学

今年、立大打線に欠かせないのはこの男、冨永魁(4年=桐蔭学園)である。今季は2番に座り、明大戦を終えて、打率.571と高いアベレージを残している。広角に打ち分ける巧みなバットコントロールが武器の巧打者で、その技術は一級品である。また、春季リーグ戦では、チームトップの7打点を記録しており、今秋の明大2回戦では、二死満塁から先制の2点タイムリーを放つなど、勝負強さも際立つ。犠打の技術も高く、太田(3年=智辯学園)、山田(2年=大阪桐蔭)、三井(4年=大阪桐蔭)、柴田(2年=札幌一)、東(3年=福岡大大濠)等、一発のある重量打線の中で、冨永の存在は欠かせない。チャンスを作れて、繋げて、決められる、そんな彼が、立大優勝へのキーパーソンであることは間違いない。

早稲田大学

早大の優勝は瀧澤虎太朗(4年=山梨学院)を抜きにしては実現しないだろう。左右にホームランを打てる長打力に加え、今春24打席中三振は0と卓越したバットコントロールも持ち味だ。 ここまで7打数3安打と打率4割越えをマークしているが、これには彼の人一倍の責任感が表れている。昨春はベストナインに選出されたものの、秋は怪我で出場機会が減り、チームも優勝できず悔しい思いを経験した。副主将となった今年、その悔しさを胸に個人だけでなくチームの課題にも向き合ってきた。 「早稲田の勝利は瀧澤の打撃にかかっている」。誰よりも彼自身が一番自覚しているだろう。早稲田を背負う副主将は、自身のバットで早稲田を優勝へ導く。 (牛島詳一朗)

慶應義塾大学

今年の打撃の要といえば、やはり4番に座る正木智也(3年=慶應)だ。1年春の開幕試合から代打にて神宮デビューを飾ると、2年生からはクリーンナップとして攻撃の軸を担ってきた。直近では3シーズン連続でホームランを放っており、アーチストとしても存在感を増してきている。しかしながら、1番のストロングポイントは集中力。特に得点圏にランナーを置いた場面では、チームメイトですら近寄り難いほど圧倒的な集中力を発揮する。「この男が打てなければ仕方がない」と誰もが認める主砲である。プロ注目の投手がズラリと並ぶ今秋を勝ち抜くためにも、少ないチャンスをものにしなければならない。勝負を決める彼の一本で優勝を手繰り寄せる。(福田拓也)

明治大学

今シーズン攻撃面で鍵を握るのは西川黎(1年=履正社)になるだろう。彼はルーキーでありながら昨春のリーグ戦では全試合に出場。クリーンナップを任される試合もあった。今季は2番に座り、中軸へチャンスで回す役割を担う。最大の武器は大舞台で躍動できる強心臓。高校3年次には甲子園でチームとして優勝しているのに加え、16打数8安打で打率.500という成績を甲子園という大舞台で残しチームに貢献している。第三週まで終わった現在も毎試合のヒットに加え15打数6安打で打率.400をマークしている。神宮球場に舞台を移し、躍動する若武者にこれからも目が離せない。(太田 空)

法政大学

「左右の大砲」村田雄大(4年=横浜)、羽根龍二(4年=日大鶴ヶ丘)が打線を牽引する。 今年、法政打線の四番に座る村田は豪快な打撃が持ち味である。昨季の東大戦では自身神宮初安打となるアーチを右中間最深部に突き刺した。今季もチームを勢いづける一発に期待だ。 村田の後に座る羽根はチャンスでの勝負強さが光る。羽根の一打が何度もチームを勢いづけてきた。背番号「37」を背負い、ポスト中山翔太(平成31年卒=東京ヤクルトスワローズ)として期待がかかる。 4年間、良きライバルとしてバットを振り続けてきた2人が法政を勝利に導くアーチをかける。(福島駿樹)

東京大学

東大の打撃の要といえば石元内野手(4年=桐朋)であろう。3年秋のリーグ戦でサードのスタメンの座を勝ち取ると、そのままの勢いで打率ランク上位に名を連ねつつ、最終的には.278と好成績を残した。その活躍から東大としては3年ぶりの侍ジャパン大学代表候補選手に選出されるなど充実したシーズンとなった。今年の春のリーグ戦では3番に座り、打率こそ低調に終わったものの、勝負どころでの活躍が目立ち5試合で5打点をあげた。秋季リーグ戦では勝負強さと確実性を兼ね備えたバッティングで、4番の武隈外野手(4年=鶴丸)とともに打線の中核を担ってくれるはずだ。

応援席から

東京大学新聞社

井手峻監督体制でのリーグ戦初勝利を上げたい東大は、秋季も苦しい戦いが続いている。法政大学との開幕戦では、一時1点差に詰め寄るも「あと一本」が出ずに惜敗。2回戦で序盤に大量失点を喫し、打線も湿ったままで連敗となった。翌週の慶應義塾大学との連戦でも、1回戦は投手陣が粘投するものの、2回戦で8失点。開幕4連敗となった。
春季リーグ同様開幕投手を務めた井澤駿介投手(理Ⅱ・2年)は各カードの初戦をそれぞれ自責点3、自責点2と粘投。同じく2年生の西山慧投手(理Ⅱ・2年)も奪三振の多さが強みだ。リリーフ陣も小宗創選手(育・3年)の活躍が光っており、井手監督の小刻みな継投策がうまくはまれば、相手打線を押さえ込む力を十分に持っている。
打線は切り込み隊長の笠原健吾選手(文・4年)と今季4番に起用された武隈光希選手(文・4年)が打率0割台と苦しむ。打率4割の早川怜志選手(薬・4年)を筆頭に好調な選手が多いだけに、チームを引っ張る2人の打棒にも期待したい。
一時逆転に成功した春季の慶大戦で見せたようなプレーを実現できれば、勝利はそう遠くないだろう。投手陣が粘り、打線が食らいつく。「まず1勝」。そしてその先へ。令和の赤門旋風に期待したい。【東京大学2年 中野快紀】

法政大学応援団

平素より法政大学に熱いご声援をいただき、誠にありがとうございます。秋のリーグ戦では外野席での応援を認めていただき、我々応援団一同、感謝の気持ちで一杯で御座います。春のリーグ戦では野球部の皆さんが奮闘する中、我々はただ見守ることしか出来ず、「勝つぞ」という気持ちを声や応援に乗せて届けることが出来ず、非常に悔しかったです。
第一週目に初めて外野席での応援を行なってみて、今までの応援とは大きく異なるのはお客様の存在。例年であれば、来てくださったお客様にどう声を出してもらうか、が重要でしたが今回はそうはいきません。特に守備回の応援では、団員一人ひとりの発声がいつも以上に重要になってきます。春の葛藤や自粛期間で溜め込んだ想い、そして何より「絶対に勝つ」という気持ちをこのリーグ戦の応援にぶつけ、少しでも選手の皆さんの力になれればと思います。
野球部が春秋連覇を達成できるよう、我々も力の限りを尽くして参ります。これからも是非法政大学に熱い熱いご声援をよろしくお願い致します。(堀井隆太郎)

神宮六景

私は昭和55年(1980年)早実から早稲田大学に入学しました。3年時からはセンターとしてレギュラーに定着するようになりましたが、3年秋のシーズンは極度の打撃不振に陥り、3カード目からは1年生の湯川選手(大阪ガス)にレギュラーを取って代わられてしまいました。湯川選手の活躍もあり、リーグ戦が進むに連れても私の試合出場機会は一切やってきませんでした。

3年時の1982年は、のちに多くのプロ野球選手を輩出した強豪法政大学と明治大学相手に早稲田大学が優勝を狙うことは非常に困難な状況でした。そんな中でも木暮投手(東芝)と岩下投手(東京ガス)の3年生投手2枚看板の活躍で、春は法政大学に次ぎ2位、秋は最後の早慶戦で1勝すれば優勝という位置につけることとなりました。

早慶戦1回戦は投手戦となり、8回終わって2対3で慶応大学リードのまま9回表の早稲田大学の攻撃となりましたが、それも2アウトランナーなし、あと一人でゲームセットという崖っぷちとなりました。ところが相手投手がそこから突然フォアボールを2つ続け、2アウトランナー1・2塁となり、バッターはピッチャーながら打力はチームトップクラスの木暮選手でした。ここでベンチが動き「代打、阿久根!」となりました。チームトップクラスの打力の木暮選手に不振で使ってもらえていない阿久根が代打?自分でも頭の整理がつかないまま打席に。結局その後私の左中間タイムリー2ベースで逆転し、早稲田大学創立100周年での優勝に至りましたが、今だに自分では「なぜあそこで自分が代打?」と思っていました。

実はこれには裏話がありまして、不振に陥った私は毎晩講堂にて現早実野球部監督の和泉選手と1000本の素振りを繰り返していましたが、これを当時の4年生は皆知っていたそうで、4年の安部主将(電通九州)が私の代打を宮崎監督に進言してくださったということが後からわかりました。逆転タイムリーは私一人の力ではなく、私を信じてくれた先輩やチームメイトの力で打てたのだと今でも本当にそう思っています。みなさんも自分とチームメイトを信じて、神宮でご活躍いただきたいと思います。(東京ガスケミカル 阿久根謙司 昭和59年卒業)

第3週

この選手に注目!

2020/9/30 UP
OPEN

東京大学

この秋の東大の注目選手といえば中井外野手(2年=土浦一)であろう。走攻守三拍子揃ったプレーが光る期待の2年生外野手だ。リーグ戦初出場となった春季リーグ戦の慶應義塾大学戦では、代打から出場すると初ヒットを放ち、続く2打席目のヒットは一時逆転のタイムリーとしていきなり勝負強さを見せつけた。秋季リーグ戦の法政戦1回戦でも途中出場ながら2盗塁、そして相手の暴投の隙をついてホームインするなど俊足もアピール。この秋、岡外野手(4年=小倉)、梅山外野手(4年=四日市)、安田外野手(3年=三鷹中等教育)、宮﨑外野手(2年=開成)らとの熾烈な外野手争いを勝ち抜き、野球センスあふれるプレーで神宮での大暴れが期待される。

立教大学

この秋、初期のベンチ入り登録メンバーで唯一、一般入試を経て入学したプレーヤーがいる。二塁手の小澤崇之(4年=木更津)である。入部当初は三軍スタートながら、人一倍の努力を続け、徐々に上の軍へと這い上がり、今年の春季リーグ戦で初出場を掴んだ。彼の持ち味はバッティングで、春は代打で3打数2安打と、左の巧打者として存在感を示した。中でも、早大との試合、徳山投手のノーヒットノーランを打ち破ったセンター返しは、多くの人の記憶に刻まれているだろう。立大としては圧倒的に劣勢だったあの場面、小澤の一打がチームの雰囲気を変えた。4年間の集大成となる今期、「苦労人・小澤」のバットがチームを悲願の優勝へと導く。(髙橋嶺一)

早稲田大学

この秋は、吉澤一翔(4年=大阪桐蔭)に注目だ。彼といえば、相手チームに恐怖をも与える、フルスイングが魅力であると多くの人が認識していると思う。しかし、それだけではない。彼は、バントやバスター等のチームバッティングに徹することもできる「器用さ」がもう一つの魅力なのだ。さらに、この夏の猛練習によって、課題であったコンタクト率も修正することができた。その結果、夏のオープン戦は主に2番を任されるようになり、チャンスメイクをする場面が増えた。ただ吉澤は、状況に応じて一発を打つこともできるのだ。どんな状況にも対応することのできる、彼の巧みなバッティングが優勝の鍵となることは間違いないだろう。進化し続ける彼のバッティングに是非注目を!(豊嶋健太郎)

慶應義塾大学

8月に行われた春季リーグ戦で復活を果たした関根智輝(4年=城東)こそ、今季の鍵を握るだろう。3年前の春、慶大では90年ぶりとなる1年春での開幕投手を務め、華々しく神宮デビューを果たすと、同年春秋を通じて5勝を挙げた。 しかし、その先に待っていたものは大きな怪我。3シーズンの間マウンドを離れることとなった。心が折れてもおかしくない長く地道なリハビリだったが、不屈の闘志で乗り越えてきた。 今春こそ思うような結果がついてこなかったが、実力は十分。先発でもリリーフでも着実に相手打線を封じる投球は、チームの誰もが信頼するところだ。 「都立の星」と呼ばれた高校時代から躍動してきた神宮のマウンドで、集大成となる投球を披露してくれるだろう。(福田拓也)

明治大学

この秋は藤江康太(4年=千葉黎明)に注目だ。昨春のシーズン途中にレギュラーを奪取。この秋も不動の1番バッターとしてチームを牽引している。彼は3年生まではリーグ戦通算8打数1安打と納得のいく成績を残せていなかった。新チームになってから、元々定評のあった打撃センスに磨きをかけた。昨年のチームでリードオフマンとして活躍した添田真海(現日本通運)を兄貴分として慕っている。その添田を彷彿とさせるミート力が藤江のストロングポイントでもある。このシーズンでは彼のシュアなバッティングが幾度となく見られるだろう。遅咲きの明治の新しいリードオフマンにぜひ注目して頂きたい。(太田 空)

法政大学

岡田悠希(3年=龍谷大平安)に注目だ。第1週の東大戦では、リーグ戦初出場ながらチームを勢いづけるホームランを放ち、華々しいリーグ戦デビューを飾った。 しかし、この活躍は本人にとって“当たり前”に過ぎない。高校時代は1年生ながら甲子園でバックスクリーン弾を打つほどの逸材なのだ。 そして彼のルックスにも注目してほしい。持ち前の「イケメン×スタイル」は見るもの全てを魅了する。 野球の実力とルックスを兼ね備えた法政大学の「二刀流」が連覇へ向けベールを脱ぐ。(福島駿樹)

応援席から

法政大学新聞学会

「連覇は法政しかできないので、しっかり準備していきたい」。中村迅(4年=常総学院)は春秋連覇を狙うリーグ戦を前にしても、プレッシャーを感じることなく前を見据え、毅然としていた。その気持ちを持って迎えた第1週の東大戦では、打線の主軸として5度の出塁を記録し、法大の開幕ダッシュに貢献。中でも印象的だったのが1回戦で魅せた『激走』だ。村田雄大(4年=横浜)の放った二塁打で、一塁走者だった中村迅は三塁ベースを回り本塁へ帰還。「なんとかチームの勝利に貢献したいという思いで、全力で走りました」とまさに主将の意地を見せつけた場面だった。
 昨年11月に主将に任命されて10カ月、ラストシーズンにかける中村迅の活躍に注目だ。(加瀬航大)

明治大学応援団

当たり前だと思っていた神宮に行けなくなった。当たり前だと思っていた部活が出来なくなった。今まで意識なんてしたこともなかった。でもそれは当たり前でも何でもなかった。色々な人がいてこそ神宮で応援が出来て、悔しい思いも胸がいっぱいになる思いも感じる事が出来る。部活に全力を注ぐ事が出来る。当たり前って当たり前ではないらしい。学生生活最後の一年がこうなってしまった事を皆は不幸だったと言う。でも、自分はそうは思わない。だって、当たり前である事に感謝出来るようになれたから。この感謝を伝える為に我々が出来る事は、常に全力の応援を選手に、神宮に関わる全ての人に届ける事です。当たり前への感謝と恩返しを胸に今日もスタンドから全力の声援を送ります。(仲倉和志)

神宮六景

40年前、内野手として立教大学野球部に入部した私は、毎日生き抜くことに必死でした。入部当初30名ほどいた同級生は数ヶ月後には半分になっていました。退部した者はただの一人もおりません、「脱走」したのです。
「脱走」という言葉は、軍隊や刑務所から逃げ出す時に使われる言葉ですが、まさに、当時は「脱走」という言葉が当てはまる環境でした。現代では想像できないような行き過ぎた規則や上下関係が野球部の慣習として残っておりました。さらに、当時の立教大学はスポーツ推薦入試制度が一切無かったため、他大学との技術的な差がかなり大きい時代でした。
しかし、練習量をこなすことで少しずつ勝利できるようになり、昭和55年には深井隆(東農大二・エネオス)・野口裕美(米子東・西武ライオンズ)両投手の活躍もあり、春秋連続で2位になることができました。ただ、当時は選手不足であったため、一人の投手が何イニングも投げ、最少失点で勝つという戦い方でした。そんな中、同級生の安蒜一則投手がスターであった早大の岡田彰布(阪神)選手相手に球種・コースを宣言して投げ、打ち取ったことは痛快な出来事として記憶に残っています。

それから時が経ち、平成28年に公式記録員として久々に神宮球場に戻りましたが、あまり起こらないだろうと予想していたランナー追い越し、打撃妨害、ワイルドピッチなどのプレーが頻発し、記録をするのに四苦八苦しました。他大学記録員の落合紳哉(明大)、鈴木則久(法大)、石渡明(東大)、相澤佳則(早大)、奥村昭雄(慶大)諸氏には不慣れな私をバックアップしていただき本当に感謝しております。
現在は立大のグラウンドでコーチとして選手とともに汗を流す日々です。プレースタイルは大いに変わりました。ご法度だった逆シングル、ジャンピングスロー、フライ片手捕りは当たり前です。技術論はかなり進化しました。
それでも、神宮には必死に野球に向き合う選手たちの情熱が脈々と続いていることを実感します。
これからも各校が母校の名誉をかけ、大いに名勝負を繰り広げる事を期待します。(昭和55年卒 塚本公二)

第2週

ラストシーズンにかける思い

2020/9/23 UP
OPEN

法政大学

「今年の代は力がない」3年間そう言われ続けてきた。たしかに、リーグ戦出場経験のある選手は少なく、実績は残せていなかった。 しかし、それをカバーする結束力が今年のチームにはある。「和」今年のスローガンだ。互いを理解しあい、言葉なくとも心で繋がっているチームという意味が込められている。主将の中村迅(4年=常総学院)を中心にスローガンを体現するようなチームを作り上げてきた。試合中の法政ベンチを見てほしい。そこには、1つのプレーに対して、一体となって喜んでいる選手たちがいることだろう。 春の勢いをそのままに「和」をもって連覇を目指す!(福島駿樹)

東京大学

今の最上級生が1年生だった2017年の秋、先輩方の力で15年ぶりの勝ち点を獲得しました。それからチームは1つの引き分けを挟んで47連敗中です。勝利経験のある自分たちの代を中心にまずは連敗を脱出し、下級生に勝利という財産を残さなくてはなりません。そしてここまで、春季リーグ戦の悔しい思いを胸に、練習、オープン戦と必死に取り組み、選手も学生コーチもマネージャーもやれるだけのことはやってきました。自分としてもここまで東大野球部のマネージャーとしてたくさんの貴重な経験をさせていただきましたが、自分が入部したのはただリーグ戦で勝利を掴むためです。ラストシーズンとなる秋季リーグ戦、主将の笠原内野手(4年=湘南)を中心に最高の舞台で結果を残します。(玉村直也)

立教大学

この秋、立大は三年ぶりの優勝へ向け、突き進む。最後に優勝を経験したのは、私が1年生の頃だ。当時選手だった私は、1軍メンバーの補助業務をしたり、スタンドで応援するのが主な役目だった。歓喜の輪の中心にいたわけではないが、その時の溢れる喜びを鮮明に覚えている。月日は流れ、そんな私たちも4年生となり、優勝を知っているのは、自分たちの代だけとなった。今年優勝出来なければ、来年優勝を知っている選手は一人も残らない。だからこそ、何としても優勝の味を後輩達に知って欲しい。「煌奮迅」のスローガンの下、どんな辛い時でも、劣勢でも、最高の雰囲気で、一丸となって戦い、もう一度あの喜びを掴み取る。(髙橋嶺一)

早稲田大学

ラストシーズンとなる4年生にとって、秋にかける思いは並大抵のものではない。早稲田は5年間優勝から遠ざかっており、4年生は入学以降まだ一度も優勝を経験していない。新チーム結成時から杉浦啓斗(4年=早稲田実)新人監督を中心に、4年生でミーティングを定期的に行っており、優勝するためには何をしなければならないのかを一人一人が考えてきた。 しかし春は、接戦の末2度もタイブレークで敗戦し、念願の天皇杯には手が届かなかった。春を終え、選手から裏方に転向した4年生が出てきた。4年生が率先して動くことで、練習を通してチームの結束力が高まった。 4年生の思いがぶつかる秋、これまでとは一味違う早稲田に注目だ。(牛島詳一朗)

慶應義塾大学

今年の4年生は、勝利の難しさも、敗北の重さも身に染みて知っている。先輩にも恵まれ、昨年までの6シーズンでは3度の優勝、2度の2位。常に優勝争いをする中で、勝つ喜びと同時に、負ける悔しさをどの大学よりも経験してきた。スタメンにこそ4年生の数は少ないが、これらの経験を最上級生が共有していることこそ現チームの強みである。 学年ミーティングを開催することは日常茶飯事であり、新チームの幹部決めでは数ヶ月議論が紛糾したこともあった。 そして迎えた今春だったが、優勝まであとひとつ届かず。一勝の難しさを改めて突きつけられた。 全力で駆け抜けてきた大学野球もラストシーズン。3年間、そして春の悔しさを糧に、本氣で優勝を掴みとる。(福田拓也)

明治大学

ラストシーズンにかける思いはどこの大学にも負けない。昨春に日本一になり、その光景を目の当たりにした選手が多くいる。しかし昨秋以降は2季連続で5位と成績は低迷。チームが良い時、悪い時を知っているのが、今の明大野球部の強みとなっている。今のチームに「何が足りていないのか」ミーティングを重ね、チームを1つにした。昨春、悔しい結果に終わり、「何としても天皇杯を奪還する」という4年生の想いがより一層強くなった今、チーム公家の真骨頂が神宮の舞台で発揮される。公家響(4年=横浜)を中心とした4年生の気迫あふれるプレーに注目して頂きたい。(太田 空)

応援席から

神宮六景

四月十一日に開幕予定であった春のリーグ戦は、コロナ禍のため四カ月遅れの八月に総当たり一回戦制で行われた。これは終戦直後いち早くリーグ戦が復活した一九四六年春以来、七四年ぶりのことだ。順位は法・慶・早・立・明・東。スポーツ大会が軒並み中止される中、全国二五連盟がある大学野球では東京六大学のみが開催された。しかも無観客ではなく神宮球場・定員三万四千人の約一割に当たる三千人の観客制限を設け、早慶戦の前売券は完売した。

東京六大学連盟は八百名の部員達を感染の危険から守るために「合宿所で外部と接触しない」「ビュッフェスタイルの食事を避ける」「球場への往復はチームバスで」など感染対策の指針を策定し、各校はこれを遵守した。さらに球場入口で入場者の体温測定、部外者と接触しないよう、部員達の動線や待機場所などを工夫した結果、選手・観客を感染の危険から守ることができた。

タイブレーク制が適用されるなど、新しいことずくめの春のシーズンだったが、応援団の参加が自粛されたことで、東京六大学野球が応援団と一体であることを改めて痛感した。春のリーグ戦では試合開始前と終了後に大スクリーンに校歌とリーダーのエールが投影された。そして通常のリーグ戦のようにエール交換が終わるまで球場に留まっていた観客も多かった。

日頃の練習の成果を披露できなかった各校応援団リーダー達の残念な思いが、八月の朝日新聞デジタルに連載された。秋のリーグ戦は二回戦総当たり、春と同様の厳戒態勢のもと各校十試合の勝率制で争われる。春は無人だった外野席に、リーダーやブラスバンドが登場するのを期待している。(東大野球部 昭和三二年卒 田和一浩)

第1週

この夏の収穫

2020/9/17 UP
OPEN

明治大学

昨シーズン5位となり、2季連続で5位に沈んだ。先日行われた春季リーグ戦では、投打が噛み合わず大差で負ける試合も多くあった。そんな中、投手を中心に守り勝つ野球を目指す、明大野球部にとって明るい兆しが見えてきた。春季リーグ戦のチーム防御率は3.72であった。しかし、この夏に行われた12試合のオープン戦では防御率2.50と入江大生(4年=作新学院)を中心とした投手陣が安定した結果を残している。これに主将の公家響(4年=横浜)と昨春ベストナインを獲得した清水風馬(4年=常総学院)を軸とする打者陣が奮起をすれば優勝も見えてくるだろう。まずは一戦必勝で目の前の試合を我武者羅に戦っていく。(太田 空)

法政大学

なんといっても「真夏」の春季リーグ戦を制したことだろう。5試合総当たり制で行われた中で、チームが目指す「負けない野球」を体現した。投手を中心とした堅守、隙がなく常に先の塁を狙う走塁、ワンチャンスを活かす打撃。それぞれが噛み合い接戦を制した。 リーグ戦経験が豊富でない選手が多い中で、新戦力が多く台頭したことも収穫だ。首位打者を獲得した永廣(4年=大坂桐蔭)、ピンチの場面を何度もしのいだ山下輝(3年=木更津総合)慶大戦で逆転の口火となる一発を放ち、ベスト9も獲得した宮﨑(2年=天理)は秋の活躍にも期待がかかる。 春の勢いをそのままに「和」をもって連覇を成し遂げる。(福島駿樹)

東京大学

この夏の収穫といえば何よりもまず第一に春季リーグ戦を開催していただけたことです。この状況下で全国で唯一、リーグ戦開催という判断をしていただけたことには関係者の皆様にただただ感謝の思いしかありません。しかしながら試合の方は開幕戦で慶應義塾大学に逆転サヨナラ負けを喫するなど5戦全敗という非常に悔しい結果に終わってしまいました。それでもリーグ戦後はそうした悔しさを胸に、各リーグの強豪校とオープン戦の経験を積んできました。部員1人1人が春のリーグ戦で出たそれぞれの課題と向き合いつつ、チームとしてはとにかく勝利を掴み取ることを目指せていたのではないかと思います。秋のリーグ戦ではこの1ヶ月でひと回りもふた回りも成長した東大野球部にご注目ください!(玉村直也)

立教大学

この夏の一番の収穫は、新型コロナウイルスの感染予防を部員全員で徹底出来たことだ。そして、その徹底がチームに一体感を生んだ。立大野球部は、独自に作成した「新生活ルール」と、大学が作成した「体育会活動再開ロードマップ」のもと、6月27日から全体練習を再開、8月10日からのリーグ戦も無事に終え、今は秋季リーグ戦に向け、with コロナの生活を続けている。感染予防のルールは細かく、今までの当たり前は当たり前でなくなってしまった。それでも、「リーグ戦を無事に行い、優勝する」という強い志を全員で持って、ここまで徹底してきた。そして、その結果、チームに一体感が生まれた。その一体感を武器に、秋季こそは悲願の優勝を掴み取る。(高橋嶺一)

早稲田大学

この夏の収穫は「競争の激化」だ。早大野球部は真夏に行なわれた春のリーグ戦で、タイブレークで2回とも勝ち切ることができず、涙をのんだ。夏はこの悔しさを原動力に、選手一人一人が死に物狂いで一球にこだわる練習をし続けた。その結果、スタメンで今まで出場することの無かった選手が、スタメン選手を脅かすほどの存在になった。特に、真中直樹(4年=早大本庄)は、勝負強い打撃が光り、夏のオープン戦での打率は0.428と絶好調だ。他にも多くの控え選手が結果を残し、競争が激化。それにより、チームの底上げにもつながり、誰が試合に出場しても活躍し、勝てるチームへと変貌した。この秋、5年ぶりの天皇杯奪還へ向け、準備は万全だ。(豊嶋健太郎)

慶應義塾大学

今年の夏は日本のどの大学よりも試合を重ねた。徹底した感染症対策のもと、Aチームだけでも春季リーグ戦終了後からの1カ月間で20試合を行った。休養日を考慮すれば、活動日のほとんどが試合である。朝に練習、昼に試合、夜にミーティングを行い、身体的にも精神的にもこれ以上ないほど限界まで追い込んだ。実践の中で課題を見つけ、その課題を翌日の実戦で克服していく日々が、選手を一回りも二回りも成長させたことは間違いない。春季リーグ戦では、連戦と暑さで後半戦に疲労も見えたが、今のチームであれば最後まで全力で戦い抜くことができる。春の雪辱を果たし、天皇杯を奪取する準備は万全だ。(福田拓也)