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JINGU ROKKEI

神宮六景

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TOKYOROCKS2022 秋季号外 第9週 2022年11月3日掲載

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平成2年の春季リーグ戦の早慶戦は勝ち点を取った方が優勝という12年ぶりの早慶V決戦になりました。早稲田にとっては15シーズンぶり30回目の優勝を目指す早慶戦です。
1960年の伝説の早慶六連戦から30年を経て、早稲田は石井連蔵監督、慶應は前田祐吉監督が再び優勝をかけて戦うということもあり、テレビやスポーツ新聞でも大きく取り上げられて、神宮球場は3日間とも超満員になりました。

第1戦のプレイボールの審判の声とともにスタンドから「オオオーーーーー」という大歓声が沸き起こりました。先発マウンドに立っていた私の頭上から球場全体に包み込まれた大歓声が降ってくる感覚になりました。こんな感じは初めてだと思いながら、投じた1球目をライトスタンドに運ばれました。球場の雰囲気が一変しました。早稲田の1塁側は静まり返り、慶應の3塁側からはさらに大きい歓声が起こりました。慶應の声の風圧はマウンドに立っている私がぐらつくくらいすごかったです。

その後は落ち着きを取り戻し、4対3で完投勝利しました。2戦目は慶應が勝ち、3戦目の優勝決戦を迎え、私は再び先発としてマウンドに上がりました。
石井連蔵監督からは「早稲田のエースたるもの先発完投。途中で代えたりしない。マウンドで困った時は魂を投げよ。」と言われてきました。これまで先発した試合はすべて完投してきたのですが、この試合は7回表、3対3、ワンアウト満塁というピンチを背負い、力尽きました。代わった1年生の大越投手が見事に1球で5-2-3のダブルプレーに打ち取りピンチを脱してくれました。その勢いで早稲田は3点取り、6対3で勝って優勝しました。
超満員の神宮球場で早慶戦ができたこと、そして優勝できたことはとても良い思い出です。

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TOKYOROCKS2022 秋季号外 第8週 2022年10月27日掲載

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「3年振りの少年少女野球教室とオールスター戦の開催」

この夏、2019年以来3年振りに少年野球教室とオールスター戦を開催することが出来ました。
少年野球教室は8月24日、東京都軟式野球連盟に所属する17チーム、約250名の小学生を対象に神宮球場で開催しました。当日は六大学各校の主将をはじめ主力選手が講師となって、ウオーミングアップから、各ポジション別の練習など3時間に渡って行われ、野球教室終了後には記念撮影をして終了しました。3年振りの開催ということで参加人数も多く楽しい一日でした。
オールスター戦は8月27日に松山坊ちゃんスタジアムで開催しました。松山では当初2020年に開催予定でしたがコロナ禍により2021年に延期、しかし2021年も同様に開催出来ず、今年の開催となりました。試合は春季リーグ戦の順位より明大、法大、早大の石鎚マウンテンズと慶大、立大、東大の瀬戸内オーシャンズとの対戦となり、投打に圧倒した石鎚マウンテンズが7‐0で快勝しました。地元校友会を中心に観客も約5,000人が来場され大いに盛り上がりました。
来年も神宮球場で少年少女野球教室を開催し、オールスター戦は桐生市で開催を予定しております。

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TOKYOROCKS2022 秋季号外 第6週 2022年10月12日掲載

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2020年に入り、この年は東京オリンピック開催の年となるはずでした。この年度は明治大学が当番校となり、さまざまなところで例年とは異なる対応が迫られる年となることを覚悟しておりました。しかし、突然のように襲ってきたコロナ感染の大禍。オリンピックの開催も1年遅れとなり、リーグ戦もさまざまなかたちでこれまでにない対応を迫られることとなりました。私も理事長として、マスコミ対応等の仕事で汗を流したことを記憶しております。以来3年近くが経過し、その間、連盟事務局の皆さんの対応ぶりには頭が下がる思いでした。
2021年3月末をもって大学を退職、私は部長の職も退任しましたので、現在は観客席から応援させていただいております。

私の研究の専門はマネジメント、特にマーケティングです。ここ10年の研究テーマは企業と顧客の「共創」のあり方についてです。企業にとり顧客は単なる購買者あるいは提供されるものをただ受け入れる存在ではなく、企業にとってはかけがえのないパートナーであるという視点の重要性について理論的・実証的な研究を進めてきました。
この間、神宮球場は、私の研究にとって貴重な機会を提供してくれました。スポーツ・マーケティングの世界も今大きな変革の時代を迎えています。スポーツの世界でも、アスリートの技量、指導者の手腕、施設面での充実、諸運動機器の高度化、イベント主催者・スポーツ諸団体の支援、メディアの支援等が揃っていることは必要不可欠な要件です。しかし、その中で特に重要なものの一つが観客の存在です。スポーツの世界でも、優れた価値を生み出すには応援する観客の存在が欠かせないと言うことです。

このコロナ禍の中、本リーグ戦も無観客、無応援団ですすめられてきた時期を経験しました。球場に響くのはバットからの快音とミットに吸い込まれる球の音、そして選手同士で掛け合う声のみでした。それ以外は静寂の中。そこで体感したのは、いかに観客、声援してくれる皆さまの存在が大きいかということでした。これはすべての競技、すべてのアスリートが感じたことだと思います。
つまり、スポーツ競技にとり、観客は単なるお客さんではないということです。支援していただける観客はスポーツ競技の価値を「共創」してくれる重要なメンバーです。それを心底、実感させてくれたのがここ数年です。この意味で、私にとって、この経験がスポーツ・マーケティングの研究面でさまざまなヒントを提供してくれました。

最後になりますが、私の人生で貴重な12年の歳月を提供してくれました東京六大学野球連盟、明治大学野球部に感謝しますとともに、これから一層の発展を祈念しております。ありがとうございました。

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TOKYOROCKS2022 秋季号外 第5週 2022年10月6日掲載

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時が経つのは早いもので、私たち同期は来年、大学を卒業してから25年を迎えます。
それぞれの道で活躍している仲間と集まると、当時に戻ったかのように思い出が鮮明によみがえります。
同期の仲間と共に野球をしたのは1994年~1997年の4年間。優勝したのは唯一、私が大学4年時の1997年春季リーグ戦でした。

慶應は早稲田から勝ち点を取れば優勝という状況。
第1戦は5対2で勝利。優勝するなら連勝しかないと意気込んで迎えた第2戦は2回までに5点をリードされてしまう厳しい試合展開となりました。しかし、ベンチではひとりひとり自分の役割に集中し、まだまだこれからだと勝つことを疑う選手は誰ひとりといませんでした。その結果、7対6の逆転勝利で優勝を果たすことができました。

私が大学生だった当時、学ランを着用し電車で神宮球場入りするのが通常でした。
日吉駅から東横線の終点渋谷駅まで行き、銀座線に乗り換え2駅目の外苑前駅で下車。スタジアム通りの緩やかな坂道を上り、秩父宮ラグビー場を過ぎると右手に赤茶色の明治神宮野球場が見えてくる。徐々に緊張感が高まっていく。

リーグ戦最終カードの早慶戦、特に春の早慶戦は学生たちが応援席の席取りをするために徹夜で並ぶ光景も珍しくはなかった。
学生たちの列の横で試合前のウォーミングアップをする。頑張れ!と声を掛けられ、気持ちが昂る。
試合前バッティング練習を終え、ロッカーで着替えるなど試合の支度をして、再び薄暗く狭い階段を降りグラウンドに入ると目の前は多くの学生たちがスタンドを埋め尽くしている。
いつも通り、早稲田の学生の方が多く左中間まで支配している。そして、大歓声の中でプレーボール。

この文章を書いているのは、2022年秋季リーグ戦の2週目の最中です。
これまでに経験したこともないほど大型で非常に強力な台風が日本列島を襲っています。異常気象、コロナとひと昔前とは環境が大きく変わってしまいました。
コロナ対策のために現在選手たちはバスで神宮球場入り。声を出さずのスタンド応援。神宮球場にくる学生たちの数も減ってしまいました。
嬉しいことに、今シーズンからは応援指導部が内野席に戻ってきました。少しずつ、これまでの神宮球場の風景に戻りつつあること実感しています。

秋季リーグ戦は、4年生にとって最後のシーズン。
最高の学生生活だったと10年後、20年後に思えるよう、精一杯野球をして欲しいです。
微力ですが、私自身も選手たちにできる限りのサポートをしていきたいと考えています。

最後に、一日も早く、コロナ前と同じように満員の神宮球場でプレーできる日が戻ってくることを、多くの学生たちが神宮に戻ってきて、スタンドで肩を組みながら若き血を歌う中で試合ができる日が戻ってくることを願っています。

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TOKYOROCKS2022 秋季号外 第4週 2022年9月28日掲載

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「神宮がくれた出会いに感謝」

審判員として活動をさせていただき7年目を迎えます。私が審判員の道を志した理由は、マネージャーとして過ごした学生時代に諸先輩方と業務を通じて、沢山の接点を持ったことをきっかけに「審判員は生涯にわたり東京六大学野球に携われる立場」であることに気づかされ、大好きな野球に携わりたい、お世話になった母校・そして六大学へ恩返しができる環境だったからです。

初めて審判員として立った神宮球場は、マネージャーとしてスコアブックを片手にダグアウトから見つめていた景色とは全くの別世界でした。応援団の奏でる音色、選手を鼓舞するファンの声援、1球に賭ける選手の眼差し、これまでも感じていたはずだった、全ての光景が初めてに思えるほど心打たれ感動したことを覚えています。それほど私にとって卒業後も神宮の舞台で六大学に携わり、さらに審判員として活動することは特別な時間であるのだと思います。

ありがたいことに勤め先でも六大学に携わる仕事をさせていただいており、公私ともに充実した日々を送っております。仕事でも様々な方にお会いする機会がありますが、六大学出身者に出会うと自然と心が和む瞬間があります。これは4年間、リーグ戦を制して神宮で天皇杯を手にするという六大学しか成し得ない共通の目標に向かって6校が切磋琢磨してきた歩みが生んだ、素敵な絆だと思います。

審判員として活動する特別な時間。社会人として出会いに感じる六大学の絆。すべては六大学の一員として、神宮に集うことで得ることができた財産です。

私はこの先も感謝の気持ちと初心を忘れずに審判員としてグラウンドに立ち、東京六大学野球の発展と恩返しのため、そして何よりも現役選手・学生スタッフ・マネージャーたちが神宮の舞台で輝けるよう、一緒に努力していきたいと思っております。

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TOKYOROCKS2022 秋季号外 第3週 2022年9月21日掲載

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1985年、31年ぶりに立教高校が甲子園に出場しました。当時私は高校1年生で、予選に3試合出場させていただきました。ただ、甲子園で試合に出ることはできませんでした。
高校卒業後、迷うことなく入部した立教大学野球部では、1989年に23年ぶりに秋季リーグ戦優勝、1990年の秋季リーグ戦も優勝し連覇を達成しました。私が大学2年、3年の時でした。とにかくラッキーでしたし、仲間にも恵まれて、良い思い出を作ることができました。大学4年の時に東京大学に200勝を許したのも今では良い思い出です。

野球はリトルリーグから始めましたが、一番緊張した場面は、神宮球場で初めて打席に立った時です。急に膝がガクガクして震えが止まりませんでした。53歳になりましたが、後にも先にもあれほど緊張したことはありません。
卒業して社会人になり、銀行員時代、マーケティング会社時代、現在の会社経営者になるまでと、いろいろなジャンルの職業の方とお会いしてきましたが、東京六大学野球でプレーしていたことが話題となり、そこから人とのつながりに変わり、新しいビジネスに結びつくことが多々ありました。大変ありがたいことです。東京六大学野球の底知れぬパワーが今の礎を築いていると思います。

現在、野球部OB会副会長として、毎試合神宮球場に足を運んでいます。正直、現役の時の勝利より、OBとしてスタンドから母校の勝利を見届ける方が、何倍もうれしく感じます。
今シーズン、我が立教大学が優勝し、OB会副会長として学校と選手のために、優勝祝賀会や優勝パレードの手配など、お手伝いさせていただくことが何よりの幸せだと思っています。

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TOKYOROCKS2022 秋季号外 第2週 2022年9月14日掲載

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私が東京大学野球部に在籍したのは、1994年から1997年で、東京六大学野球のスターと言えば、慶應義塾大学の高橋選手や明治大学の川上選手でした。彼らのプレーには、やはり華やかさがあり、凄みがありました。
一方で、私が東京六大学野球という場に足を踏み入れてそうした選手のプレーと同様に感心したのは、マネージャーでした。
大学のマネージャーとは、こんなに多岐にわたる仕事をこなしているのかと驚かせられました。

それは、現役部員を終えて、OBとして助監督や監督を務めさせて頂いたときにはなお感じたことです。各大学の優秀で献身的なマネージャーあっての東京六大学野球であると。
さらには、そのマネージャーを束ねる東京六大学野球連盟の内藤事務局長はじめスタッフの方の尽力。
私は、東京六大学野球連盟以外の大学野球連盟での監督も経験しましたが、東京六大学野球連盟の学生マネージャーや事務局の方々の支えが、とても大きなものであったことを感じさせられました。

今、なお、東京六大学野球連盟は、大学野球界において伝統を保ちながら中心的な存在としてその威光を示していると思いますが、そこには、多くのスター選手や各大学の戦いの歴史があるからというのはもちろん、それと同時に、マネージャーを中心とした事務方の連盟運営の歴史があるからこそ、ということを感じます。
東京六大学野球のさらなる発展のため、今後も、選手と事務方がそれぞれに互いを尊重し、魅力ある東京六大学野球にしていってくれることと思います。 そして、その伝統ある東京六大学野球の歴史に、東京大学野球部が天皇杯を賜る日が加わることで、その歴史がなお一層魅力あるものになると、私は信じています。

2010年から続く、TOKYOROCKS号外 名物コーナーのひとつ。
野球部OBや関係者からのメッセージをお届けしています。