【Weekly MGR】vol.115
ブログをご覧の皆さんこんにちは。
早稲田大学野球部主務の中原由信(政経・早稲田実)です。
昨日、今日と特別気温が高いですが、最近は30℃を下回る日も増えてきています。30℃を下回り始めただけで、私の頭と体は確実に秋を感じており、順応することの怖さを思い知っています。あと何年かすれば猛暑日でも秋を感じ始め、衣服をノースリーブから半そでに変えることを衣替えと呼ぶ時代が来るのではないかと考えています。
いよいよ、秋季リーグ戦開幕まであと2日となりました。練習にも日々熱が入り、春季王者として5校を迎え撃つ最終準備をしております。
さて、少し前の話にはなりますが8/31、9/1、私は北海道に行ってまいりました。毎年行われる東京六大学オールスター。昨年は群馬県桐生市・小倉クラッチスタジアムでの開催でしたが、今年は北海道北広島市・エスコンフィールドHOKKAIDOでの開催となりました。8/30~9/1の3日間で行われた「北海道ベースボールウィーク」の一環として、東京六大学としては2試合を行い、主務の私も2日間選抜メンバーに帯同しましたので、その様子をお届けいたします。
写真上段左から
中原、吉納翼(4年・外・スポ・東邦)、鹿田泰生(4年・投・商・早稲田実)、伊藤樹(3年・投・スポ・仙台育英)、印出太一(4年・捕・スポ・中京大中京)、藤田南(4年・マネ・人間・開智)
下段左から
山縣秀(4年・内・商・早大学院)、尾瀬雄大(3年・外・スポ・帝京)、小澤周平(3年・内・スポ・健大高崎)
【1日目】
9:00に羽田空港を出発し、1時間ほどかけて新千歳空港に到着。東京よりもはるかに過ごしやすい気候の中、早速バスでエスコンフィールドへと移動しました。
この日は北海道日本ハムファイターズ2軍と六大学オールスターの対抗戦。15時開始の試合に向けて選手たちは準備を始めます。それぞれのユニフォームに着替え、六大学そろっての打撃練習。練習を通してバッティングピッチャーを務めたのは、われらが小宮山監督でした。開始前は「全部は投げられないよ」とおっしゃっていたものの、現役選手を圧倒するコントロールとスタミナで1時間を完投。六大選抜メンバーを鍛え上げました。
試合のファーストピッチを務められたのは、早稲田大学野球部OBの斎藤佑樹さん。選手たちは大先輩の投球を食い入るように見つめていました。
次に、久慈次郎氏のご家族に早稲田大学野球部から花束を贈呈し、始球式を務められ、セレモニーは終了いたしました。久慈次郎氏は早稲田大学野球部OBで、大学時代から名捕手と称されたレジェンドです。函館大洋倶楽部に入団後は日米野球における主将も務められるなど輝かしい成績を残しましたが、試合中の球禍により42歳という早さで生涯を終えました。今年の北海道ベースボールウィークは、久慈氏の野球殿堂入り65周年を記念しての大会でした。久慈氏に今の早稲田大学野球部の立派な姿をご覧いただけるよう、早稲田の選手たちには特に気合が入っていました。
〈東京六大学選抜vs北海道日本ハムファイターズ2軍・初回、2回〉
先攻・六大学選抜の攻撃、スターティングメンバーは主にベストナイン受賞者で固められました。現在の東京六大学最高火力の打線で、プロ相手に得点を狙います。そんな中1番の打席には、早稲田の切り込み隊長尾瀬が入りました。
安打製造機は北の大地でも通常運転。六大学の部員・ファンが見慣れた先頭安打で出塁すると、もはや見飽きたポーズでベンチとスタンドを沸かせます。盗塁も決めた尾瀬が得点圏に進みますが、後続の山縣、印出、清原正吾内野手(慶大・4年)が倒れ無得点に終わります。
守る六大学選抜の先発は篠木健太郎投手(法大・4年)。2回を無安打2奪三振で締める堂々のピッチング。秋の早稲田にとって乗り越えなければならない大きな壁となることを確信しました。
〈3~6回〉
3回の裏、先頭に出塁を許すピンチを救ったのは、早稲田が誇る守備職人のビッグプレーでした。ショートとして先発していた山縣が三遊間深くのゴロに追いつくと、体をひねりながらのジャンピングスロー。併殺打に仕上げて球場を大きく沸かせました。その後は吉鶴翔瑛投手(法大・4年)が難なく抑え、3回裏を無失点に抑えます。
ピンチの後にチャンスあり。守備で勢いに乗った山縣が左安で出塁すると、続く印出も右安で無死一、二塁に。5番の松下歩叶(法大・3年)が鋭い中適時打で山縣をホームに帰し、大学日本代表メンバーの躍動により六大学が先制に成功します。先制点の裏を任されたのは鹿田。抜群の安定感で無失点に抑え、後続の投手陣につなぎます。
追加点が欲しい六大ベンチに応えたのは、4番の清原選手でした。6回表一死一塁の場面、内角の直球をそのまま引っ張ると、打球はレフトスタンドへ。これまで公式戦での本塁打はありませんでしたが、待望の一発が生まれました。秋も要警戒の打者です。ファイターズの攻撃は平田康二郎投手(東大・4年)、沖政宗投手(立大・4年)、外丸東眞投手(慶大・3年)と、各校の主戦投手がパーフェクトリレー。相手打線に付け入るスキを与えません。
〈7回~9回〉
試合終盤、流れに乗った六大選抜は4番清原、5番柴田恭介内野手(立大・4年)、6番田中祥都内野手(立大・4年)の3連打で2点を追加します。この秋は乱打戦の予感…
回をまたいだ外丸投手がソロ本塁打を浴び1点を返されますが、継いだ浅利多門投手(明大・4年)が持ち前の剛速球で2イニングにわたって相手の代打攻勢をぴしゃりと抑え、六大学選抜は5-1の快勝を収めました。
普段はライバルとして戦うメンバーですが、一致団結して共闘する姿、盛り上がる姿は新鮮で、印象的でした。
【2日目】
2日目はいよいよ、六大学同士での対抗戦、六大学オールスターです。朝からTeam Clark(早大、法大、立大)とTeam Penhallow(明大、慶大、東大)に分かれ、エスコンフィールドへと移動しました。
試合準備の前に、施設見学を行いました。プロ野球団の球場の中でもトップレベルに整った諸施設を回り、選手たちは大喜びでした。
試合前には、北海道日本ハムファイターズ主催で野球教室が行われました。六大学はどの大学も普段から盛んに野球の普及活動を行っている為、選手たちは慣れた様子で指導・交流を行っていました。
〈Team Penhallow vs Team Clark・初回〉
初回のマウンドを任されたのは早稲田のエース伊藤樹。緊張か、ジンギスカンの食べ過ぎか、Penhallow野手陣の好調か、初回から4安打3失点と攻め込まれてしまいます。すぐにでも追いつきたいという皆の思いを受けて躍動したのは、早稲田大学野球部そしてTeam Clarkの主将、印出太一でした。ダイヤモンドにはもはや必然のように出塁した1番尾瀬、3番吉納。印出が振りぬいた打球はレフトスタンドに吸い込まれ、3ランホームラン。試合を振り出しに戻します。春季優勝校によるマッチポンプのような展開に、両軍ベンチでは笑いが起こりました。
〈2回~6回〉
乱打戦になるかと思われた試合は水を打ったような投手戦に。2回に調子を戻した伊藤樹、2連投となった鹿田、安達壮汰投手(法大・4年)が相手打線をぴしゃりと押さえますが、野手陣もTeam Penhallowの変則ピッチャー陣、山田翔太投手(4年・明大・札幌一高出身)、小暮瞬哉投手(慶大・3年)、渡辺向輝投手(東大・3年)を前に追加点を奪えません。
〈7回~9回〉
試合が動いたのは7回でした。6回からPenhallowのマウンドに上がっている渡辺和大投手(慶大・2年)に対し先頭の菅谷真之介内野手(立大・4年)、続く尾瀬が連打でチャンスを作ると、相手のミスに付け込んで二人がそのまま生還。終盤に決定的な2得点を挙げることに成功し、Clarkの勝利を強く手繰り寄せます。
終盤は立大投手陣が危なげなく抑え、5-3でTeam Clarkの勝利。両軍8得点のうち早稲田は7得点に絡む大車輪の活躍となりました。(絡み方の内訳は敢えて振り返りません。)
試合後の記念撮影が終わると、皆それぞれシャワーを浴びあっという間に帰京(試合が見られるで有名な球場内施設「tower eleven onsen & sauna」を利用させていただきました…短い時間ではあったものの贅沢すぎる経験でした…)。新千歳空港から羽田空港へと戻りました。台風の影響で多少の航空便遅れはありましたが、無事、全員がそれぞれの帰路につきました。
以上になります。今回、北海道ベースボールウィーク開催にあたってご尽力いただいた皆様、深く御礼申し上げます。選手にとってこれ以上ない貴重な経験であったと感じますし、私にとっても一生忘れない思い出となりました。
また、六大学選手同士の交流が見られたのも嬉しく、秋季リーグ、連盟全体としての盛り上がりが期待できました。早稲田のブログである以上早稲田の選手たちを中心に取り上げるため、名前の出なかった他大学の選手もいます。しかしながら試合に出場したどの選手も春からの成長が見て取れ、この秋勝ち抜くことの難しさを予感しました。
私たち4年生にとってはラストシーズンとなるこの秋季リーグ戦。天皇杯を手にできるのは1校のみですが、大会全体として成功することを祈ってこのブログを締めたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。