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号外WEB版

通常、紙面にてお届けしている号外スタイルの東京六大学野球情報紙。 2020年秋季からは特別版として、本サイト上にて掲載させていただきます。 野球部員による記事だけでなく、各大学の新聞部や応援部などの様々な寄稿がこの号外を盛り上げます。

TOKYOROCKS2024 秋季号外

第9週

この秋のMVP!

2024/11/6 UP
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法政大学

法政大学の今秋のMVPは篠木健太郎(4年=木更津総合)である。今季は8試合に先発登板し、3勝を挙げた。投球回、球数共に自己最多を更新し1回戦、3回戦とフル回転したシーズンであった。力強い投球で打者を封じ込め、打者としても勝負強い打撃や全力疾走で1点を奪いに行く姿はエースの名に相応しい活躍であった。「銀二さんと山下さんがマウンドを守り続ける姿に憧れ、チームの勝利だけを目指して腕を振るだけ。」この秋は何度も口にした憧れの勇姿を自ら体現した秋であった。魂のこもった投球や力強いガッツポーズはチームを鼓舞するだけでなく、常に周囲に何かを考えさせ、何かを促す思いがあったに違いない。篠木がエースとしてマウンドを守り続けた姿を見た後輩たちの1年後、2年後、3年後が楽しみだ。唸るようなストレート、漢としての雄叫びを何度も見せてくれてありがとう。(黒坂夏希)

東京大学

この秋、東大のMVPは渡辺向輝(3年=海城)で間違いないだろう。2カード目の明大戦以降は先発したすべてのゲームで試合をつくってくれた。そして法大2回戦では9回151球2失点完投という魂のピッチングで、チームのサヨナラ勝ちを呼び込んだ。右のアンダーハンドから繰り出される独特な浮き上がるボールは、速くても120km/hほどながらも、数々の強打者のバットを詰まらせてきた。しかしながら彼の成長意欲はとどまることを知らない。この冬を越えてチームの大黒柱として成長した彼の姿を、1人のファンとして皆さまと一緒に春まで楽しみに待っている(岩瀬笑太)

立教大学

立大のこの秋のMVPは齋藤大智(4年=東北)である。1年春にリーグ戦デビューを果たすも、中々結果を出すことができない苦しい期間が続いた。しかし、調子が悪くても4年間諦めず、練習、そして夜遅くまで自主練習に取り組み、野球にストイックに向き合ってきた。今秋は開幕からスタメンではなかったものの、法政大学第1回戦に代打で出場すると、中前安打を放ち持ち前のバッティングをアピール。その後、スタメンに定着すると、今季は14安打、1HR、打率.359をマークした。明治大学第1回戦での劇的な逆転満塁ホームランは、強く印象に残っている。また、彼は選手としてだけでなく、寮長として、掃除や食事などの生活面においてもチームを引っ張ってくれた。どんなときも妥協を許さず、努力の大切さをチームに残してくれた彼はMVPに違いない。(町田日菜)

早稲田大学

この秋、早大のMVPはやはり主将の印出太一(4年=中京大中京)一択だろう。新チームスタート時に主将に任命され、常に結果を追い求めてここまで鍛錬を積んできた。打撃では4番、守備でも正捕手を務め、チームの大黒柱として1年間苦労したことは間違いない。しかしその抜群のキャンプテンシーは幾度となくチームを窮地から救い、春季リーグ戦完全優勝に導いた。それでもチームの目標である日本一にはあと一歩届かず、苦渋を味わって迎えたラストシーズン、残すは早慶戦のみとなった。春を越えるためには、もう負けは許されない。彼がここまで作り上げた最高のチームが連覇、そしてその先の日本一に向けての軌跡を辿る。(神田航)

慶應義塾大学

この秋の慶應のMVPは渡辺和大(2年=高松商業)だろう。今シーズン7試合に登板し、防御率1.23と素晴らしい成績を残している。日を追うごとにスピードを増し成長していく直球に加え、鋭く曲がる変化球で他大学の強打者たちから多くの三振を奪ってきた。また、打撃センスも併せ持ち、9人目の打者として今シーズンも数多くの安打を放ってきた。どんな凡打であれ、一塁まで全力で駆け抜ける姿に彼の野球に対する真面目な姿勢が表れている。そんな彼も、今季から1戦目の先発を任されるようになり、不動のエース外丸(3年=前橋育英)に次ぐ存在として名乗りを上げた。今季東大戦では、初となる中1日での先発に挑戦。月曜日は9回を被安打4で締め、見事に完封勝利を飾った。 厳しい夏を越え、渡辺をはじめとする下級生投手陣の成長に目まぐるしさを感じるシーズンとなった。先発を含むチーム内での競争は激しくなり、頼もしさも増すばかりだ。 最後に残るは華の早慶戦。今シーズンを締めくくる大一番で春の雪辱を果たしたい。(宮田健太郎)

明治大学

明大のMVPは、主将・宗山塁(4年=広陵)だ。1年春にリーグ戦デビューを果たすと、「不動のショート」として華麗な守備と強打でチームに欠かせない存在となった。ラストイヤーは「輪」をスローガンに掲げ、主将として、結果だけでなく良いチーム作りにも力を入れた。怪我の影響で不完全燃焼に終わった春の悔しさを晴らすべく、強い想いで臨んだラストシーズンは全試合に出場し、チームトップの打率、トップタイの打点を記録した。開幕戦で最終回に放った先制ホームラン、早稲田大学2回戦での劇的な同点打など、ここぞの場面で勝負強さを発揮し、チームを牽引した。苦労を乗り越えた彼に、お疲れさまとありがとうを伝えたい。(岸上さくら)

応援席から

神宮六景

この寄稿のお話をいただきましたのは、2024年10月末のことでした。まさにロサンゼルスドジャースがワールドシリーズの優勝を決めた直後のタイミングで、大谷翔平選手の活躍とともに、私自身の野球人生を振り返る貴重な機会をいただきました。

この2024年の野球界を振り返りますと、大谷選手の活躍に始まり、そして彼の所属するドジャースがワールドシリーズを制するという、まさに大谷選手を軸とした一年でした。
このドジャースという球団には、私も若き日に貴重な縁がありました。3年生の春に、ベロビーチのスプリングキャンプに参加させていただく機会をいただきました。当時はメジャーリーグが今ほど注目されていませんでしたが、今になって思い返しますと、世界最高峰の選手たちと同じ環境で過ごした2週間は、かけがえのない経験だったと深く感じています。

私は早稲田大学本庄高等学院の出身で、高校時代は厳しい野球部生活を送っていたわけではありません。しかし、大学に入学した際、野球部の寮である安部寮が西早稲田から東伏見に移転するタイミングと重なり、実力以上の期待値をいただいて、通常であればレギュラー選手にしか許されない寮生活を、1年次から経験させていただく機会をいただきました。
寮生活は、私にとって想像を超える厳しさでした。朝6時過ぎの起床から始まり、清掃作業、そして8時からの下級生練習、午後にはレギュラー組の練習でバッティングピッチャーを務め、夜はグラウンド整備と、休む間もない毎日を過ごしました。
神宮球場では1年次からベンチ入りという貴重な機会をいただきましたが、私の役割は、非常時に備え、常にブルペンで投球練習を続けることでした。おそらく神宮のブルペンで最も多くの球を投げた選手の一人ではないかと自負しています。

振り返りますと、あの4年間は人生の縮図のように感じられます。努力、友情、挫折、すべてが私の許容量を超えるものでしたが、その経験が後の人生を支える大きな糧となっています。
厳しい道のりでしたが、今では感謝の気持ちでいっぱいです。現代では許容されないような厳しい環境でしたが、あの時期に培った忍耐力と、共に戦った仲間との絆は、私の人生の宝物となっています。

現役の選手の皆様にお伝えしたいことがあります。当時の私は、毎日の厳しい練習をこなすことに精一杯で、自分が恵まれた環境で野球ができているということすら、十分に実感できないまま4年間が過ぎてしまいました。今になって思えば、もう少し余裕を持って、与えられた環境のありがたさを噛みしめながら野球に打ち込めていれば、という思いが残っています。
今、皆様に与えられている環境は、私たちの時代とは大きく異なり、より充実したものとなっています。この恵まれた環境に感謝の気持ちを持ち、野球に専念してください。後になって「あの時もっと頑張れば良かった」「あの時ももっと野球を楽しめていれば良かった」という後悔を残すことがないよう、今この瞬間を大切に、精一杯野球に打ち込んでいただきたいと心より願っています。

(早稲田大学 平成8年卒 鈴木研二)

第8週

監督紹介!

2024/10/30 UP
OPEN

明治大学

明治大学野球部を率いるのは今秋で就任10季目を迎える田中武宏監督である。明大を卒業後は日産自動車野球部に所属し、現役生活8年間で8度の都市対抗出場を果たした。 田中監督は、島岡吉郎氏が確立した「人間力野球」を大切に愛のある指導で選手を束ねてきた。部員と共に合宿所で寮生活を送り、私生活での細かな部分にも目を配り、グラウンドだけでは分からない選手たちの人間性を重視する。野球に取り組む姿勢から指導を行い、野球の技術だけでなく、選手たちの心の強さを磨いてきた。最終カードで勝ち点を挙げ有終の美を飾り、田中監督に恩返しをしたい。(岸上さくら)

法政大学

法政大学は今年から大島公一監督が指揮を執る。法政二高から法政大学、日本生命を経てプロ野球3球団を渡り歩いた野球エリートだ。現役時代はアマチュア、プロの両方で数々の栄冠を手にし、オリンピック出場も経験している。引退後はプロ野球でのコーチ、社会人野球監督も務める傍ら筑波大学大学院にてコーチングについての研究を行い、2021年より法政大学助監督、2024年より法政大学監督に就任した。学生とのコミュニケーションを重んじ、チームをリーグ優勝、日本一に導くべく日々奮闘している。大島監督の野球に対する熱量、そして法政大学野球部としてのプライドは神宮球場での姿をご覧いただければ皆様もお分かりになるはずだ。試合中はベンチから大きな声と身振り手振りで選手を後押している。ピンチの場面では現役時代を彷彿とさせる快足を飛ばしてナインを集め、冷静に指示を与えて熱く激励する。日々、学生にかける言葉には重みがあり、とても考えさせられることばかりである。野球に対する誠実さ、真剣さを先頭に立って示す監督の姿から多くを学び、小杉での練習を重ねて来春こそは必ず大島監督を胴上げしてほしい。(黒坂夏希)

東京大学

現在、東大野球部を率いているのは大久保裕監督である。現役時代は「赤門旋風」を巻き起こし、世間に東大野球部の名を轟かせるような活躍を見せた。卒業後は社会人野球の名門・三菱自動車川崎野球部にてプレーをするなど素晴らしい経験を積んでこられた。そんな大久保監督は2019年秋から4年間助監督を務められた後、昨年秋の新チーム発足時より監督に就任された。監督は守備からリズムを作る野球を重視している。春季リーグ戦ではその形が作れなかったものの、この秋は先発投手陣の好投もあってその野球を神宮で体現することができ、7年ぶりのシーズン2勝という結果をもたらした。その野球を進化させ、来年以降は勝ち点獲得、さらにその先を目指せるチームを監督は見据えていることだろう。(岩瀬笑太)

立教大学

今年度より立大を率いるのは木村泰雄監督(S60卒=韮山)である。試合においては、どのような状況においても冷静に勝利だけを考え、選手を鼓舞する。また、常日頃から部員とのコミュニケーションを大切にし、私生活や学業の面でも立派でいられるよう指導してくださっている。一方、少しお茶目な部分もあり、親父ギャグで笑わせてくれることもあり、部員から愛される存在である。今シーズンは木村監督を胴上げすることはできなかったが、後輩たちが来年、この無念を晴らしてくれるだろう。(草野梢汰)

早稲田大学

早稲田大学野球部を率いるのは、小宮山悟監督(H2卒=芝浦工大柏)・金森栄治助監督(S54卒=PL学園)の2人である。小宮山監督は、「早稲田の野球」「早稲田大学野球部のあるべき姿」を誰よりも追い求め、一球入魂の精神を常日頃から部員へ伝えている。金森助監督は、今までの豊富な経験を惜しみなく指導に活かし、今春のリーグ戦チーム打率は3割4厘、今秋は3割1分とどちらもリーグトップの成績を残しており、金森助監督の熱い指導の結果と言えるだろう。この2人の指導の下、今春は勝ち点5のリーグ戦完全優勝を達成することができた。今秋は早慶戦を残し勝ち点4、2季連続の完全優勝を目前としている。小宮山監督は「最終カードの早慶戦がチームの完成形」と説いており、「早稲田の野球」を体現する最高の舞台が整った。春の屈辱を晴らすためには、秋季リーグ戦での優勝は必要不可欠である。小宮山悟監督・金森栄治助監督率いる強い早稲田の姿を楽しみにしてほしい。(藤田南)

慶應義塾大学

慶大の監督は堀井哲也(S59卒=韮山)である。慶大を卒業後、社会人チームを選手・マネージャー・監督として渡り歩き、都市対抗野球において優勝1回準優勝2回と輝かしい成績を残している。2019年末に慶大野球部の監督に就任すると、21年にリーグ戦春秋連覇や全日本選手権優勝などその手腕を惜しみなく発揮されている。そんな監督のそばにいて驚くのは、常に先を読みその采配に間違いがないことである。監督が送り出した代打がホームランや逆転打を放つシーンを今年だけでも何度も見てきた。試合中はどれだけの好プレーがあっても顔色一つ変えることなく、勝つために考えを巡らせている。残るカードは華の早慶戦。優勝は無くなってしまったが、伝統の対抗戦を堀井監督と最後に勝って今年を締めたい。(宮田健太郎)

応援席から

早稲田大学応援部

平素より早稲田大学を応援していただきまして、誠にありがとうございます。

我々は本年度「チーム早稲田」という目標を掲げ、早稲田スポーツをはじめとした早稲田全体を盛り上げようと、例年以上に多くの活動に取り組んで参りました。
私はコロナ禍が明けた昨年度、コロナ禍以前の応援を取り戻そうと仲間と力を合わせながら試行錯誤し、ようやく皆様と一緒に応援が出来るという喜びを感じた事を覚えております。しかしながら、昨年度以上に多くの事を学んだのは、コロナ禍での応援活動でした。
応援席でただ頑張れと声を出す事が応援部の存在意義ではない。日頃から選手とコミュニケーションを取り、関係性を構築して、あいつが来てくれるから今日は頑張れると、「目には見えない力」で応援する事が、自分に求められた存在意義なのだと、コロナ禍を通じて認識しました。野球部のみんなに積極的にコミュニケーションを取る事を意識しております。試合前の神宮の軒下で、応援部の主将が野球部のみんなに絡んでいるのはこれが理由です。本年度から吉納選手が「つばさ」、山縣選手が「がたしゅう」、小澤選手が「おざしゅう」の愛称で応援されているように、選手を下の名前やニックネームで応援するのも、山縣選手との会話の中で「がたしゅう」と呼ばれたいと聞いたからです。私が4年間追い求めた応援が、野球部のみんなと仲良くなる事で達成されると思うと、応援とは案外シンプルなものなのかもしれません。

春季リーグ戦では、早稲田は4年ぶりの優勝を果たしました。そして秋季リーグ戦では、宿敵明治大学との4時間35分の激闘を乗り越え、9年ぶりの春秋連覇、14年ぶりの神宮大会優勝に向けて野球部のみんなは突き進んでいます。
我々早稲田大学応援部は、常に早稲田大学野球部と共に在り続けます。
何があろうと、早稲田の勝利を信じ続けます。

今後共、早稲田大学の応援をどうぞ宜しくお願いします。

(早稲田大学応援部 代表委員主将 星野聖敬)

神宮六景

「エスコンフィールド」でオールスター戦の開催

久慈次郎氏野球殿堂入り65周年と銘打った北海道ベースボールウィークにおいてエスコンフィールドで、東京六大学選抜対北海道日本ハムファイターズの一戦と東京六大学オールスター戦が開催されました。
初日に行われた東京六大学選抜と北海道日本ハムファイターズの試合は東京六大学選抜が13安打5得点で日本ハムを1点に抑えて快勝しました。二日目は恒例の東京六大学オールスター戦で、早大、法大、立大のTeam Clarkと明大、慶大、東大のTeam Penhallowが対戦しTeam Clarkが七回に2点を勝ち越して逃げ切りました。開場2年目のエスコンフィールドで、二日間合わせて約15,000人の観客の皆様が来場し、応援団も参加して大いに盛り上がりました。
オールスター戦の午前中には同球場で日本ハムと合同で少年少女野球教室を開催しました。
オールスター戦前の8月25日には神宮球場で恒例の少年少女野球教室を東京都軟式野球連盟に所属する19チーム、約250名の小学生を対象に開催しました。当日は六大学各校の主将をはじめ主力選手が講師となって、ウオーミングアップから、各ポジション別の練習など3時間に渡って行われ、野球教室終了後には記念撮影をして終了しました。天候にも恵まれ楽しい一日でした。
来年の夏も神宮球場で少年少女野球教室を開催し、オールスター戦はノーブルホームスタジアム水戸(水戸市民球場)で開催を予定しております。

(東京六大学野球連盟 事務局長 内藤雅之)

第7週

チーフマネージャー紹介!

2024/10/23 UP
OPEN

慶應義塾大学

慶應大学野球部主務として部の円滑な運営を行っているのが宮田健太郎(4年=慶應義塾)である。まずは彼の異色な経歴を紹介したい。幼稚舎の野球部では廣瀬隆太(=現ソフトバンクホークス)を3番に置き、4番を打つほどの実力者。高校時代は馬術部でインターハイに出場。ベスト4という好成績を残した。何をやっても器用にこなす彼は大学野球部の門を叩くわけだが、その働きぶりからは手綱の上手さが感じられる。先輩への頼み方や後輩への指導、監督コーチとの交渉や選手との関係性。どれをとっても手綱をうまく操り、勝利に向けたマネジメントを行う姿はまさにチームとの人馬一体である。昨年の明治神宮大会で優勝を収めたことで、チームの顔として彼が背負ったプレッシャーは計り知れない。しかし、どんな状況でも慶應野球部のために、選手のためにと懸命に業務に励む彼の姿はマネージャーの鑑であり、彼の持つ広い視野でチームは何度も救われてきた。幼稚舎から慶應で過ごし、愛塾心に溢れる彼にとって2024年集大成となる華の早慶戦にかける思いは誰よりも強い。彼が手綱を引き続けてきたチームは必ず早稲田に勝利するだろう。満員の神宮球場で彼を胴上げする日が楽しみでならない。(勝野淳)

明治大学

今年度、チーフマネージャーを務めているのは岸上さくら(4年=立命館慶祥)である。114年ある明大野球部の歴史の中で女性がチーフマネージャーを務めるのは史上初だ。彼女は持ち前の明るさを発揮して、チームの顔となり常にチームのことを最優先に考えてきた。選手たちが野球に集中することができているのは彼女の功績が大きい。また、彼女の一番の魅力は笑顔である。どんなに忙しくて疲れていてもいつも笑顔を絶やさず、試合後にファンの方や保護者の方とニコニコ笑顔で話す姿が印象的だ。また、彼女はいつでも温かく寛容な心をもっている。そのため、野球以外の悩みであっても彼女のところに相談に行く人は少なくない。そんな彼女だが、実は少し負けず嫌いな一面も持っており、試合に負けた日は悔しい顔を浮かべながら寮へ戻ってくる。今年は史上初の女性チーフマネージャー+チーム宗山ということもあり、彼女にのしかかる周囲からの重圧は計り知れないものがある。しかし、その高い期待を超える岸上を是非神宮球場で見ていただきたい。(西田大流)

法政大学

弊部の今年度の主務を務める黒坂夏希(4年=法政)。法政高校時代にエースナンバーを背負っていた彼は、大学へのステップアップの際にスタッフの道を選択。現在はチーフマネージャーとしてチームを統率している。黒坂の一番の魅力といえば、その人となりだろう。マネージャーの後輩陣は皆、黒坂を実の兄かのように慕っている。それは偏に、仕事に対して誠実に向き合う彼の背中と温和な人柄に感銘を受けた故である。スタッフのみならず、選手からも厚い信頼を寄せられている。ベンチに戻る選手とそれを熱く迎える黒坂の姿をご覧いただければ、その片鱗を感じることができるはずだ。力強くハイタッチを交わすシーンに何度胸を打たれたか分からない。そんな赫々たる主務、黒坂の下で活動できるのもあと僅か。残された1カードは、選手だけでなくベンチに控える我らがチーフマネージャーにもぜひ注目して欲しい。(栁澤諄)

東京大学

先日の対法政大学3回戦の試合後、ベンチには目に涙を浮かべる主務の岩瀬笑太(4年=開成)の姿があった。7年ぶりの勝ち点がかかった大一番での敗戦への悔しさと彼の責任感の強さが現れていた。どんな負け方の日も、一日一日の敗戦を悔しがる姿をこの3年間近くで見てきた。特に主務としてのこの一年間は、試合展開も相まってベンチで悔しがる姿を多く目にしたように思う。そんな勝負に厳しい彼が主務だから、7年ぶりにシーズン2勝をあげるチームとなった面もあるだろう。入部時は選手だったからこそ、選手に寄り添い、特に人工芝張り替えやマウンドの整備といったハード面でチームを支えてきた。OBや部外の方と積極的にコミュニケーションをとるチームの顔としての部分も尊敬できるが、マネージャーのリーダーとしての部分、言わば彼の面倒見の良さに私は何度も救われてきた。時に厳しく、時に優しく、後輩のミスをカバーしてくれる、そんな存在である。特筆すべきは、当初男子マネージャーがいなかった自分達の代(現3年)の為に寮での最下級マネージャーを2年務めてくださったことだ。ずっとその背中を追い掛けてきた彼がいなくなるのは寂しいが、そんなことは言っていられない。今シーズンの2勝の際のベンチは、角能副務(4年=攻玉社)と德田副務(4年=学芸大附)であった。あとは岩瀬主務だけ。最後の立教戦、必ず勝ってその名の通り彼の4年間を笑顔で終えさせる。(奥畑ひかり)

立教大学

遠山夏澄(4年=駒場)は、立教大学野球部の二代目女性主務として、チームを力強く引っ張ってきた。今年は野球部にとって大きな変革の年であり、監督交代など、困難な局面を乗り越える中で、彼女は重要な役割を果たしてきた。地域貢献の一環として地域清掃を行い、新たに野球教室を開催し、多くの講演会にも参加するなど、野球部が新たな一歩を踏み出す先頭に立って活動する姿は印象的であった。笑顔がトレードマークの彼女は、明るく社交的で、誰とでもすぐに打ち解ける性格を持つ。学年に関係なく全員に目を向け、チーム全体の調和を大切にし、部の運営が円滑に進むよう、気配りや目配りを欠かさない彼女の存在は、野球部にとって欠かせないものであった。時には、考え込みすぎて涙を流す姿を見かけることもあったが、人前では常に明るく振る舞い、笑顔でチームを支える彼女の姿は、多くの人々にとって大きな励ましとなり、後輩たちは彼女に対して深い尊敬の念を抱いている。立教大学野球部の成長と再生を牽引する彼女の努力と情熱には、深い感謝と敬意を表したい。(田中佑樹)

早稲田大学

本年度、伝統ある早稲田大学野球部の主務を務めるのは、中原由信(4年=早稲田実、写真右)である。彼の強みは一瞬にしてその場を和ませ、周りを笑顔にする力だ。ユーモア溢れるワードチョイスで選手や後輩マネージャーを笑顔にし、組織をまとめ士気を高めた。常に部員とスタッフの双方の視点から物事を考え、練習やマネージャー業務に取り組みやすい環境を作り続けた姿勢は、まさに部の要である。神田航(4年=早大学院、写真左)は副務として、誰よりも野球に対する情熱を持ち、常に選手の気持ちを最優先に考えて行動してきた。彼の勝利への執念は、六大学のマネージャーの中で、彼に勝る者はいないだろう。早稲田の勝利に対する強い意志が、日々の選手のサポートにも現れていた。彼の妥協なき姿勢と行動力はチーム全体に大きな影響を与え、結束力を高める原動力となった。藤田南(4年=開智、写真中央)は早稲田大学野球部初の女性マネージャーとして、女性ならではの視点や細やかな気配りで、チームに新しい風を吹き込んできた。特にSNSなどの広報活動を通して、早稲田の魅力を発信し続けた。早稲田の魅力がこれほどまで広まったのは、間違いなく彼女のチームへの献身的な姿勢と早稲田愛に他ならない。チームの一員として部の運営に貢献し続けたその姿勢は、後輩たちにも大きな財産をもたらしてくれた。彼らにとって、ついに最後の戦いがやってきた。春秋連覇を目指す戦いも、残すは早慶戦のみ。4年間の全てをぶつけ勝利の栄光へと突き進む姿を、ぜひ目に焼き付けてほしい。(北嶋晴輝)

応援席から

東京大学運動会応援部

平素より東京大学を応援してくださり、誠にありがとうございます。
同じく応援をさせていただく立場である応援部ではありますが、恐縮ながら、2024年の東大野球部の戦いを振り返らせていただきます。
10戦全敗で春季リーグ戦を終え、野球部・応援部ともにリベンジを誓って臨んだ秋季リーグ戦。
初戦は0対20と大敗を喫し、大変苦しいスタートとなりました。
しかしそこから東大野球部は成長を遂げ、明治戦も悔しい結果とはなりましたが、確かに勝利に近づいていると感じさせるものでした。
このカードこそ、勝利そして勝ち点を取ると意気込んで臨んだ慶應戦。鈴木太陽投手の完璧な投球でついに念願の勝利を掴みました。しかし翌日、勝ち点をかけて戦いましたが、届くことができませんでした。
そして第四カードの法政戦。7年ぶりの1シーズンで2勝目を掴みました。東大野球部の実力は確かなものだと応援席一同感じ、次こそ必ず勝ち点を掴み取ってみせると全員で意気込みましたが、またしても勝ち点奪取とはなりませんでした。
ただ我々の戦いは終わっておりません。最終カードの立教戦で必ずや勝ち点をとってみせる、と野球部は力強く覚悟を決めて練習をしていることと思います。そして我々応援部も、野球部とともに勝ち点を必ず掴み取るために日々練習に励んでおります。
しかし、野球部と応援部だけで勝利を掴み取ることはできないと私は考えております。応援席にお越しくださる観客の皆様、そして東大野球部を応援してくださる全ての方々の後押しがあって、遂に強豪校相手に勝利を掴み取ることができるはずです。
TEAM2024も遂にラストカードとなりました。皆様のご声援で、必ず東大野球部とともに勝利を、そして勝ち点を掴み取りましょう。
今度もご声援のほどよろしくお願いいたします。

(東京大学運動会応援部 主将 長尾翼)

神宮六景

私の出身である兵庫(関西)の野球少年から見た東京六大学野球(神宮球場)はまさに憧れと表するにふさわしい存在(場所)でした。
私にとって特に早慶は文武両道の象徴でありその中で昔からスタイルを変えない早稲田のユニフォームはアマチュア野球の歴史の出発点のように感じられ、それをどうしても着てみたいという思いに駆られるようになりました。
私は浪人の末 なんとか早稲田大学の野球部に入部する事が出来ました。
入部させていただいた当時の監督は故石井連藏監督。私が思い描いた、憧れの [東京六大学 早稲田の野球部] そこには憧れられるに値する厳しさがありました。

今でも鮮明に覚えている練習の一幕があります。
私が2年の時、早慶戦直前の練習でノックを打たれていた石井監督が突然練習を中断し全員をベンチ前に集めました。
その時のノックの内容が納得のいくものではなかったのだと思います。
石井監督は「これが早慶戦前の練習なのか」と静かに選手たちに問いかけ涙ぐんでおられました。
「悔し涙や感動の涙のないような練習など練習ではない」「うまくなりたい、勝ちたいという強い思いがなければ、練習する意味などない」と、常々口にされていた監督の姿を今でも思い出す事があります。
石井連藏監督には早稲田を誇りに思う強いエリート意識がありました。
しかしそれは他者と比較するような類いのようなものでは決してなく、「誇れる自分であれ!」という強いメッセージそのものだったように思います。

なんとか入部した私ですが幸運にも1年時から試合に出る機会を与えて頂きました。
4年を迎える前の春のキャンプでは生前ドジャースのフロントでご活躍された故アイク生原さんからのご縁で早大野球部と親交のあったピーターオマリー氏(当時のドジャースオーナー)の計らいにより アメリカ・フロリダ ベロビーチに招待していただきました。
そこで、名門ドジャースのメジャーリーガーたちと夢のような2週間を過ごすことが出来ました。
また春季リーグ戦では早慶戦が44年ぶりの天覧試合となりその試合にも出場することが出来ました。
振り返ると早稲田の野球部での4年間は私にとって野球(人生)の厳しさと誇りを持つという本当の意味を教えてくれた貴重でかけがえのない時間だったと思います。

来春(令和7年)、私と同じ兵庫の滝川高校で共に甲子園を目指した友人(中村君)のご子息がプロ野球への志望届けを提出せず、早稲田の野球部に入部することが決まりました。
大学野球を経て彼がプロ野球に進むのか、また違う道に進むのかは誰にも分かりません。
しかしながら、石井連藏監督の教えを色濃く継承されている小宮山監督の下
私が感じた「誇り」を彼も練習を通じて感じ取り、今後の人生においての一助となることを祈りながら早稲田大学野球部と彼を見守り、応援したいと思っています。

末筆ながらこのような機会を与えてくれた主務の日永君に心より御礼申し上げます。

(早稲田大学 平成7年卒 金城宏治)

第6週

我が部の俊足選手

2024/10/16 UP
OPEN

立教大学

弊部の俊足選手として掲げるのは、桑垣秀野(3年=中京大中京)だ。強靭な肉体を持つ彼だが、動きは俊敏なのだ。華麗な走塁はもちろんのこと、彼の注目すべきポイントは俊足から繰り出される守備である。 軽やかな動きと俊足を生かし、幾度となく立大のピンチを救ってきた。立大内でも、外野は「桑垣が守っていれば大丈夫。」と絶大な信頼を寄せている。プレッシャーのかかる場面でも素晴らしいプレーを見せてくれることで、ベンチの士気も上げている。そんな、チームの柱にもなっている頼れる男桑垣に注目だ。(遠山夏澄)

早稲田大学

早稲田の俊足選手、石郷岡大成(3年=早稲田実)が今季、六大屈指の「嫌なやつ」としてブレイクしている。自慢の脚力と再現性を磨いた打撃で積み上げた出塁率は現在.500。彼を8番に構える早大打線にもはや"下位"の概念は無く、どこからでも点が取れる切れ目の無い攻撃が実現している。気づけば塁上に現れ、相手がわずかでも隙を見せれば次の塁を陥れる。秋の天皇杯を掻っ攫うべくダイヤモンドを駆け回る小柄なスピードスターに、残り2カード、瞬き厳禁で注目して欲しい。(中原由信)

慶應義塾大学

我が部の俊足選手は丸田湊斗(1年=慶應)である。昨年夏に慶應義塾高校を107年ぶりの甲子園優勝に導いた立役者であり、彼の脚を生かした数々のプレーはとても印象に残っている。大学入学後も春季キャンプからAチームに帯同。50メートル5.9秒の俊足を生かし、1年春のリーグ戦よりベンチ入りを果たしている。秋の開幕前、外野陣による熾烈なメンバー入り争いがあったが、絶対的な武器である脚と、それを生かした守備範囲の広さで開幕ベンチ入りを勝ち取った。もう一つ彼の強さとしてお伝えしたいのは、どんな状況でも周りを俯瞰してみるその冷静さである。スタメン出場していない時でも常に代打・代走・守備と出場の機会を伺いながらチームの勝利へ貢献しようとしている。ここぞの場面で活躍する丸田に注目してほしい。(宮田健太郎)

明治大学

明大を代表する俊足選手といえばチーム屈指の快足の持ち主である飯森太慈(4年=佼成学園)だ。足の速さから付いたニックネームは「飛脚」。50m5.8秒の俊足を持つ彼は、これまでのリーグ戦では累計31の盗塁を決め、今季も第5週終了時点でリーグトップの盗塁5の成績を残している。いつどのタイミングでもスタートを切れる準備をしているため、彼の出塁は相手バッテリーに大きな負荷をかける。どんなに警戒される中でも初球から積極的に仕掛けていける思い切りの良さを武器に現役最多の盗塁数を積み重ねてきた。また、盗塁や走塁だけでなく、足を生かした六大随一の守備範囲の広さも彼の魅力である。自慢の快足で神宮球場を駆け回る彼の姿を目に焼き付けてほしい。(岸上さくら)

法政大学

法政大学の俊足選手は藤森康淳(2年=天理)である。走攻守の核として1年春から主戦としてリーグ戦に出場し続けるユーティリティプレイヤーである。そんな彼の武器は50m走5.9秒の俊足を活かした野性味溢れるプレーである。今季は主に2番や6番を務め、打線のつなぎ役としての機能が求められる中、小柄ながら力強いスイングで痛烈な安打を放ち、また持ち味である俊足を活かした内野安打を重ね塁に出る。塁に出ては積極的に次の塁を狙い進塁、得点を積み重ねてきた。彼が塁に出れば何かが起こるのではないか。そのように期待させてくれる選手である。加えて、守備においてもチームに大きく貢献をしている。俊足を活かした広い守備範囲を武器に1年春からセカンドとセンターでレギュラーを張り、今季は主にファースト、そしてライトも守るなど万能ぶりを発揮している。反応速度、俊敏さ、スピード、球際の強さどれを取ってもトップクラスであり、これまで何本ものヒットをアウトにしてきた。残す2カードも俊足を活かした超人的な守備と、“出て走る”ことでチームを牽引してくれるはずだ。(黒坂夏希)

東京大学

東大が誇る若き俊足、その名も堀部康平(2年=県立船橋)。今シーズンは一塁コーチャーの役割を任され、ここぞという場面では代走として出場する。14日の試合では最終回に登場し、余裕のあるスピードで危なげなくホームベースを踏んだ。ミーティングでも走塁の要として臆せず堂々と意見を述べる態度は感心ものだ。特にここ数年の東大は、足での得点に力を入れてきた流れがあるチーム。今の役割の責任は大きなものだが、下級生のうちから成功体験も苦い経験も積み、その度に成長することで、堀部はきっと未来のチームの重要な一ピースとなってくれることだろう。そんな彼には東大の攻撃回直前、助走をつけてコーチャーボックスへ華麗に走り込み、脚を温めるルーティンがある。走塁への矜持を感じられるこのワンシーンに最終カードではぜひご注目を。(德田菜月)

応援席から

慶應義塾体育会應援指導部

平素より慶應義塾大学に格別なご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

突然ですが、学生スポーツの良いところは、学生同士の交友関係を通じて、スポーツのみならず互いを認め合い、応援し、高め合っていけることにあるかと存じます。プロスポーツとは異なり、活躍する選手が同じキャンパスの目の前にいます。そして、卒業した後も、母校を愛し活躍する学生を応援できること。応援席に足を運べば声高らかに応援して、学生時代に戻ることができます。普段はそれぞれの人生を歩む中で、ふと週末に球場に集えば、年齢、出身、学部、職業など関係なく、同じくスポーツを愛し、応援に熱中し、母校を愛し、一つになることができる。家庭や生まれ故郷のほかに帰る場所がもう一つあるということは、この上なく幸せなことでしょう。

私が應援指導部に入部した当初は、コロナ禍ど真ん中でした。応援席と向き合う部員の働きかけによって応援席から声を引き出し選手に届けるという「応援指導」という考え方を大切にしている我々應援指導部にとっては、存在意義を見失う事態。そのような中、内野応援席が蘇った昨年は四学年いずれも有観客の応援席を経験したことがなく、全員が一年生状態からのスタートとなりました。声掛けの仕方、応援席の動かし方がわからず、模索の日々が続きます。しかしながら、コロナ禍によって時が止まったからこそ、スポーツができること、応援ができることの有り難さを再認識することができました。人が集うこと、想いの丈を叫ぶことができること、そのような当たり前だった日常に感謝して、「選手の力になれる応援席」、「應援指導部のあり方」と向き合い直し、「応援席にお越しの皆様に楽しんで声を出していただき、大きな応援席にするためには何ができるか」原点を見つめることで、再スタートしました。

コロナ禍をはじめ、数々の大波を乗り越えた我々は、野球部を応援するに相応しい、慶應義塾を代表するに相応しい存在になることができましたでしょうか。應援指導部がいて良かった。應援指導部がいるから頑張ることができる。そのように考えていただけるような、エネルギーの原点となれるような存在であり続けるために、日々活動に励んでいます。

末筆にはなりますが、慶應義塾大学應援指導部の進化の過程として、より一層体育会各部との連携を強め、各スポーツ応援席の集客を図るとともに、慶應義塾として力強い一体感を醸成するために、我々應援指導部は本年より慶應義塾体育会に加入いたしました。今まで以上の活気を明治神宮野球場に生み出せるよう、学生動員、集客から見直し、学生野球を盛り上げて参ります。
今後とも慶應義塾体育会應援指導部を何卒よろしくお願い申し上げます。

-全ては勝利のために-
-そして、皆様が頑張る理由であり続けるために-

應援指導部は今日も応援席におります。
皆様の応援席へのお越しを、心よりお待ちしております。

(慶應義塾体育会應援指導部 主将 土橋 祐太)

神宮六景

『感謝』

東京六大学野球連盟創立99年目のシーズンラストを迎え、これまでの野球人生を振り返り感謝の気持ちを綴りたい。まずは、ご指名いただいた現役マネージャー達に感謝申し上げる。
筆者は、野球人生のほぼ全てをマネージャー業務に費やしてきた。現在は、縁あって先輩理事を拝命している。

リーグ戦におけるマネージャーの主戦場は、神宮球場正面右手に位置する事務所である。
この主戦場で、現役当時事務局長であった長船騏郎さんから、東京六大学野球リーグ戦の運営者としての実務はもちろん、姿勢、所作等多くのことを学ばせていただいた。卒業後、社会人野球からオリンピック日本代表に至るまでマネージャー人生が続くことになるが、長船門下生であったことが、筆者にとって大きな後ろ盾となっていたことは間違いない。今でも長船さんには感謝の気持ちで一杯である。

時を現在に移すと事務所に行き交うマネージャーの様相は、当時とは全く違う光景を目の当りにする。女子マネージャーの台頭である。我が明治大学野球部も114年目にして初の女性主務が誕生した。この女子マネージャー達の活躍ぶりを故島岡吉郎監督の目にはどう映るのだろうか? 泉下の監督に尋ねてみたい。その時は、怒鳴られないよう注意する。

今は、六校全てに女子マネージャーが在籍しており、男子と協力してリーグ戦の運営に取り組んでいる。特筆すべきは、球場アナウンスを一手に担っていることで、各校大変よく訓練されており円滑なゲーム運営に貢献している。今年もマネージャー達が神宮から巣立っていくが、毎年『人間力』豊かな素晴らしい人材を輩出していると確信している。神宮球場で生まれる同士の絆は、生涯の財産となるであろう。

先輩理事として、事務所ではマネージャーの邪魔にならないよう心掛けているつもりであるが、ご迷惑をおかけしていたらご容赦願いたい。執務中の余計な私語は慎むよう努力するつもりである。
各校のマネージャー達には、感謝の気持ちしかない。

いよいよ来年は創立100周年の慶賀を迎え、その翌年から新たな歴史が始まる。これまでの99年間は、連盟創立、戦争による中断、戦後の復興、昨今ではパンデミック等、苦難の歴史を辿ってきた。今があるのは、多くの先人・先達の心血を注いだ努力の賜物であることを決して忘れることなく、200年に向けた礎を築くために尽力していく所存である。

東京六大学野球に栄光あれ!

(明治大学先輩理事 昭和58年卒 津賀正晶)

第5週

守備の要

2024/10/9 UP
OPEN

東京大学

今シーズンの東大は渡辺(3年/海城)、鈴木太陽(4年/国立)と先発陣の好投が目立つ試合が多くある。女房役として彼らの好投を支えている杉浦海大(3年/湘南)を守備の要としてあげたい。1年生の春季フレッシュトーナメントの際に、初打席でホームランを放つなど、下級生時代から神宮での経験を積んだ彼は、2024年の春季リーグから正捕手として出場するようになった。厳しく野球に向き合う彼は、捕手としての総合力が高く、特にその強肩で盗塁を刺してピンチの芽を摘む場面はリーグ戦でも多く見られる。相手の分析も怠らず、そのリードで東大投手陣を引っ張っている。今秋リーグはここまで打撃も好調で、対慶應義塾大学二回戦では決勝点となるタイムリーを含む2安打を放って、チームの今季初勝利に大きく貢献した。文字通り攻守においてチームを牽引する彼の活躍に残りのカードも注目していただきたい。(角能紳吾)

立教大学

立大の守備の要は柴田恭佑(4年=東明館)である。2年春に神宮デビューを果たすと、これまで56試合に出場し、遊撃手を中心に二塁手、三塁手でも活躍。彼の魅力は、なんといっても出場した56試合ノーエラーの記録を持つ安定した堅実なプレーである。誰もが信頼し、彼のもとに打球が飛べば大丈夫とさえ思わせてくれる。そんな彼は今季、主に三塁手としてスタメン出場。ライン際の難しい球、ショーバン、ダブルプレーなどを難なく処理し、鍛えられた体幹で難しい体勢からでも安定感ある送球を見せ、チームの勝利に貢献してきた。また、内野手チーフとして周りにも目を向け、立教の守備面を支えている。残り2カードとなった今シーズン。チームの勝利に欠かせない存在である彼に目が離せないだろう。(町田日菜)

早稲田大学

ここはショートに打たせよう。部員全員が全幅の信頼を置く早大不動の遊撃手は山縣秀(4年=早大学院)である。彼の華麗な守備で幾度もピンチを切り抜けてきた。昨季では持ち前の守備のみならず、打撃も開花し遊撃手ベストナインを獲得し、攻守に欠かせない存在へと成長した。2年秋に衝撃的なデビューをすると、ここまで全試合に出場してきた。打球への反応、守備範囲、ハンドリング、送球までの早さ、どれをとっても彼の右に出るものはいないだろう。この夏は大学日本代表にも選出され、様々な知見を取り入れてきた。ラストシーズンとなる今季もここまで好守を連発し、勝利に貢献してきた。日本を代表する早大不動の遊撃手が、今シーズンも神宮球場で躍動する。(神田航)

慶應義塾大学

慶應の守備の要は斎藤快太(4年=県立前橋)だ。3年春からスタメンとしてリーグ戦に出場している彼は、3年生はセカンド、4年生ではショートと二遊間を器用にこなす。プレーに派手さはないものの、どんなプレーでも冷静に必ず打者をアウトにする確実性を持っており、「慶應の守備職人」として快太の守備を楽しみにしているファンも多くいる。そんな彼の冷静さが表れた代表的なプレーとして挙げられるのが、春季リーグ戦対立大4回戦ではないだろうか。1点リードの最終回、一死一三塁の大ピンチであったが、彼の好判断によりライナー性の打球を併殺に仕留め、勝ち点を掴み取った。どんな苦しい場面でも揺るぐことなく自分のプレーを淡々とこなす彼は、苦境が続くチームに良い風を必ずやもたらしてくれるだろう。(宮田健太郎)

明治大学

明治の守備の要は小島大河(3年=東海大相模)だ。持ち前の強肩とインサイドワークに長けた彼は、2年次からほぼ全試合でスタメンマスクを被り、今年侍ジャパン大学代表に選出されると、大会MVPを受賞するなど輝かしい成績を残した。そんな超実力派の彼には「泰然自若」という言葉がよく似合う。ピンチの場面に直面しても浮き足立つことはなく、常に冷静さを崩さない。普段の練習ではピッチングをほとんど褒めないが、試合中には「ナイスボール」という仕草をしてピッチャーを盛り立てる。そんな彼がチームの結び目となって、扇の要としての役割を全うしてくれるだろう。ここぞの場面での強気なリードで、チームを優勝へと導く。(岸上さくら)

法政大学

法政大学の守備の要は内海壮太(4年=御殿場西)である。恵まれた肉体から見る者を魅了する強烈な打球を放つ六大学屈指のスラッガーだ。今季は全ての試合で4番を務めており力強い打撃が持ち味の彼であるが、今季は守備においてもチームの窮地を何度も救ってきた。立大4回戦では延長13回のピンチにおいて、難しい打球をフェンスに衝突しながら好捕しサヨナラ勝利に繋げた。続く早大戦では息詰まる接戦の中、正確無比な送球で2つの本塁捕殺を記録した。未だにリーグ戦においてノーエラーである彼だが、春の慶大2回戦ではエラーの記録がつかないものの、打球判断のミスで逆転を許してしまった。春の悔しさを胸に打球判断、一歩目に磨きをかけ今季は守備の要と呼ぶに相応しい活躍を見せている。また、献身的な姿勢と仲間を鼓舞する声で牽引する姿はチームに活力を与えており4年生としての自覚も十分だ。残り3カード、優勝へ突き進むためには彼の守備と圧倒的な打撃が必要である。ここまで険しい道を歩んできたチーム吉安の4番が牙をむく。(黒坂夏希)

応援席から

法政大学応援団

平素より法政大学を応援してくださり、誠にありがとうございます。また、我々法政大学応援団の活動にご理解・ご協力いただき、御礼申し上げます。 昨年の春に多くの関係者の方々のご尽力により、コロナ以前の応援席の形態を取り戻しました。法政大学の勝利のために全力でプレーする選手の方々を、応援席の皆様と一緒に応援できることに嬉しさを感じております。一方で外野席応援から応援形態が変化した際には、応援席を巻き込んだ応援方法に難しさを感じておりました。 今季は内野席応援が復活して4季目のシーズンとなりましたが、団員一同が日頃の練習や合宿を通して応援席の作り方を試行錯誤した集大成となるべくシーズンではないかと思っております。 コロナ以前の形態に完全に戻ったかと言えば、決してそうではないかもしれません。しかし、法政大学の勝利を最後の瞬間まで信じ続けることはどんな時代になっても変わらないと思っております。 今季も残り3カードとなりましたが、どんな戦況であっても団員一同最後まで勝利を信じて応援してまいります。 末筆にはなりますが、今後ともご声援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
(法政大学応援団団長 谷田部和真)

神宮六景

2つの感謝

我が母校を卒業して32年が経ちます(実は今春「娘」も母校を卒業しました)が、私はいま「我が同期」と「支え人(ささえびと)」に対する感謝の念を、今さらのように深く抱いています。

36年前、北九州から上京した私は「コトバの違い」を含めた東京仕様の生活に悪戦苦闘の毎日でした。しかも、上級生との相部屋による野球部寮での集団生活。全国から集まった同期の面々は、現役・一浪・二浪と年齢の幅もあり「野球を愛する者」という共通項を除けば、その来歴や芸風は全くもってバラバラでした。どことなくピリピリとした空気の中で寮生活を送るなか、とある夜のボール磨き(業務用の消しゴムでボールの汚れを落とす1年生専業の夜のお仕事)の際に、同期二人が取っ組み合いのケンカを始めたこともありました(止めに入った私は軽い脳震とうでダウン)。また、ある同期は散髪屋でタバコを吸っているところを上級生に見つかり、上品なカットのつもりがゴリゴリの丸坊主で帰寮するという惨劇にも見舞われました。女子マネージャーを含め、同期会で集まった際は、今もってこうしたバカ(昔)話しに花が咲きます。このように腹を抱えて共に笑い合える時間は、私にとって大事な・大事な宝物であり、恐らくそれは永遠に不易だと思います。改めて「我が同期」に心から感謝・感謝です。

加えて、もう1つ。
私はいま、会社で総務セクションに就いています。総務業は、現場や営業セクションと違って「裏方」のお仕事が多く、必ずしも「陽の当たる部署」とは言えないセクションです。ですが、そのお仕事を誰かが担わなければ会社、あるいはグループ全体が回らないのも事実です。ですので、チーム(配下)のみんなには「裏方なれど誇り高き仕事人であり続けよう!」そう私は繰り返し伝えています。いま振り返ると現役時代、これは裏方さんに限りませんが「居てくれて当たり前」だと思っていた方々、例えば、監督さんや助監督、マネージャーに加えてOBの諸先輩方や六大学野球連盟の方々、あるいは母校に限らず六大学野球を愛するファンの皆様、そして両親をはじめとする親族。そうした多くの方々に、私たちはどれほど支え続けてもらっていたか、今さらのように深く想いを馳せる次第です。改めて「ささえびと」に心から感謝・感謝です。

現役選手の皆さん、お説教じみたことを申し上げるつもりは1ミリもありませんが、心のどこかで「同期」そして「ささえびと」に感謝しながら毎日を過ごしてもらえると、OBの一人としてこんなに嬉しいことはありません。
(そして来年、100周年を迎える東京六大学野球連盟にも感謝・感謝・感謝!)

(立教大学野球部92年卒 太田敦 東筑高校卒)

第4週

打撃の要

2024/10/2 UP
OPEN

法政大学

法政大学の打撃の要は中津大和(4年=小松大谷)である。並外れたリストの強さから強烈な打球を放ち、50メートル5.8秒の快足を飛ばしてダイヤモンドを駆け回る。まさに法政打線の要であり軸である。今季は1番、2番、3番を務め、7試合全てで安打を放つなどチャンスメーカーとポイントゲッターの両面でチームを牽引している。また既に大学キャリアハイの2本塁打を放っており、パワー、そして勝負強さを見せつけた。そんな彼の魅力は走攻守、そして笑顔である。「中津スマイル」という異名を持つほど、いつでもどこでも笑顔でおり勝ってる時も負けてる時もとにかく笑顔で楽しそうにプレーをしている。その笑顔の奥には誰よりも強い春の悔しさ、勝利へのこだわり、そして熱い闘争心が秘められているに違いない。残りの3カードも笑顔でグラウンドを駆け巡り、走攻守全てでチームの勝利を手繰り寄せてくれるであろう。(黒坂夏希)

東京大学

東大打線のキーマンはやはりこの男、酒井捷(3年=仙台二)だろう。誰もが認める東大のリードオフマンがやっと神宮の杜に帰ってきた。酒井が出塁し、中山太陽(3年=宇都宮)、内田開智(4年=開成)といった上位打線で彼を得点させるという流れが最も期待できる得点パターンといっていい。開幕から2カードを終え1得点と打線の元気がないが、この打線の本来の勢いはこんなものではない。安打でも四球でも振り逃げでも何でもかまわないが、彼が出塁し、走って、後続打者がホームに返す。このパターンが何度も見られるようになれば、東大の白星もおのずとついてくるに違いない。(岩瀬笑太)

立教大学

今シーズンの立大打線の核となるのは、鈴木唯斗(3年=東邦)だろう。下級生の頃から持ち味の長打力を武器に多くの経験を積んできた。豪快なフルスイングから放たれる打球は目を見張るものがあるが、チャンスで凡退し主軸として役割を果たせず苦しむ姿も見てきた。今春のリーグ戦も無安打と本来の力を発揮できず悔いの残るシーズンとなった。しかし誰もが認めるこの夏の努力が実を結び、今シーズンはスタメンに定着すると、7試合を終え打率.350と好成績を残している。まだまだ優勝の可能性は残されている。チームに勝利をもたらす彼の豪快なフルスイングと綺麗な放物線を描くアーチを見逃すわけにはいかない。(草野梢汰)

早稲田大学

早稲田が誇る打撃の要は吉納翼(4年=東邦)であるという意見に、異を唱えるファンは誰もいないだろう。今秋は規格外のパワーと確かな選球眼を存分に発揮しており、ここまでの2カードで4HR・15打点と、まさに鬼神のごとき活躍を見せている。チャンスでの勝負強さからついた異名は「ミスター3ラン」。先週末の法大1回戦でも、7回2点ビハインドから起死回生の3ランホームランを放ち、神宮球場の空気を一変させた。相手がどんなに好投手でも、どんなに綿密な対策がなされていても、どんなに絶望的な状況でも、彼は一振りで正解を導き出してきた。そしてその度に、見ている者を虜にしてきた。勝ち点を2つ積み上げて残るは3カード、彼はあと何回我々を熱狂させてくれるだろうか。彼の1打席、1スイングが楽しみでならない。(中原由信)

慶應義塾大学

慶大の打撃の要として紹介したいのは清原正吾(4年=慶應)である。彼のパワー溢れるスイングからはロマンを感じずにはいられない。2年生の時に初スタメンを勝ち取るも、昨年はベンチに入れず悔しさを糧に猛練習を重ね、今年春の開幕からは4番を任されている。彼の魅力は何と言ってもその長打力である。芯でとらえた打球は観るものすべてを魅了するアーチを描く。そんな彼の魅力が発揮されたのが先日行われた慶明1回戦、9回裏2死の場面からの劇的なホームランであり、あの一打がチームを窮地から救った。自軍側スタンドだけでなく、球場全体が歓喜に包まれた瞬間は感動で鳥肌が立った。 敵味方関係なく観客を魅了する彼のバットが今度はチームを勝利へ導いてくれるはずだ。(宮田健太郎)

明治大学

明大の打撃の要は、今年度全試合で1番を務める直井宏路(4年=桐光学園)だ。1年の春季リーグ戦で神宮デビューを果たすと、4年間全てのシーズンで試合に出場し、自慢の脚力とスピード感あふれるプレーで見る者を魅了した。中でも印象に残っているのは、昨秋、開幕戦の東京大学戦。自身初アーチとなる先制ホームランを放った。持ち前の機動力と守備範囲の広さでチームを何度も救ってきたが、打線でもチームに欠かせない存在へと成長した。昨季は全試合に出場し、打率.327とキャリアハイのシーズンとなったが、チームのリーグ2位という結果に悔しさをにじませ、更なる飛躍を誓った。今季も既に2試合で猛打賞を記録するなどヒットを量産し、バットでチームを牽引する。また、慶應義塾大学2回戦で、3ランホームランを放ちベンチに戻る宗山にサイレントトリートメントをしかけるなど、エンターテイナーな一面もある。真摯に野球と向き合い、皆から慕われるリードオフマンが明大打線の口火を切る。(岸上さくら)

応援席から

立教大学体育会応援団

平素より立教大学に格別なご厚情を賜り御礼申し上げます。

昨年度より従来の応援席の形が戻りましたが、コロナ禍で入部した私達には未知な部分が多く、過去の先輩方が作り上げてくださった応援席を復活させ、今まで以上に皆様に盛り上がって頂けるように、日々試行錯誤を重ねて参りました。
試合中に喜びを分かち合える瞬間、試合前後に皆様から声を掛けて頂ける瞬間、応援席で起こるどのような瞬間も大変嬉しく、かけがえのないものであると実感しております。

春季リーグ戦では、延長戦の末、勝ち点を取ることができないという悔しい試合が続き、5位という結果に終わりました。しかしながら、どの大学からも1試合は勝ちを獲得し、春には連敗の記録を破り、秋には8年ぶりに慶應義塾大学から勝ち点を獲得するといったように、六大一の試合数を誇る立教大学はその分だけドラマを持っております。93代でできる最後のリーグ戦、応援団と野球部とそしてお客様と結束し、最高の瞬間を見るためにこれからも全力で応援して参ります。

今後ともご声援の程、宜しくお願い致します。
立教大学体育会応援団
団長 望月蒼生

神宮六景

私が初めて球場で生の野球観戦をしたのは五十年弱前の慶應幼稚舎一年生の時の春の早慶戦でした。観客席に入るや否や、体が持ち上がる様な感覚の物凄い歓声と球場を包み込む独特の雰囲気に興奮し、圧倒され、鳥肌が立ち、「将来、ここで野球をするんだ!」とその場で誓った程でした。
大学在学中は選手としてはリーグ戦出場の機会はありませんでしたが、四年生の時に新人監督に就任し、チームの運営に携わらせて戴きました。新人監督と言っても、一・二年生には私より野球が上手い選手は何人もいて、どの様にしたらチームから信頼され、チームに貢献出来るかを同期の新人コーチ・西丸君と一緒に常に考えていました。そして、技術的な指導よりも「一・二年生達のメンター役」として彼等に寄り添う姿勢で接する事に徹しました。毎日、野球日誌を提出して貰いましたが、個性の強い選手も多く、中には「せこいヒットより常にホームランを狙う打者でありたい!」と書いていた選手もいました。
恩師である故・前田祐吉元監督には「Enjoy Baseball」の理念を通じて「自ら責任を持ち、考え、工夫をする」「既成概念に捉われない幅広い視野を持つ」「個性と多様性を大切にする」等を教えて戴きました。見聞を広める為に海外遠征も頻繁に実施されましたが、監督室の本棚は英文の書物で一杯で、米国UCLAとの合同練習会ではご自身で通訳をされ、「かっこいいな」と憧れの眼差しで見ていた自分がおりました。「卒業したらどんどん海外に出て行った方が良い」とアドバイスを戴き、後に私自身が米国の大学院に留学をした際には自分の事の様にとても喜んでくださいました。昨今、多様な文化を理解し、橋渡し役となる国際人材が求められていますが、前田監督は当時から今の時代を先取りする様な感覚を持っておられました。
東京六大学野球は私の野球の原点であり、夢であり、良き指導者とチームメイトに恵まれ、四年生の最後の年に19年振りの春秋連覇を達成して学生野球を終える事が出来たのは本当に幸せでした。選手としてはチームに貢献できませんでしたが、最後の一年間は野球人生で一番充実した一年となり、大学時代に得た様々な貴重な経験は、会社を経営する立場になった今でもその土台となっています。
東京六大学野球には深く感謝を申し上げると共に、来年、百周年を迎えられる東京六大学野球が今後も未来の選手達の憧れの的として更に発展されていく事を心より祈念しております。

慶應義塾大学野球部 井上政継(平成四年卒業)

第3週

この選手に注目!

2024/9/25 UP
OPEN

明治大学

今秋の注目選手は、堅実な守備と力強い打撃が魅力の光弘帆高(2年=履正社)だ。春、ケガの影響で戦線離脱した宗山の穴を埋めるべく、途中から遊撃手のスタメンに定着し、その存在をアピールした。高校時代、U-18代表でプレーをした経験のある実力者でプレッシャーに強く、ここぞの場面でのバッティングはチーム随一である。普段は大人しい光弘だが、グラウンド上ではエネルギッシュで懸命なプレーを見せ、どんな球も確実にグラブに収めリーグ戦を通して無失策。強肩を生かしチームのピンチを何度も救ってきた。この秋は宗山が背負った背番号6を引き継ぎ、共に鉄壁な三遊間を組む。攻守でさらに磨きをかけた光弘がチームの優勝のカギを握る。(岸上さくら)

法政大学

法政大学の注目選手は倉重聡(1年=広陵)である。角度のある直球は最速145km/hを誇り、空振りを奪うことの出来るスライダーも兼ね備えている。1年生ながら今季2試合にリリーフ登板し、5イニングを無失点に抑えている。そんな彼の一番の持ち味はマウンド度胸であろう。マウンド上での気迫満点の立ち振る舞いや、臆することなく右バッターのインコースに力強いストレートを投げ込む様は1年生とは思えない。立大4回戦では延長2イニングを託され、ピンチを抱えながらも粘り強いピッチングでサヨナラ勝利に繋げた。この秋、倉重にかかる期待は大きい。またこの先も険しい場面で登板することがあるだろう。そんな場面でもエースの篠木(4年=木更津総合)のように漢の気迫でマウンドを守り続けていってほしい。彼にはそれを期待できる程の実力とスター性がある。この先も法政の“シゲ”に注目してもらいたい。(黒坂夏希)

東京大学

人呼んで「永遠の小学生」。内田開智内野手(4年=開成)のことだが、今秋の東大においては彼を押さえておけば間違いないだろう。昨チームの打棒から背番号5を引き継ぎ、今年度から自身もチームの打撃長に就任している。小柄ながらパワフルな体格を武器に夏季オープン戦では打率、四死球数ともにチームトップレベルの数字を記録、出塁率も文句なしだ。だが打撃はもちろんのこと、観客は彼が見せるギャップに惹かれるに違いない。誰の懐にも入り込む子犬のような天真爛漫さはフィールドでは息を潜め、打席での鋭い眼光からは観る者をワクワクさせてくれる頼りがいが感じられるのだ。今秋は未だチャンスをものにできておらず悔しさを滲ませているが、彼はこんなところでは終わらない。ここだけの話、苗字よりも下の名前で応援されるのが好きなので、神宮球場ではぜひ応援部とともに「かいち」コールで熱い声援をお願いしたい。(德田菜月)

立教大学

立大のこの秋の注目選手は竹中勇登(3年=大阪桐蔭)だ。名門大阪桐蔭高校出身の竹中だが、2年生の春まで登板機会に恵まれなかった。そんな竹中が2年生秋になり、頭角を現した。練習・オープン戦で着実に経験を積み、2年生秋のシーズンでリーグ戦初登板を果たす。そして3年生となった今シーズン、リリーフもできれば先発投手も務められる、そんな頼もしい投手に成長してくれた。立大の今季開幕カードの慶大1回戦では、リリーフとして2回を無安打4奪三振と好投し、サヨナラ勝ちに大貢献してくれた。そして、2カード目である法大との戦いではリリーフを務めあげるだけでなく、3回戦では先発投手をもやり遂げ、7回1失点と頼もしいピッチングを見せてくれた。ちょっとやんちゃで可愛く、だけどめちゃくちゃ頼れる竹中に今シーズンは注目していただきたい!(遠山夏澄)

早稲田大学

この秋は梅村大和(4年=早稲田実)に注目してほしい。中学時代は世田谷西リトルシニアのキャプテンを務め、日本一を達成し、高校時代も早稲田実業でキャプテンを務めるなど、野球エリートの道を歩んできた男である。大学では2年時の春季リーグ戦に初出場、フレッシュトーナメントではキャプテンを務めるなどの活躍を見せたが、出番は多くはなかった。持ち前のセンスと共に努力を重ね、堅実な守備力と勝負所での重要な打撃が評価され、最上級生として迎えた今春のリーグ戦では全試合に出場し、スターティングメンバーに名を連ねるようになった。大学野球ラストシーズン、トップレベルを走り続けてきた彼に似合う言葉は優勝のみである。間違いなく神宮球場で輝いてくれることだろう。(藤田南)

慶應義塾大学

慶大でこの秋注目してほしい選手は、広池浩成(2年=慶應)である。力強い直球と鋭く曲がる変化球が持ち味の2年生投手である。春季リーグ戦より主にリリーフとして神宮のマウンドを経験した彼は、この秋に先発としての才能を遺憾なく発揮しようとしている。夏の北海道キャンプ以降立て続けに、テンポよく投げ込み相手打線を完璧に抑える投球を披露。信頼を勝ち取り、開幕週の立教第2回戦ではついに先発登板。7回3安打1失点の安定した投球を披露し、先発としての初勝利を飾った。各大学投手の好投が目立つ今季、彼の右腕が慶應を勝利に導いてくれると信じている。(宮田健太郎)

応援席から

明治大学応援団

茹だるような残暑の中、チーム宗山のラストシーズンがついに幕を開けた。大事な1カード目、東京大学戦では2戦連続で白星を挙げ、無事勝ち点を収めた。
今年の明治の強みは強力打線である。スターティングメンバーには、ベストナインの受賞経験のある実力者が揃い、下位打線には日本代表でMVPに選出された小島大河(政経3=東海大相模)が名を連ねるなど抜け目がない。リードオフマンを務める直井(商4=桐光学園)は現役選手の中で最多の出場数を誇る経験豊富な選手で、今シーズンもチームに勢いを呼び込む。
投手陣では、春季思うような成績を残せなかった4年生が復活を誓う。エースとして先発を担う藤江(政経4=大阪桐蔭)とリリーフとしてブルペンを支える浅利(商4=興國)、千葉(経営4=千葉黎明)、山田(国日4=札幌一)。4年生が層の厚い明治の投手陣をまとめあげ、相手を圧倒する。
2シーズン優勝を逃した雪辱を晴らすべく、天皇杯奪還に燃える明治。全国への切符を掴み、全員で喜びを噛み締めたい。(小林大河)

神宮六景

「東京六大学野球のOBとして」

2025年に現行の六大学となって100周年を迎えます。1903年に始まった早稲田大学と慶應義塾大学の対抗戦(早慶戦)が始まりで、その後に明治大学、法政大学、立教大学、そして東京大学が加わり現在の東京六大学野球となり、その歴史が100年を刻もうとしています。その伝統ある長い歴史の中の4年間に法政大学野球部として関われた事を感慨深く、改めて凄いところに居たんだなと感じています。100周年事業も盛大に企画されているとの事、東京六大学野球OBと東京六大学ファンの皆様は心待ちにしている事だと思います。

現役の選手の皆さんもやがて社会に出て活躍されると思いますが、現役とは違った「六大学野球の繋がり」を実感すると思います。それぞれの企業や職業に就く中で、自分の母校の先輩後輩、同級生だけでは無く、沢山の他校の“OB・OG”と出会います。大先輩から、歳の離れた後輩たちとのビジネスの繋がり、人の繋がりを実感して行く事でしょう。勿論スポーツの枠を越えた繋がりも存在しますが、「東京六大学野球の繋がり」は特別なものがあると実感しています。私は専門商社に勤務していますが、社内にも多くの東京六大学野球のOB・OGが在籍しており、その繋がりでビジネスの幅、人脈が拡大していく事も多々御座います。そしてたまには皆で集まって「東京六大学OB飲み会」や「オレンジ会(法政OB)」などを開催し、ガス抜きも含めたお互いを激励し合ったり悩み相談をしたり、リーグ戦を展望する会を行い、社内で何でも話の出来る貴重な“仲間”となっています。もちろんそれがビジネスの業界を超えた社外とも存在し無限の繋がりとなっていますし、面識がそれまで無くとも、仕事で他校の後輩から挨拶や相談を頂くと、「よし、彼の為に何とか応えてやろう!」と格好をつけたくなるものです。

最後になりますが、野球部OB・OGとしてやや疎遠になってしまっている方も、100周年を機にもう一度母校や他校との繋がりを意識し、東京六大学を盛り上げて行きませんか?現役学生は勿論、OBとしての東京六大学野球があると思いますし、それが先人達のこれまでの100年の積上げになっていると感じています。次の100年に向けて皆さんで東京六大学を盛り上げて行きましょう!

法友野球倶楽部 吉松孝司(平成4年卒)

第2週

ラストシーズンにかける思い

2024/9/18 UP
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慶應義塾大学

コロナ禍の2021年に入部した4年生も、あっという間に今季がラストシーズンとなってしまった。野球部員として活動したこの3年間、先輩方にはリーグ戦優勝や日本一など数々の素晴らしい場面を見せていただき、とても貴重な経験をさせてもらってきた。その先輩方を含む多くの応援してくださる方々への恩返しと、強い慶應野球部を後輩へ引き継ぐという意味でも、今季の「天皇杯奪還」は成し遂げなければならない目標である。そのような気持ちで挑んだ春のシーズンは3位という悔しい結果に終わった。チームはこの夏、北海道で行ったキャンプや日吉でのOP戦など猛暑に見舞われながらも、ひたすらにチームが勝つために自分たちが何をすべきかを追い求めてきた。この夏を乗り越え選手たちは一回りも二回りも大きく頼もしく見える。4年生にとっては泣いても笑っても大学野球最後のシーズンである。選手・スタッフが一丸となって自分たちが持つ最大限の力を発揮して、目標である「リーグ戦優勝」を達成し有終の美をなんとしても飾りたい。(宮田健太郎)

明治大学

2020年5月20日、世界中に蔓延したコロナウイルスの影響で私たちの高校最後の夏から「甲子園」の文字が消えた。目標にしてきた聖地を目指す権利さえ失われたあの瞬間の感情を私は一日たりとも忘れたことはない。大学入学後も無観客試合など、たくさんの制限を強いられたが、数えきれないほど多くの方々のおかげでやっと今まで通りの六大学野球の形を取り戻すことができた。そして迎えた、大学野球のラストシーズン。仲間と共に野球が出来ること、目指せる場所があること、スタンドに足を運んで応援してくださる方がいること、それがどれだけ幸せで恵まれていることなのか、部員全員が身をもって感じている。甲子園への道を閉ざされたコロナ世代の私たちだからこそ、今、学生生活最後のシーズンにかける思いは特別なものがある。これまで私たちに関わってくださった全ての方々への感謝を胸に、40人のラストシーズンが今始まる。(岸上さくら)

法政大学

この秋、法政大学野球部の4年生40名がラストシーズンを迎える。今年の4年生は入学以来一度も優勝経験が無い。全国の舞台で鎬を削り世代トップクラスといわれてきた選手たちにとっては受け入れ難い現実であった。さらに下級生時代はクラスターの発生や観客制限など様々な制約のかかる中の活動が主であり、思い描いていた理想との乖離に苦しむことも多かった。ようやくコロナ禍も緩和し応援も従来通りの形で迎えた春のリーグ戦であったが4位に終わってしまった。この夏は現在地を受け入れるところから始まり、最後の秋に向けて基礎の徹底、競争を意識し鍛錬を積んできた。また、仲の良さを自他ともに認める学年であるが、仲が良いだけでは勝てない。吉安(4年・主将=大阪桐蔭)、篠木(4年=木更津総合)を中心に思うことをぶつけ合い最後まで勝ちに繋がるための準備をしてきた。大島監督は4年生の入学と同じ年に助監督に就任し、その時の1年生が4年生になる今年、監督に就任した。この秋は縁のある大島監督に何とか優勝という結果を贈りたいと心から思う。それぞれがお世話になった方々に感謝の思いを持ち、結果を残すためだけにこのラストシーズンに臨んでいく。(黒坂夏希)

東京大学

TEAM2024もいよいよ最後のリーグ戦を迎えた。惜しい試合もありながら0勝に終わった今年の春季リーグ戦の悔しさを晴らすべく、ラストシーズンの秋季リーグ戦へ挑む4年生の思いは並大抵のものではない。入学時から3年間、リーグ戦での勝利を経験し続けてきた中で、春季リーグ戦は改めて勝利を収める難しさを実感することとなった。コロナ禍に入学した自分たちの代だからこそ、多くのファンの方や応援部の声援の下にプレーできる環境の素晴らしさを強く感じている。応援してくださるすべての方の期待に応えるべく、選手はもちろん、マネージャー、学生コーチ、アナリスト全員がこれまでの集大成をぶつけることで、TEAM2024がこれまで目指してきた「突き抜け」を体現し、最高の後輩とともにラストシーズンに勝ち点獲得を達成する。(角能紳吾)

立教大学

今年の立教は『結束』というスローガンを掲げ、チームだけでなく、応援してくださる方々など野球部に関わる全ての皆さまと結束し優勝することを目標に新チームをスタートした。冬の練習、春のキャンプを互いに切磋琢磨し取り組んだものの、春季リーグ戦は6勝8敗1分の5位という不本意な結果で幕を閉じた。しかし、各大学から1勝以上を掴むことができた、秋に繋がる希望の5位であった。そこから、夏季キャンプでは一人ひとりが優勝のためにできることを考えチームの底上げに尽力した。そして、ついに4年生にとっては泣いても笑っても学生野球最後となるラストシーズンが始まった。ラスト1年でより一層強くなった『優勝する』という目標を胸に、部員138名と応援してくださる方々全員で一丸となり、必ず優勝を掴み取る。(町田日菜)

早稲田大学

4年生はここまであと1勝を何度も経験してきた。目の前で胴上げを見る屈辱も味わってきた。そして最終学年となって向かえた春季リーグ戦だった。「春何としても天皇杯を奪還する」まずその目標を果たした。しかし日本一にはあと一歩及ばなかった。ここでもあと1勝を経験することとなってしまった。その悔しさを持って挑んだ夏の南魚沼キャンプでは、「連覇、日本一になる資格のあるチームをつくる」この言葉を胸にチーム一丸となって厳しい練習に取り組んできた。その想いは間違いなく他大学に負けることはない。あとは連覇、そして日本一の頂へチーム一丸となって突き進むだけだ。(神田航)

応援席から

神宮六景

「野球に魅せられて」

1974年に東大野球部に入部しましたが、その年から社会人野球三菱自動車京都の監督を務めた岡田彬監督が東大の監督に就任され、厳しい練習が始まっていました。
『高校時代の野球の技術・体力で劣る東大が、他大学と同じような練習をしていて、リーグ戦で勝てるわけがない。』ということから、とにかく厳しい練習で、当初40名ほどいた新入部員はいつしか12名になっていました。しかしそのおかげで、六大学野球が50周年を迎えた1975年の秋に、東大は12シーズンぶりに最下位を脱出することができました。

このシーズンは春の優勝校明大との開幕戦で、自分と同じ2年生の西山明彦(現・先輩理事)、中澤文哉両投手で連勝し勝ち点をあげ、この後は敗戦が続きましたが、最後の立大戦で1勝をあげ5位となりました。当時はブルペン捕手でしたが、リーグ戦での勝利の感動によって改めて幼い時からいそしんできた野球の楽しさ・魅力を強く認識しました。
ちなみに明大は東大に敗れた後は、他の4大学から勝ち点4をあげ、怪物江川卓投手を擁する法大を抑え春秋連覇、一方で法大は翌年春から4連覇を遂げることになります。
この時の明大のエースだった丸山清光さんと、東大の外野手だった富田裕さんが卒業後に同じ朝日新聞社に勤務していたことから、当時の両チームのOBが毎年春・秋のリーグ戦の東明1回戦を観戦した後、神宮球場の近くで懇親会を開く会が年2回あり、自分も頻繁に参加させていただき昔話に花を咲かせています。

さて3年になると、監督が新日鉄釜石で社会人野球経験のある小笠原文也監督に代わりましたが、やはり練習の厳しさは相変わらず、その結果1976年春は最下位だったものの秋は5位に上がり、最上級生となった1977年春は慶大に連勝し、最終の立大戦にも連勝して1947年以来30年ぶりの4位となりました。立大戦は西山投手の2試合連続完封で勝ちましたが、2回戦の9回表1:0で迎えた1死2塁のピンチに、立大4番の吉井郁雄選手が1塁ベンチ前に高々と打ち上げたファールフライが、真っ青な空からだんだん自分の方に近づき、キャッチャーミットに収まったかと思ったら、少し弾んでしまい慌てて右手で押さえた感触は何年たっても忘れられません。

卒業後も社会人野球から草野球、近年は大学野球部と高校野球部のOB会活動など野球に関連することを続けているのも、学生時代のこうした経験によって“野球の魅力のとりこ“になってしまったせいかもしれません。挙句の果てにここ数年は還暦野球でプレーを続けており、そのチームには東大や慶大の後輩が所属しています。
野球を通じて教えてもらったことも多く、もちろん岡田、小笠原両監督をはじめ当時のチームメイトからは多くを学び感謝してもしきれませんが、自分にとっては野球それ自体も、師であり友であります。おそらく最後まで何らかの形で野球に携わっていくでしょう。東京六大学野球に関係する皆さん、選手、審判、指導者、連盟等、プロ・アマを問わずさまざまなところに“野球のとりこ”となって人生を送っていらっしゃる方も多いかと思います。前述の東大・明大の交流会に参加される方や、還暦野球でプレーしている皆さんの多くも同じかと思います。現役の部員たちからも、そうした“野球のとりこ”がたくさん出て、皆さんの力で、東京六大学野球が、日本の野球がさらに盛り上がることを期待しています。

(東京大学運動会硬式野球部OB会一誠会 幹事長 1978年卒業 半田常彰)

第1週

この夏の収穫

2024/9/11 UP
OPEN

早稲田大学

弊部としての今夏の収穫は、競争の激化である。9人しか選ばれないスターティングメンバー、25人しか選ばれないベンチ入りメンバー。選手全員が熾烈な競争を繰り広げ、限られた枠を争っている。新潟県南魚沼市で行われた夏季キャンプは勿論のこと、オープン戦や普段の練習からも、新戦力の台頭・負傷者の復調が目立っている。また、高いレベルからの刺激も十分である。キャンプ中に行われた「全早稲田戦」では、社会人野球チームで活躍する先輩から様々な技術を吸収した。印出太一主将をはじめとする大学日本代表に選ばれた4名は、同年代で活躍するトップレベルの選手たちと共に戦い、世界一の称号と豊富な経験・知識を得て帰ってきた。春秋連覇の立役者となるのはいったい誰なのか、今シーズンも選手一人ひとりから目が離せない。(中原由信)

慶應義塾大学

8月4日から19日まで16日間、Aチームは北海道幕別町・旭川市にてキャンプを行った。涼しい日が続き、活動しやすい気候の中、朝から晩までみっちり練習に打ち込むことができ、個人はもちろんチームとしてもパワーアップすることができた。このキャンプにおける収穫は下級生からの突き上げである。多くの下級生が北海道キャンプに帯同し、各ポジションでスタメン争いに食い込んできた。その中でも2人、鷲見旺宥(1年=岐阜)と渡辺憩(1年=慶應義塾)がリーグ戦での活躍が期待されている。鷲見は春のフレッシュ法政戦に登板し、夏のOP戦でも多く登板経験を積んだ。渡辺は春のリーグ戦でも2本の本塁打を打ち、強肩強打の捕手として秋も攻守にわたる活躍が期待されている。夏の期間にチームとして取り組んだ成果を披露し、春の雪辱を晴らしたい。(宮田健太郎)

明治大学

8月上旬、島岡御大ゆかりの地・長野県高森町で夏季キャンプを実施し、心身共に成長を遂げた。帰京後も数多くの実践練習を行い、朝から晩まで府中のグラウンドで汗を流した。天皇杯奪還のために鍛錬を続け、この夏は、秋季リーグ戦を勝ち抜くために必要不可欠な「チーム力」を得た。そして、今秋、皆が復帰を待ち望んだ主将・宗山塁(4年=広陵)が神宮のグラウンドに帰ってくる。試合に出場できなかった春の悔しさを胸に、宗山の最後の逆襲が始まる。秋こそ、応援してくださる皆様に「優勝」の報告をもって恩返しできるよう、チーム一丸となって2ヶ月間のリーグ戦に挑む。熾烈なメンバー争いを経て一回りも二回りも強くなったチーム宗山で臨む最後のシーズン、いざ出陣。(岸上さくら)

法政大学

この夏の収穫は勝利への貪欲さと競争意識である。春季リーグ戦では7敗全てが2点差以内での敗戦と接戦での弱さが露呈された。この夏はこの課題を打ち破るため、チームとして勝利にこだわることをテーマとし、オープン戦をはじめAチームは関西遠征、Bチームは新潟サマーリーグで実践経験を積んだ。主将の吉安(4年・主将=大阪桐蔭)や代理主将の篠木(4年=木更津総合)を中心に勝利へのこだわりを持ってこの夏に挑んだ。しかし、関西遠征では一勝もできずオープン戦でもなかなか勝ちきれない試合が続いた。その中で新戦力の台頭がチームの雰囲気を変えた。春季リーグ戦後、レギュラーが確定している者は誰一人いないというチーム状況を理解し日々の練習における競争意識を促した。激しい入れ替わりの中で、特に石黒(3年=高岡商)や中西祐(2年=木更津総合)、倉重(1年=広陵)などがハツラツとしたプレーで頭角を現した。チームとして勝利に一番の重きを置き、そのために自分自身がチームのためにできる最善を尽くすという考えがチームに浸透することで全体の雰囲気、そして日々の結果に結びつくようになった。ただ、収穫というにはまだ早い。競争意識から生まれる勝利に貪欲な姿勢を持ち続けることでリーグ戦での勝利、勝ち点、そしてその先の優勝に結びつけこれを夏の収穫としたい。(黒坂夏希)

東京大学

ここ2年と同じく、今夏も北海道・遠軽町での強化練習を8/1-8/10にわたって実施した。冷涼な気候と準備していただいたありがたい練習環境のもと、朝から晩まで練習に明け暮れた。その成果を実戦の場で確認すべく、3連覇を目指す名古屋での七大戦に向かったが、あっけなく黒星発進。この敗戦で改革されたチームの意識がこの夏の1番の収穫といってもいいかもしれない。これまで以上に危機意識をもって取り組んできた結果を、開幕戦からフルスロットルで見せていきたい。 (岩瀬笑太)

立教大学

春リーグでは、すべてのカードで1勝はしたものの勝ち点を取り切ることはできずに5位に終わった。この夏の期間は、どう1点を取るのか、どう1点を守るのか、そしてどう勝ち点を取るのかをチーム全員で突き詰めた。特に8/1~8/13の期間でAチームは東北、Bチームは新座でキャンプを行い、オープン戦を交えながら多くの実戦を積んだ。各々がチームのために何ができるのかを考え、役割を全うすることで、個人の技術向上だけでなくチームプレーの徹底、底上げがなされた。今年は、例年以上に軍の入れ替えも多くメンバー争いが激しい。春の悔しさ、夏で得た自信を糧に秋リーグでは勝ちにこだわり、チーム全員で戦う。(草野梢汰)