あのウィニングボール
早慶戦が近づくと、あの早慶戦の感動が甦る。60年晩秋の六連戦である。
安藤元博投手の熱投、鈴木悳夫選手の起死回生の右中間三塁打、一投一打に湧き上がる六万観衆の歓声と悲鳴、学友と肩を組んで歌った勝利の歌・・・。
爾来50年、一塁側学生席に置いてきた我が青春に会う為、神宮球場に何回足を運んだことだろうか。 11月12日、第6戦。安藤の564球目。セカンド村瀬から送られた白球が好田のファーストミットに吸い込まれた。野村がマウンドに駆け寄る。金沢も所も歓喜の輪に加わる。
あのウィニングボールは今どこにあるのだろうか?50代目主将徳武は「あのボールは野球部全員の心の中にあるよ」と答えるだろう。
あの早慶戦から100季目にあたるこの早慶戦が、賜杯を賭けて、いま始まろうとしている。薫風に応援歌が聞こえる。