東京大学
今シーズンの東大は渡辺(3年/海城)、鈴木太陽(4年/国立)と先発陣の好投が目立つ試合が多くある。女房役として彼らの好投を支えている杉浦海大(3年/湘南)を守備の要としてあげたい。1年生の春季フレッシュトーナメントの際に、初打席でホームランを放つなど、下級生時代から神宮での経験を積んだ彼は、2024年の春季リーグから正捕手として出場するようになった。厳しく野球に向き合う彼は、捕手としての総合力が高く、特にその強肩で盗塁を刺してピンチの芽を摘む場面はリーグ戦でも多く見られる。相手の分析も怠らず、そのリードで東大投手陣を引っ張っている。今秋リーグはここまで打撃も好調で、対慶應義塾大学二回戦では決勝点となるタイムリーを含む2安打を放って、チームの今季初勝利に大きく貢献した。文字通り攻守においてチームを牽引する彼の活躍に残りのカードも注目していただきたい。(角能紳吾)
立教大学
立大の守備の要は柴田恭佑(4年=東明館)である。2年春に神宮デビューを果たすと、これまで56試合に出場し、遊撃手を中心に二塁手、三塁手でも活躍。彼の魅力は、なんといっても出場した56試合ノーエラーの記録を持つ安定した堅実なプレーである。誰もが信頼し、彼のもとに打球が飛べば大丈夫とさえ思わせてくれる。そんな彼は今季、主に三塁手としてスタメン出場。ライン際の難しい球、ショーバン、ダブルプレーなどを難なく処理し、鍛えられた体幹で難しい体勢からでも安定感ある送球を見せ、チームの勝利に貢献してきた。また、内野手チーフとして周りにも目を向け、立教の守備面を支えている。残り2カードとなった今シーズン。チームの勝利に欠かせない存在である彼に目が離せないだろう。(町田日菜)
早稲田大学
ここはショートに打たせよう。部員全員が全幅の信頼を置く早大不動の遊撃手は山縣秀(4年=早大学院)である。彼の華麗な守備で幾度もピンチを切り抜けてきた。昨季では持ち前の守備のみならず、打撃も開花し遊撃手ベストナインを獲得し、攻守に欠かせない存在へと成長した。2年秋に衝撃的なデビューをすると、ここまで全試合に出場してきた。打球への反応、守備範囲、ハンドリング、送球までの早さ、どれをとっても彼の右に出るものはいないだろう。この夏は大学日本代表にも選出され、様々な知見を取り入れてきた。ラストシーズンとなる今季もここまで好守を連発し、勝利に貢献してきた。日本を代表する早大不動の遊撃手が、今シーズンも神宮球場で躍動する。(神田航)
慶應義塾大学
慶應の守備の要は斎藤快太(4年=県立前橋)だ。3年春からスタメンとしてリーグ戦に出場している彼は、3年生はセカンド、4年生ではショートと二遊間を器用にこなす。プレーに派手さはないものの、どんなプレーでも冷静に必ず打者をアウトにする確実性を持っており、「慶應の守備職人」として快太の守備を楽しみにしているファンも多くいる。そんな彼の冷静さが表れた代表的なプレーとして挙げられるのが、春季リーグ戦対立大4回戦ではないだろうか。1点リードの最終回、一死一三塁の大ピンチであったが、彼の好判断によりライナー性の打球を併殺に仕留め、勝ち点を掴み取った。どんな苦しい場面でも揺るぐことなく自分のプレーを淡々とこなす彼は、苦境が続くチームに良い風を必ずやもたらしてくれるだろう。(宮田健太郎)
明治大学
明治の守備の要は小島大河(3年=東海大相模)だ。持ち前の強肩とインサイドワークに長けた彼は、2年次からほぼ全試合でスタメンマスクを被り、今年侍ジャパン大学代表に選出されると、大会MVPを受賞するなど輝かしい成績を残した。そんな超実力派の彼には「泰然自若」という言葉がよく似合う。ピンチの場面に直面しても浮き足立つことはなく、常に冷静さを崩さない。普段の練習ではピッチングをほとんど褒めないが、試合中には「ナイスボール」という仕草をしてピッチャーを盛り立てる。そんな彼がチームの結び目となって、扇の要としての役割を全うしてくれるだろう。ここぞの場面での強気なリードで、チームを優勝へと導く。(岸上さくら)
法政大学
法政大学の守備の要は内海壮太(4年=御殿場西)である。恵まれた肉体から見る者を魅了する強烈な打球を放つ六大学屈指のスラッガーだ。今季は全ての試合で4番を務めており力強い打撃が持ち味の彼であるが、今季は守備においてもチームの窮地を何度も救ってきた。立大4回戦では延長13回のピンチにおいて、難しい打球をフェンスに衝突しながら好捕しサヨナラ勝利に繋げた。続く早大戦では息詰まる接戦の中、正確無比な送球で2つの本塁捕殺を記録した。未だにリーグ戦においてノーエラーである彼だが、春の慶大2回戦ではエラーの記録がつかないものの、打球判断のミスで逆転を許してしまった。春の悔しさを胸に打球判断、一歩目に磨きをかけ今季は守備の要と呼ぶに相応しい活躍を見せている。また、献身的な姿勢と仲間を鼓舞する声で牽引する姿はチームに活力を与えており4年生としての自覚も十分だ。残り3カード、優勝へ突き進むためには彼の守備と圧倒的な打撃が必要である。ここまで険しい道を歩んできたチーム吉安の4番が牙をむく。(黒坂夏希)
応援席から
法政大学応援団
平素より法政大学を応援してくださり、誠にありがとうございます。また、我々法政大学応援団の活動にご理解・ご協力いただき、御礼申し上げます。 昨年の春に多くの関係者の方々のご尽力により、コロナ以前の応援席の形態を取り戻しました。法政大学の勝利のために全力でプレーする選手の方々を、応援席の皆様と一緒に応援できることに嬉しさを感じております。一方で外野席応援から応援形態が変化した際には、応援席を巻き込んだ応援方法に難しさを感じておりました。 今季は内野席応援が復活して4季目のシーズンとなりましたが、団員一同が日頃の練習や合宿を通して応援席の作り方を試行錯誤した集大成となるべくシーズンではないかと思っております。 コロナ以前の形態に完全に戻ったかと言えば、決してそうではないかもしれません。しかし、法政大学の勝利を最後の瞬間まで信じ続けることはどんな時代になっても変わらないと思っております。 今季も残り3カードとなりましたが、どんな戦況であっても団員一同最後まで勝利を信じて応援してまいります。 末筆にはなりますが、今後ともご声援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
(法政大学応援団団長 谷田部和真)
神宮六景
2つの感謝
我が母校を卒業して32年が経ちます(実は今春「娘」も母校を卒業しました)が、私はいま「我が同期」と「支え人(ささえびと)」に対する感謝の念を、今さらのように深く抱いています。
36年前、北九州から上京した私は「コトバの違い」を含めた東京仕様の生活に悪戦苦闘の毎日でした。しかも、上級生との相部屋による野球部寮での集団生活。全国から集まった同期の面々は、現役・一浪・二浪と年齢の幅もあり「野球を愛する者」という共通項を除けば、その来歴や芸風は全くもってバラバラでした。どことなくピリピリとした空気の中で寮生活を送るなか、とある夜のボール磨き(業務用の消しゴムでボールの汚れを落とす1年生専業の夜のお仕事)の際に、同期二人が取っ組み合いのケンカを始めたこともありました(止めに入った私は軽い脳震とうでダウン)。また、ある同期は散髪屋でタバコを吸っているところを上級生に見つかり、上品なカットのつもりがゴリゴリの丸坊主で帰寮するという惨劇にも見舞われました。女子マネージャーを含め、同期会で集まった際は、今もってこうしたバカ(昔)話しに花が咲きます。このように腹を抱えて共に笑い合える時間は、私にとって大事な・大事な宝物であり、恐らくそれは永遠に不易だと思います。改めて「我が同期」に心から感謝・感謝です。
加えて、もう1つ。
私はいま、会社で総務セクションに就いています。総務業は、現場や営業セクションと違って「裏方」のお仕事が多く、必ずしも「陽の当たる部署」とは言えないセクションです。ですが、そのお仕事を誰かが担わなければ会社、あるいはグループ全体が回らないのも事実です。ですので、チーム(配下)のみんなには「裏方なれど誇り高き仕事人であり続けよう!」そう私は繰り返し伝えています。いま振り返ると現役時代、これは裏方さんに限りませんが「居てくれて当たり前」だと思っていた方々、例えば、監督さんや助監督、マネージャーに加えてOBの諸先輩方や六大学野球連盟の方々、あるいは母校に限らず六大学野球を愛するファンの皆様、そして両親をはじめとする親族。そうした多くの方々に、私たちはどれほど支え続けてもらっていたか、今さらのように深く想いを馳せる次第です。改めて「ささえびと」に心から感謝・感謝です。
現役選手の皆さん、お説教じみたことを申し上げるつもりは1ミリもありませんが、心のどこかで「同期」そして「ささえびと」に感謝しながら毎日を過ごしてもらえると、OBの一人としてこんなに嬉しいことはありません。
(そして来年、100周年を迎える東京六大学野球連盟にも感謝・感謝・感謝!)
(立教大学野球部92年卒 太田敦 東筑高校卒)