私が慶應義塾を卒業してからもう42年が経とうとしている。いや経ったのか。
しかし、私の中ではあの4年間は長いようで、短いような不思議な時間であった。そこからの40年間というものはまるで学生時代の1週間のようだ。60歳を越えたが周りとは未だに学生時代の話をするくらい私にとってはつい最近の話である。
大学1年生の時、愛媛の八幡浜から花の都大東京に上京した私は「絶対に日本一を取ったるでぇ」という気持ちでいっぱいだった。しかし、現実はそう甘くはなかった。まず私に直面した災難がかの有名な「赤門旋風」である。この時の東京大学は本当に止めようがなかった。勝ち点は落とすものの開幕戦の法政大学に勝利を挙げ、早稲田大学から勝ち点をとりその勢いのまま慶應も勝ち点を取られてしまった。この時改めて東京六大学野球で勝ち抜くことの難しさを痛感した。そしてこの悔しさをバネに3年秋には開幕5連勝と上々のスタートを切った。しかし、雨で順延となった法政戦。こういった時の私の悪い予感はよく当たる。開幕5連勝をするも、法政に連敗、続く明治にも勝ち点を落とし優勝を逃す結果となってしまった。このように私は大学4年間で日本一どころかリーグ戦優勝でさえも果たすことができなかった。しかし、私の夢はまだ終わっていない。63歳となった今堀井監督のもと野手コーチとして日本一に向けて活動している。今の学生たちを見ていると現役の頃を思い出してしまう。そしてついつい熱が入ってしまう。私の経験は決して無駄ではないことを証明したい。そのためにはこのチームを日本一にすることしか方法はない。どれだけ体がボロボロになろうとも、このチームのためならなんだってする。そのくらいこのチームには優勝を経験してほしいと思う。これが私の今の目標だ。
東京六大学は唯一無二であり、そのことを理解したうえで誇りをもってユニフォームの袖を通してほしい。100年以上の歴史を持つ慶應だからこそ堂々と凛々しく試合には挑んでいただきたい。自分を信じて、みんなを信じて優勝に向けて突き進んでほしい。
「我が慶應義塾は永久に不滅だ。」
