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『僕の野球人生』第22回 伊藤翔吾外野手

『僕の野球人生』第22回

伊藤 翔吾 外野手 (4年/開成)

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R3.10.24vsH② (1894)

R4.4.2vs杏林大学(A) (712)

野球をプレーするうえでの醍醐味とはなんでしょう。速い球を投げること。打球を遠くまで飛ばすこと。華麗にゴロを捌くこと。多くの人はこう答えるのではないでしょうか。それはその通りです。でも実は、「走塁」もすごいスリリングでエキサイティングなんです。だって、徹底的に警戒されて、再三牽制されて、それをかいくぐって2塁にスライディングして生き延びるって凄いことじゃないですか?

僕はそう思います。

 

野球を始めたのは、小学校1年生のときです。地元の少年野球チームに入り、野球に熱中しました。小3くらいから守備の要のキャッチャーを任され、バッティングでもホームランを量産していました。

中学にあがるときには、華麗な動きをするショートに憧れて内野手として野球部に入部しました。監督は、大学時代にピッチャーとして大学日本代表候補になるほど実力のある方でした。ピッチャーにも挑戦して、監督と二人三脚でフォームを作り、大きく成長することができた時代です。

高校の野球部はとにかく練習試合が多いチームで、ピッチャーとショートを兼任して沢山の実戦経験を積ませてもらいました。

 

ここまで振り返ると分かるように、打って投げて守ってと、僕は野球の1番美味しいところを味わってきたわけです。もちろん楽しいことばかりではなく、試合に負けたときは死ぬほど悔しい思いもしました。不甲斐なさから、エースピッチャーとして挑んだ最後の夏の大会のビデオは未だに見ることができません。それでも、自分が投打にわたって活躍してチームが勝つということに一番のやりがいを感じていました。

 

そんな僕は今、走るという役目に責任とやりがいを感じながら取り組んでいます。僕の足の速さと思い切りの良さを見出して、井手監督が代走として起用してくださったことで経験できた新たな野球の醍醐味です。大学4年間、特に3,4年生では痺れるような場面を沢山経験させてもらいました。

もちろん、代走要員になりたくて入部したわけではありません。入部する時には、守備とバッティングを磨いて他大学に劣らない華麗なショートになってやろう、そして自分の力でチームを勝たせよう。そう思っていました。リーグ戦出場は程遠いながらも、日々ノックを受けて、バットを振って、たまに行われるオープン戦で上手くいったりいかなかったりして。そんなことを繰り返しながら少しずつ上手くなっていってる実感があり、1,2年生の間、内野手の仲間と切磋琢磨した時間はとても充実していました。

そうやって過ごしてきたので、3年生になって突然代走として試合メンバーに呼ばれたときは少し驚きました。

「代走か。でも代走要員としてベンチに入れれば打席や守備の機会もあるだろうから、このチャンスを何とかものにしよう。」

そう考えて自分なりに走塁について研究しました。

それ以降、野球の試合を見るときは常にランナー視点です。「左ピッチャーで盗塁のスタートを切りづらいけど、クイックのタイムが遅いからスタートの判断を遅らせても十分間に合うな」、「キャッチャーが強肩で送球の精度もいい。ただ、ピッチャーの牽制球の割合が少ないから、この場合は一か八かでモーションを盗み気味に盗塁のスタートを切った方が決まる確率が高いな」、「外野からのバックホームの間に、条件がそろえば高確率でバッターランナーは2塁に行けるな」、「挟殺プレーで後ろ(或いは前)のランナーを進めるためには、ダイヤモンドの外側に逃げながらアウトになった方がいいな。」これまで全く気づかなかった新たな発見ばかりです。そして、それらを試合で実践して成功していくうちに、走塁は楽しいものになり、自信もつきました。

最上級生としてチームの「走塁長」になってからは、これらの考えをなるべくチームに浸透させるように努めました。走塁練習のメニュー決めや取り仕切りの際には自分よがりになってしまうこともあったと思いますが、信頼して任せてくださった首脳陣、楽しくない練習メニューにも何一つ文句を言わず前向きに取り組んでくれた同期・後輩には頭が上がりません。

また、代走で出たあとの守備機会のために外野やファーストにも挑戦しましたが、どのポジションでも、先輩・同期・後輩皆が暖かく迎えてくれました。本当にありがとうございます。東大野球部のいいところです。

 

さて、ここまで述べてきたように奥の深い走塁ですが、チームの勝利への貢献度でいえば大きくはありません。ピッチャーが抑える方が、野手が守る方が、バッターが打つ方が勝つためには重要です。なので、選手はまずはそっちの能力を磨くべきです。僕自身も、出場機会は代走が中心となっていますが、残りの試合ではもっと勝利に貢献すべく、守備・打席でも活躍する気概でいます。

ただ、実力で劣る東大が勝つためには、ロースコアの試合に持ち込み、数少ない出塁したランナーを走塁の力で進めてチャンスを広げて1点ずつ取ることが必要です。それが、井手監督を中心に、僕たちが作ってきたチームのスタイルです。そしてそれは、誰か1人ができればいいものではありません。塁に出るみんなでやらなければいけません。

 

残り1カード。チームの目標は最下位脱出です。

選手は自分の活躍を追い求めていいと思います。それが何らかの形でチームの勝利に繋がるから。

サポートしてくれている人は出る選手に期待して下さい。それを一身に背負うだけの覚悟が、出る選手にはあるから。

 

法政戦、絶対に勝とう。

 

最後に、野球を通してこんなにも多くの経験をできたのは関わって下さった全ての方々のおかげです。この場を借りて、心からお礼を申し上げます。

 

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次回は10/11(火)、井上遼太郎外野手を予定しております。

お楽しみに!