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『僕の野球人生』vol.27 府川 涼太郎 副将

4年生特集、『僕の野球人生』では、ラストシーズンを迎えた4年生に1人ずつ、今までの野球人生を振り返ってもらいます。

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「僕の野球人生」vol.27 府川 涼太郎 副将(4年/捕手/西大和学園)

 

僕の野球人生府川 2-2 3-2

 どうも、「おしゃべり関西人」「訓示ニキ」「怪我ニキ」「大統領」「おいどん」などの無数の異名を持つ男、府川涼太郎です。それぞれの愛称についての説明は、基本的に私にとってメリットがないので省略させていただきます。今年は副将という立場になったため、少しは後輩たちも私に敬意を払ってくれるかと思いましたが、後輩たちの無礼はエスカレートしていく一方でした。私のせいでしょうか。まあ、みんな可愛い後輩なので許します。

 真面目に書くのは性に合わないし、嘘っぽくなるので、寮日誌のテンション感で書こうと思います。部員のみんなは寮食でも食いながら読んでください。

 誠に勝手ながら、府川的東大野球部での思い出ランキングを発表させていただきます。

まず、苦しかった思い出です。

三位『熱中症やリーグ戦のストレスからきた不安障害』

3年生の夏、遠征先で脱水状態になり、「寮に帰れないかも」というエグい不安に襲われ、トラウマ化しました。そんな中打撃の調子は良く、リーグ戦の代打で出場機会をたくさんもらいました。しかし、神宮では思うような結果が残せず、不安と緊張ばかり蓄積されることになりました。そんなことが重なり、夜寝る前でも、心臓がドキドキしたり、緊張感が抜けない、といった症状に苦しみました。一生縁がないと思っていた精神科に行きました。それまでの人生では他人の弱みや苦しみに鈍感なタイプでしたが、少しはそういうことに気を遣えるようになった気がするので、これもいい経験だったと感じています。チームメイトに相談して、色々助けてもらいました、みんなありがとう。

二位『3年秋、先輩の引退に号泣』

立教戦に敗れた後、一つ上の先輩方が泣いているのを見て、人生で一番泣いたと思います。基本的に弟気質の私にとって、一つ上の先輩方は神世代でした。(数々の無礼を今ここで謝罪します) 今年自分が引退する時にどんな気持ちになるのか想像できませんが、執筆段階ではあれ以上泣くことはないだろうと思っています。シンプルに先輩たちに甘えていた3年生の頃が一番楽しかった気がしています。自分たちが引退する時に後輩が誰も泣いてなかったら、なんか、ちょっぴり、悲しいですね・・・。

一位『2022年』

1年生秋に一誠寮に入れたものの、そこからAチームの練習に参加することはありませんでした。左手人差し指骨折、右手中指骨折、肉離れ、コロナウイルス連続罹患、謎の腫瘍の発生など、とんでもない不幸が私に押し寄せました。浄めの塩をいただいたり、一人で明治神宮に厄除けに行ったのが思い出です。寮生がほとんど北海道合宿に行っている中、寮で生活するのは惨めだった記憶があります。後輩の中にも、似たような経験をしている後輩もいると思うけど、俺もその気持ちわかるぞ! がんばれ!

基本的に東大野球部での思い出はきついことが多かったので、他にもいろいろありますが、これくらいにしておきます。

 次は自分の野球の思い出です。

三位 『3年秋リーグ戦初ヒット』

初ヒットが嬉しかった、というのもありますが、他にも理由があります。どの世代もそうですが、リーグ戦に出られない4年生がたくさんいます。責任感だけはある(と思っている)私は、代打という4年生が出場しやすい枠で自分が凡退し続けていることに、耐えられなかったです。東大球場に帰ってきた後、4年生に褒めてもらえてだいぶ気が楽になったのを覚えています。

二位 『リーグ戦初ホームラン』

これはシンプルなやつです。四年間で神宮に一本くらい入れたいという野望がありましたが、下級生の頃、廣瀬選手(元慶應義塾大学)や蛭間選手(元早稲田大学)などの強打者の放つ一発に度肝を抜かれ、控えめなスイングでのセンター前、レフト前、ライト前を磨き続けました。しかし、春の慶應戦で、私の控え目スイングが火を吹き、ギリギリレフトフェンスを超えました。ドッと沸いた時の神宮球場の歓声は、忘れられないです。神宮のダイヤモンドを一周するときには脳汁が溢れて気絶しそうでしたが、記事になるかもしれないと思ってドヤ顔をギリギリで保ちました。

一位 『2年秋フレッシュでのマルチ安打』

2022年は、上述の通り、ほぼ野球ができていませんでした。復帰したては打撃も絶不調で、今では考えられませんが「守備キャラ」として試合に出ていました。秋フレッシュは、もしかしたら最後の神宮になるかもしれないし、満振りしようと決めました(この時はサードゴロ製造機でした)。迎えた法政戦で、厄除けが効いたのか、偶然ボールがクリティカルヒットし、今まで打ったことがない速度のライナーがセンターフェンスに当たりました。次の打席では、見たこともない速さのボールが来て絶望し、やったことはないけど一旦バットを短く持って、カットしようと思いました。すると、サードゴロ製造機の私が、痛烈なライト前を打つという奇跡が起きました(後輩のみんなは、このような再現性のない打席はないように)。偶然が産んだ奇跡でしたが、このマルチヒットによって打撃を一から見直すきっかけになり、選手としての活路を見出しました。

次は東大野球部の好きなところです。

三位 『明るい陰キャの集まり』

 この部活は東大という陰要素と、野球部という陽要素を組み合わせた最高の場所であると主張します。そこそこ遊ぶことは好きだけど、羽目は基本的に外さない人々と有意義な時間を過ごしました。みんな最高です。たまに外れ値が存在しますが、そのような外れ値もみんな認め合って、いじりまくります。そんなところも大好きです。

二位 『個人の強さ、真摯さ』

 みんな、難関試験を突破した元ガリ勉なのに、野球にこれだけ注力できているのはすごいことだと思います。主力として出るメンバーはもちろん、あまり出場機会に恵まれない選手も、これほど自分の野球に向き合ってやっているんだな、と1年生の時思いました。その思いは4年になった今も変わらず、チームメートのことを本気で尊敬しています。

一位 『勝った時の喜び』

やっぱり、神宮で勝ったときの喜びが一番好きです。1年生のとき、先輩方が64連敗を止めたときの興奮を今でも鮮明に覚えています。それから毎年勝ち星を経験しましたが、先日の慶應戦での勝利は格別でした。淡青の日ということもあり、スタンド・応援席が青に染まっていました。整列時にあぁ、と声が出ました。サヨナラで決めた法政2回戦も最高でしたね。

 

 

 

 最後は、個人的な思いを書き残しておきたいと思います。

四年間、めちゃくちゃしんどかったです。生粋の弱小チーム育ちの自分にとって、野球はずっと楽しいだけのものでした。今や総勢130名の東大野球部、強豪揃いの東京六大学でやる野球は、自分にとっては大きすぎて、苦しいことばかりでした。でも、自分は恵まれていると思います。大した実力もないのに、ポジションの関係等で、周囲に比べ、たくさん試合に出してもらいました。

今までの『僕の野球人生』でもたくさん書かれているように、ほとんどの同期は出場機会に恵まれず、選手活動すら続けられなかった部員も多いです。多くの部員が立ちたくても立てない東京六大学野球の舞台に立って、私はたくさん失敗しました。結果でしか、出られないみんなを喜ばせられないことがわかっていたので、もっと結果を出さなければなりませんでした。

いつも神宮で負けて、挨拶を済ませた後、スコアボードを見て、申し訳なさや悔しさで、絶望的な気持ちになります。優勝という目標を立てたはいいものの、すぐ早稲田明治に連敗して可能性は潰えました。勝ち点をかけた慶應3回戦では三振して、法政3回戦では頭部死球で、勝ち点の行方を最後まで見届けることすらできず、試合終了の様子を耳で聞いて、ただ涙を流すだけでした。そして毎年のように、勝ち点を一つも取れないまま、最終カードへ向かうことになってしまいました。今季の立教は手強く、簡単に勝てる相手ではありませんが、何としても勝ち点を取ります。それが、出られない部員に対する誠意であり、4年生としての最後の意地です。

 

 

苦しいことの方が多かったですが、東大野球部で四年間過ごせて心底良かった、とはっきり言えます。普通の大学生は比較的時間に余裕があって、いろいろな経験ができて、それもいいなと思います。それでも、東大野球部で過ごした四年間は、桜木花道の湘北時代くらい、私の栄光時代です。誰にでも自慢してやりたい四年間になりました。

また、色々な人々へのメッセージも残しておきたいと思います。

家族は、一番熱心に応援してくれたと思います。特に両親はほぼ毎週神宮に来てくれました。一番感謝しているのは東大野球部に入って活躍する夢を、色々な面でサポートしてくれたことです。ありがとう。でも、息子の成功を自分のおかげと言い張り、息子の失敗の責任を押し付け合うのはやめましょう(笑)

マイフレンズは、神宮に応援に来てくれたり、DMしてくれたり、めちゃくちゃ嬉しかった! ありがとう!

応援部にはいつも情けない姿ばかり見せてしまって申し訳ないです。打席で聞く不死鳥は、一生忘れないです。ありがとうございました。

ファンの方々にも、たくさんの差し入れやご支援をいただきました。これからもどうぞ弊部をよろしくお願いいたします。

学生コーチ、アナリスト、マネージャー

分析やチーム運営、普段の練習などかなりの負担があったと思います。本当にありがとう。もっと結果で恩返ししたかったです。

先輩方にもとても良くしていただきました。おそらく生意気で失礼な後輩だったと思いますが、最高に楽しかったので許してください! ご飯のお誘いはいつでもお待ちしております!

後輩のみんなにはとても期待しています。ありきたりと思うかもしれないけど、本当に強くなると思います。結果にこだわってやってください。個人もチームも結果にこだわってやってくれれば、今まで東大野球部が到達したことのないところまで行けるチームになると信じています。めっちゃ神宮行きます!

同期は、いい意味でも悪い意味でも緩い雰囲気です。個人的にはそれがすごく居心地が良いです。引退したらみんなでゆる〜く遊びに行こう!

 

 異質な僕の野球人生になりましたが、最後までご拝読いただきありがとうございました。

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次回は10月22日(火)、西前颯真副将を予定しております。