私が慶應義塾大学時代を振り返って、真っ先に思い出すのは大学4年生の1年間です。
大学野球生活で最も充実し、様々なことを学び、自分を大きく成長させてくれた1年間でした。
私は新チームで主将となり、勝つことに貪欲になることと、チーム全員で勝つことに拘りました。主将として試行錯誤の毎日を過ごし、辿り着いた答えは勝つことに貪欲になることでした。3年生時の秋季リーグ戦で優勝にあと1勝届かなかった悔しさから、内容より結果に拘ってほしいとチーム全員に伝えました。優勝をチーム全員で喜ぶためには、チーム全員で勝つことが必要だと思います。立ち位置やポジションは違っても、全員が戦力でありチームに欠かせない存在です。大所帯であるほど全員が同じ方向を向いた時の力はとても大きいものになります。
拘ったこの2つが実り、春季リーグ戦で優勝することができました。開幕6連勝と最高のスタートを切り、立教大学に勝ち点を落としましたが、早稲田大学との優勝をかけた慶早戦を迎えました。勝ち点を獲った方が優勝というこれ以上ない最高の舞台でした。
1・2戦目共に総力戦でした。優勝し、スタンドに挨拶した時の歓声は今でも鮮明に覚えています。この瞬間、メンバーだけでなく、スタンドにいる野球部員や応援指導部、応援してくださる方々の力があって優勝できたのだと改めて実感しました。
天皇杯を掴むまでには、いくつもの困難がありました。多くの困難に直面するたびに、多くの方々に支えていただきました。
2月には竹内監督が病気で療養されることになり、監督不在の中での練習となりました。
正直、不安がなかったといえば嘘になります。竹内監督に優勝を報告するという決意のもと、部員全員が自分達でやるという強い気持ちで戦ったからこそ、掴むことのできた天皇杯だったと思います。
最後に、学生野球は多くのことを学べる瞬間です。しかし勝負の世界で戦っているからには、勝ちへの貪欲さは前面に出してほしいです。現在の大学野球は部員の多い大学が多いですが、それをプラスに捉えてほしいと思います。そして野球部だけで勝っているのではなく、多くの方々が応援してくださっていることを心に留めてプレーしてもらいたいです。六大学野球から多くの感動や、大学野球の素晴らしさを伝えてほしいと思います。